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ワードローブの森の中から(22)「冬の重ね着」

 21世紀に入ってから、2019年12月まで毎年冬のニューヨークに行っていました。この時期は寒そうで寒くない気候なので、真冬でもなくかといって晩秋でもなく、服装に頭を悩ませていました。自宅から成田・羽田、成田・羽田からJFK、JFKからホテル、この移動で何を着るべきかというのがとても悩ましい問題でしたが、ある年から、ダウンコートにロンTでJFKに降り立つのが定番となりました。
 2019年12月以降、海外渡航をしていないので、当時のことを思い出すと、JFKのタクシー乗り場に出ると、意外と暖かく感じられ、ダウンコートもいらないかと一瞬思いました。
 ただ、人間の身体とは不思議なもので、日本で慣れていた気温と湿度感覚をJFKに持ちこんでいたので、私のはまだニューヨークの気温と湿度感覚に合っておらず、ターミナルの外を歩く人たちは、しっかり冬のスタイルでした。
 JFKに到着したあとのルーティンは、まず喫煙コーナーに行き、ミネラルウォーターを呑み、タバコを一服つけます。2本目のタバコを吸いはじめると、身体が「ここは何か違うぞ!」と反応を見せます。しばらくすると、最初は「意外と暖かいぞ」と感じていた私の外気温センサーが標準値を変更し、JFKのターミナル外の外気温を改めてチェックし始めます。
 しばらくすると、外気温センサーが、「ここは、最近慣れていた日本じゃないようだから、やはりダウンコートは着ておくべきだ」と私に伝えてくれます。
 ここでのJFKの話は典型例ですが、冬場の重ね着戦略は、とても重要ではないかと常々思っています。寒からず暑からず、その場その場で臨機応変に外気温と体温のバランスをとるためには、重ね着はとても大切なはずです。
 JFKでのルーティン以来、冬場の重ね着の基本は、中はロンT、外はダウンコートで、その間に綿シャツやフリースなどを着込んだりするのが良いようです。
 冬場の日常生活では当たり前のことなのだと思いますが、重ね着の面白さをより良く楽しむ為には、何よりもワードローブでの服の配置がとても重要になってきます。3枚着込むのか4枚にするのか、分かりやすく服の種別を固めて配置するわけですが、それもまた冬の到来の楽しみでもあります。中嶋雷太

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