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若い劇伴作家のための映画案内#8

映画好きおじさんはブレード・ランナーの夢を見るか

(第二回)

前回、なんで若い人はブレード・ランナーをそれほどすごいと思わないのか的なことを書いてみると締めてみましたが、その前に、ブレード・ランナーはどこがすごいのか、をまとめてみようかと。
そんなもったいぶるほどの結論でもないのですが笑

いろんな要素がありすぎて、多分取っ散らかるし、個別の詳しいことは自分で検索をお願いしますと言う感じですが、まずは、
【デザイン】
82年に作られたこの映画の設定は2019年です。2022年現在、すでに三年前になってしまいましたが、公開された時点では37年後の未来。
ちなみに『2001年宇宙の旅』(原題:2001: A Space Odyssey) は、68年の映画で、33年後の未来。現在からはもう21年前か。。。それぞれ、公開されたときは30数年後の地球、世界はこうなるかも?的な感覚はどこかあったはずです。実際に現実化した技術もたくさんあるかと。
で、ブレード・ランナーがそれまでのSF映画と大きく違ったのは、その未来の描き方が、公害とか酸性雨とかで荒廃していて、ずっと暗くて、街はゴミで溢れていて、大きなモニターで広告が流れ続けている と言うデザイン・美術を徹底したことです。
それまでのSF映画の多くが描いた未来都市は、クリーンなイメージで、もっと落ち着いていて、街は銀色とかガラスのチューブとかでできていて、人々もなんか銀のビニールみたいな洋服?スーツ?みたいなの着てるとかそんなイメージでした。鉄腕アトム的。それがいきなり、多国籍の汚ったない街で屋台があったり(屋台で、めちゃ高い技術を持ったおばちゃんが遺伝子調べてたり笑)日本語喋るうどん屋があったり、浮浪者が車の部品を盗んでいたり、と言う未来にとてもリアリティがあったと。映画の中の広告や看板にも日本語(結構間違ってる)がたくさん溢れてます。一説によるとリドリー・スコットは日本で歌舞伎町に行ってこの街のデザインの着想を得たとか。いろんな人が当時を振り返って「歌舞伎町の映画館でブレード・ランナーを見て、外に出たらそのままイメージが繋がって衝撃だった」みたいなことを語っています。僕も見た後にすすきのを歩いて、そんな感じがしました笑
まあ、この頃の日本って、とても勢いがあったし、技術もファッションも世界の先端的なイメージもあっただろうから、映画にはよく登場してました。
もう、今や、映画に出てくるアジアは中国と韓国ばかりですね。
宇宙人もNYとロンドンと東京をよく攻撃していましたが、最近は東京は目に入らないようなので、それは良かったです笑。ゴジラだけは日本に来ます。
で、この未来都市の描き方は「AKIRA」とか「攻殻機動隊」とかの未来都市の描き方に大きく影響を与えたと。そのほかにもとにかくSFでの未来都市は
雨が降っていて、ゴミだらけ的なイメージを確立したのかな。
60年代後半、70年代のフランスのコミックからの影響も大きいと言われてます。めちゃ書き込んである感じ。(あまり詳しくないですが)
メビウスと言う人の作品からの影響って書いてあるものが多いです。ちなみに、大友克洋、宮崎駿にも影響を与えた、ってよく書いてあります^^
脱線すると同じ流れにいるエンキ・ビラルと言う人はTykho Moon (1997年)と言う映画を撮ってます。レーザーディスク持ってたな笑
フィフス・エレメント』(仏題:Le Cinquième élément)も1997年。こちらも近い世界観だったかな。リュック・ベッソン監督。押井守監督の「攻殻機動隊」(1995年)の映像表現に影響を受けた作品と言われています。もちろん「マトリックス」はもろに影響受けている感じですけど。
と言うことで、ブレード・ランナーにつながりました。

うーん。何回まで続くのか。。


映画をメインに劇伴の音楽プロデューサーをやっています。
音楽打ち合わせの時には、具体的な映画のタイトルが飛び交うことが多いですが、若い作曲家にとっては生まれる前の映画なんていう場合も多く、
どこから手をつけていったらいいかわからないなんて話も聞くので
打ち合わせで実際に出た映画とかを(不定期に、、、)紹介していきます。
何か、間違っていたことを言ってたりしたら、ぜひ、ご指摘いただければと
思います!

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