見出し画像

Extra:小編映画『Kay』大阪上映となります!

 今日は、申し訳ないのですが、Extra話にさせていただきます。私が原作著者(「春は菜の花」)、エグゼクティブ・プロデューサー、共同脚本、そして配給の小編映画『Kay』(監督:鯨岡弘識)が、11月26日より大阪のシアターセブンで公開となりますので、少々、宣伝めいた話を綴らせていただきます。毎週月曜日は「私の好きな映画の一シーン」を綴っていましたが、一回休みということで、よろしくお願いします。
 番組プロデューサーとして立ち上げに参加したWOWOWを去る前年2018年夏に、小編映画『Kay』の原作となる「春は菜の花」をデジタル出版しました。自分で観たい/製作したい映画や演劇の基本となるストーリー・ラインを言語化するには?という思いがあり、ある週刊誌の元編集長に背中を押してもらいデジタル出版したのが、最初の一歩でした。個人的な嗜好性というかですが、最初から脚本に入るよりも、しっかりしたストーリー・ライン、つまり物語がないと、強靭な映画を作るのは難しいと思っていたのもありこの第1作「春は菜の花」に取り組みました。できればどこかの出版社でとも考えましたが、実績などない私が突然小説ではなく映画を観た感じになる物語を書いたとしても、私も元編集者の端くれ、それで飯を食っている編集者としては頭をひねるしかないはずだと、「ここは自力で」とデジタル発行に至りました。いつの日か、どこかの出版社にて正式に出版したいとは考えています。さて、2018年夏、この作品の出版パーティーで長年の知り合いの内藤さん(『Kay』のプロデューサー)に出会い、その後監督の鯨岡弘識さんも紹介して頂き、製作話が動き出しました。
 原作となった拙書「春は菜の花」は、凸凹人生を果敢に生きた父・太一と、別れた3人の女性、そして3人の子供たちとの群像劇になっており、そのままでは2時間ものの長編映画になるので、第一歩として、3人の子供たちの末っ子ケイを取り上げ映画開発に取り組み始めました。
 開発自体は通常の流れでしたが、私からは製作哲学みたいなものをお願いしました。一つは「観客は世界の人々」、もう一つは「著作権期間ずっと楽しまれる作品」でした。もちろん、そうした作品を作れるかどうかは様々な要因が作用するのを長年の経験から熟知していますが、「感覚」として、そして「信念」としてこの製作哲学のようなものを、示させてもらいました。(結果、ニューヨーク・シネマトグラフィー・アワードやモスクワ短編映画祭等、世界の映画賞で30以上ものアワードを受賞し、前者は達成したと思います)
 2019年梅雨。Kay役のオーディションに数多くの女優の皆さんに参加頂き、結果、Kay役を七瀬可梨さんにお願いすることになりました。ただ、小編映画とはいえ、原作にあるように本来は群像劇なので、父、母、そしてケイの友人役はとても重要な役柄で、内藤プロデューサーと鯨岡監督が頭を悩ました結果、最高の布陣となりました。父・太一役には小沢和義さん、母・貴子役には片岡礼子さん、そして友人・ユウ役には伊藤歌歩さん。真夏のロケを終え、いよいよ最後の音入れを終えたのが2020年12月でした。
 ただ、この時点で、新型コロ◯禍が巷に広がり、暗雲立ち込めた暮れの夕空を見上げていたのは忘れられません。
 そして、大波がやってきて、2021年4月ごろかなと考えていた劇場配給はとりやめました。やはり、観客の皆さんが笑顔で映画館に脚を運び、「面白かったね」と帰宅してもらうのが一番ですから、ここは慌てない慌てないと、私は物語執筆に力を注ぎ、気づけばこの11月初旬に発行する作品を入れると20作品弱書くことができました。
 とはいえ、なんとか劇場公開を願っていたところ、新型コロ◯禍も、凸凹しながら落ち着いてきた今年2022年春、東京・下北沢にある下北沢トリウッドさんにて日本劇場初公開となりました。4月と7月の合計5週間に渡る上映に数多くの観客の皆さんを迎えられたことは、本当に幸せでした。さらに、7月、名古屋シネマテークさんにても劇場公開となり、11月26日からは大阪シアターセブンにて劇場公開となりました。
 この数年を振り返ると、製作哲学として掲げたものは揺らいでいませんが、やはり最も大切なのは、観客の皆さんのことをいつも考えていることだと、つくづく思っています。そして、願わくば、いつまでもいつまでも、小編映画『Kay』を観て心の中に灯った灯火が消えることなく、観客の皆さんの心の淵に、小さくとも、そして揺らいでいたとしても、灯り続けていればと考えています。
 新型コロ◯禍、そして大国による近隣国への恫喝や戦争行為……。先の見えぬ日々が続きますが、小編映画『Kay』の作中でのある言葉が、少しでも暖となればと願っています。
 これからも松明を掲げられればと願っています。よろしくお願いします。中嶋雷太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?