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私の好きな映画のシーン(52)「続・夕陽のガンマン」

 本作の原題は「The Good, the Bad and the Ugly」なので、直訳すると「良い奴、悪い奴、そして最低な奴」になるかと思います。
 夕陽のガンマン三部作として、第1作「荒野の用心棒」(「A Fistful of Dollars」)、第2作「夕陽のガンマン」(「For a Few Dollars More」)と続いての第3作なのですが、それぞれの原題が異なるように、邦題はあくまでマカロニ・ウェスタン・ファンを惹きつける為の日本劇場公開用のものです。実は、邦題をつける配給会社の目力が好きで「Basic Instinct」を「氷の微笑」と意訳するなど、邦題が好きで楽しみでもあります。たまには大きく外れて駄作もありますが、おそらく、この邦題名付けセンスを初めて「良いなぁ」と思ったのが本作なはずです。
 さてと、本作で好きなのは「これはギャグか?」というシーンです。画面に矢印(→)が出て、「こいつ良い奴、こいつ悪い奴、そしてこいつ最低な奴」と、三人のガンマンを指します。突然現れたコミカルな画面に思わず「おー!」と喜ぶ私です。
 マカロニ・ウェスタンは、ハリウッドの西部劇とは異なり、どこかに暗い影を宿した渋さが良いのですが、こうした遊びがあると、渋さの重力から一瞬解放されます。あの徹底的にドライな心象風景に水滴がふと落とされたような感じです。
 昨今、マカロニ・ウェスタン的な、暗い影を落とした渋くて乾ききった映画になかなか出会えなくなり寂しいものですが、そんな時は、我が家のライブラリーからマカロニ・ウェスタン映画のディスクを取り出し、エンニオ・モリコーネの楽曲に痺れて喜びます。
 ちなみに、クリント・イーストウッドも好きですが、やはりリー・バン・クリフの渋さが本作で光っています。中嶋雷太

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