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私の好きな映画のシーン(1)

これまで「プロダクション・ノオト」を書き綴ってきましたが、これからは、時々「私の好きな映画のシーン」も書き綴ろうかと思います。今日は、その第一回。どの映画のどのシーンにしようかと、脳みその記憶野に立ち入り探してみましたが、整理整頓されぬフィルムがあちらこちらに重なり埋もれていて「こりゃあ、困った」と相成りました。テレビをつけると、今日もウクライナ侵攻の報道で、傷ついた兵隊の姿があり、「あ!」と思い出したのが、『史上最大の作戦』のラストシーン直前のシーンでした。撃墜され脚が動かぬ英国軍のパイロットと初めて戦場にやってきて逸れてしまったアメリカ軍の若い兵隊。タバコを吸う彼らの目の前にはドイツ軍の兵隊の亡骸が転がり、戦争の虚しさを二人はポツリポツリと語りあいます。やがて、日は暮れて……。1962年のアメリカ映画。巨額の予算で、ジョン・ウェインやリチャード・バートンなど有名な俳優が数多く登場する一見娯楽超大作ですが、私は今でも、あのシーンが好きです。英国軍パイロット役はリチャード・バートン、アメリカ軍の若い兵隊役はリチャード・ベイマー。『ウェスト・サイド物語』(1961年劇場公開)のトニー役がリチャード・ベイマーで、その翌年の1962年にこの『史上最大の作戦』が劇場公開されました。60年経ち、傷ついたウクライナの兵隊がテレビに映ると、その心の声が、このシーンにダブります。中嶋雷太

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