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ワードローブの森の中から(20)「バンデージ」

 2003年にロサンゼルス駐在から帰国し、日本での生活が再び始まったのですが……かなり太っていました。
 大量に食べたアイスクリームにドーナッツだけが原因かもしれませんが、落ち着いて考えると、精神的な理由と文化的な理由があると分析・判断しました。
 まず、精神的な理由は、日本とは異なる仕事環境でかなり高まった精神的フラストレーションの反動に違いありません。そして、文化的な理由は、周りにいる人たちの体格の大きさと食の太さです。私は、日本人の平均身長より7〜8センチほど高いのですが、ロサンゼルスでは普通で、体重差はなんともしがたい状況でした。人間とは不思議なもので、周りの常識的なサイズに合わせるようで、ロサンゼルスでの食生活は、私をぷくりぷくりと太らせていきました。
 帰国後、「これは、ヤバい!」となり、ジムに通い始め、以来数十年、ボクササイズや格闘技系プログラムを続けています。子どものころからマスクマンになりたかった私ですから、子ども時代から何十年も経ったとはいえ、その心は何も変わらず残っていたのは幸いでした。
 さて、ボクササイズや格闘技系プログラムにハマっていくなかで、バンデージは重要なアイテムになりました。パンチが当たる瞬間に握り拳をギュッと固めるのですが、これがないとその感覚がつかみ難いわけです。格好つけるわけではなく、この一瞬を実感することはとても大切なのですが、ミット打ち用グローブ等、いろいろ試したものの、なかなかしっくりくるものがなく、最後に到達したのがバンデージでした。ただ、2003年ごろ、日本では安価でなかなか買えないもので、アメリカ出張や旅行をするたびに、大型のスポーツ・ショップで購入していました。同様の大型スポーツ・ショップは日本にも数多くありますが、ボクシングや格闘技系の専門コーナーは普通ありません。アメリカだと必ずあるというのがありがたく、バンデージも3個で10ドルほどなので、普通のスポーツ・アイテムとして考えられているのだと思います。
 いまや、白、黒、赤など数十個のバンデージを、バンデージ専用箱にまとめていて、格闘技プログラムのある前夜になると、「さて、明日は、どの色のバンデージにしようか」と楽しんでもいます。中嶋雷太

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