ロシアのフェイクアカウントについて その60:松里公孝 その②

【概要】

<概要>
東京大学のホームページ上に松里公孝氏(法学政治学研究科教授)の記事が掲載されています。記事はこちら。反論してみます。

【親露派の引用状況】

<概要>
事実として、松里公孝氏の記事は親露派によく引用されます。

①フェイクアカウントのJ Satoに引用されています。

②親露派アカウントのゆりゆりに引用されています。マヨのnoteの登場人物です。

③親露派アカウントのSmallCat2289に引用されています。

④SmallCat2289は親露派アカウントです。

⑤マヨの信者が松里公孝氏の論文を推しています。

【本文】

<松里氏の主張①>
こんにちドンバス地方と言えば、ドネツクとルガンスクの2つの州を指します。両州は、1920年代から30年代にかけて、ウクライナ・ソヴェト社会主義共和国の一部として成立しました。もともとロシア語話者が多い地域でしたが、2014年にウクライナでユーロマイダン革命(ヤヌコヴィチ政権を打倒した政変)が起こると、これに反抗する急進派が両州で州庁舎を占拠しました。急進派は州ごとに「人民共和国」を名乗り、ウクライナからの分離を掲げる住民投票を行いました。その後、ウクライナと戦争になりましたが、2015年までには軍事境界線が引かれました。大体、もとのドネツク州、ルガンスク州の総面積の3分の1くらいが人民共和国の実効支配下に入りました。

<私のコメント①>
州庁舎を占拠した急進派は、プーチン政権が送り込んだ右翼と地元のマフィアです。その後、ロシア軍も覆面介入していたようです。詳細はこちら

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<松里氏の主張②>
本音ではウクライナをNATOに入れる気はない欧米諸国は、なぜ、かつてのオーストリアのように「ウクライナはNATOに入れない」ことを条約化できなかったのでしょうか。そうすれば、プーチンの口実の一つは潰すことができたでしょう。これは、開戦に至るまでの間、研究の世界でも、ジャーナリズムの世界でも、多くの人が主張したことです。私は、NATO加盟国の指導者たちが自国内で「ロシアに弱腰」という批判を受けるのを恐れたか、支持率が下がってきたゼレンシキー政権を応援したかったか、いずれかだと思います。

<私のコメント②>
プーチン政権とプーチン政権に洗脳されたロシア国民が「NATOの東方拡大は脅威であり、ロシアにとって予防戦争」という主張を展開するのは、口実です。

現実には、ロシア軍は平然とウクライナ市民を攻撃しています。ウクライナ軍がロシア国民を標的にしないことを知っているからです。核保有国と核非保有国が戦っているから、こういうアンフェアな状況が発生しています。

プーチン政権はロシア国民の大国コンプレックスを悪用して国民を洗脳しました。Tweitterにおける日本語言論空間において親露派たちが「アメリカが。。。アメリカが。。。」と言い張るのは、プーチン政権が「アメリカが圧迫してきたのでロシアは立たざるを得なかった」というストーリーで洗脳したためです。

実際にはプーチン政権が守りたいのはロシアらしさではなく、己の権力と横領で築いた財産です。松里氏はプーチンの嘘を見抜けていません。

詳細はこちら

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<松里氏の主張③>
現在、ロシアのウクライナ侵略に対して、ロシアを厳しく糾弾する欧米、日本と、そうでない中国、インド、中東諸国などに国際社会は分裂しており、その両グループの間で外交的なせめぎあいが展開されています。しかし、ここはせめぎあいではなく、なぜそのような違いが生まれるのか、両グループ間で腰を据えて話し合えば、今後の国際秩序についてのヒントが得られるのではないでしょうか。

<私のコメント③>
国際平和の理念を基にして国際法が整備され、曲がりなりにも核軍縮の取り組みも行ってきたわけですが、なぜか国際社会はウクライナに対して冷淡です。

ウクライナは国際法の理念に則って自衛の範囲で軍事力を整備し自衛の範囲で戦っているのだから、国際社会はウクライナの信頼に応える必要があります。ここで経済制裁すら結束できないのであれば、国際法に対する信頼が消え失せます。

これは日本の国防にも関わる話です。「力による現状の変更を試みたが、犠牲だけ払って何ら得るものはなかった」とロシア社会にも国際社会にも中国共産党にも見せつける必要があります。しかし、松里氏はロシアの国際法違反を糾弾していません。

2023年01月時点でいえば、国際社会は経済制裁すら足並みが揃っていません。ロシアの情報戦(デマの拡散+要人の買収)がある程度効果を挙げているように見えます。

プーチンの嘘に付き合う必要はありません。「理由にならない」と一喝して経済制裁で締め上げるべきです。

【まとめ】

松里氏は、東部分離主義勢力の実体が覆面介入したロシア軍である点に言及していません。元々無職だったプシーリンがいきなりウクライナ政府軍と互角に戦い始めたというのは、どう考えても嘘ですよね。松里氏はプーチンの嘘を指摘できていません。

「NATOの東方拡大がプーチンに口実を与えた」という主張は不適切です。プーチンの嘘に付き合う必要はありません。「理由にならない」の一言で十分です。プーチン政権は時間を掛けて、ロシア国内に向けてもロシア国外に向けてもプロパガンダを仕掛けています。馬鹿馬鹿しい嘘に付き合う議論はロシアのプロパガンダへの協力行為です。

国際平和の理念と国際法の尊重について言及がありません。国際法が信頼を失い、各国がお互いに核武装してにらみ合うような国際社会を作りたいのでしょうか。「腰を据えて話し合えばヒントが得られるかも」という姿勢は長閑すぎます。

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