見出し画像

ワードローブの森の中から(21)「ワークブーツ」

 学生時代の通学はバイクでした。
 ホンダのXL250とヤマハRZ250で、ともに中古でしたが、オフロード用のXL250とオンロード用のRZ250を、その日の気分で使い分けるのが楽しみでした。(自分の手で整備をするのが本当は最高の楽しみでした^_^)
 1980年代初頭は、ヘビー・デューティー・ファッションにはまっており、バイクに乗るときは、バイク用ではなく、ワークブーツを愛用していました。人生初のワークブーツは、トム・マッキャンの黒くて無骨なやつで、春夏秋冬関係なく履き、履き潰すのが楽しみでしたが、右足の甲でギアチェンジをするので、その部分だけが擦り切れるので、ガムテープを巻きつけていたのを覚えています。そのトム・マッキャンのブーツですが、ヘビー・デューティー・ブームもあったのか、高島屋の靴コーナーで安価で買ったような記憶があります。何故、高島屋にあったのかは、未だに謎ではあります。当時は、トム・マッキャンという靴のメーカーのことは知りませんでしたが、1922年創立のアメリカ・マサチューセッツ州の靴のメーカーで、 スコットランドのプロゴルファー、トム・マッキャンの名前が由来だそうです。
 時代は変遷し、ヘビー・デューティー・ファッションは日常に溶け込んでいったように思います。
 この数十年、最初のトム・マッキャンのワークブーツ以来、何十足ものワークブーツに出会ってきましたが、未だに「これ!」というのには出会えていません。
 写真はコールハンのワークブーツですが、甲の部分がしっくりこないので、ワードローブの奥に眠っています。最長使用のものは、パリのサントノーレ通り沿いに小さな店構えをしていたパトゥガスというブランドのもので、約十数年前に購入し今でも履いています。柔らかな牛革で、足を包むようなフィット感が良く、手放せないブーツです。けれど、ワークブーツというよりブーツ一般カテゴリーに入るかもしれません。これを除くと、レッド・ウィングのワークブーツになります。どこと言って何も変哲ない、靴先(トゥ)が丸い、どこか望洋としたワークブーツです。少し太めの静かな佇まいの叔父さんのようです。ドクター・マーチンのは、過去二足購入しましたが、足形がなかなか合わなくて断念した記憶があります。
 いま、狙っているのは、工場で履く、甲のところに鉄板が入っている、正真正銘のワークブーツです。デザインは古典的なものですが、そこが惹かれてしまいます。昔々、旋盤やフライス盤、鋳造や鍛造をしていたことがあり、その時には必ず履いていました。夏場の鉄を溶かす炉の前は、おそらく体感温度40度を超えていたと思われ、今から考えると、あの鉄板入りのワークブーツをよくぞ履いていたものだなと驚きです。
 晩秋から初冬へと向かうこの時期、そろそろワークマンに出かけようかと、考えているところです。良きワークブーツを求めて。中嶋雷太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?