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ビーチ・カントリー・マン・ダイアリー(30)「不自然な造形-ゴミ拾いイベントで思ったこと」

 片瀬海岸では絶えずゴミ拾いイベントが開催されていて、私もこれまでいくつかのイベントに参加しました。今日も、ご近所でお世話になっているサーフショップの月一ゴミ拾いイベントがあり参加してきました。
 9月2日に海水浴シーズンが終わり、浜辺の海の家も解体作業に入り、赤と黄色のユニフォーム姿のレスキューたちの姿も消えました。とはいえ、気候は真夏と変わらないから、海水浴客の姿もちらほらあり、これまであるエリアに制限されていたサーフィンやSUPやウィンドサーフィンを楽しむ人の姿が一気に増えました。
 とはいえ、ゴミ袋を手にして砂浜をじっくり観察しながら歩いていると、プラスチックゴミなどのゴミがあちらこちら転がっています。近くの境川から流れてきた葦のような草や貝殻や砕けた石は自然のもので、太古から片瀬海岸に流れ着いたものだけれど、プラスチックゴミなどはこの数十年の人間の仕業でしかないし、マイクロプラスチック問題は多くの方が知るところだと思います。
 日本財団のホームページによると、年間800万トンものプラスチックゴミが海洋に流れ出しており、日本からは少なくとも2万トンもの流出があるようです。つまり一万台の2トントラックの分量。
 浜辺の砂つぶに紛れた赤や青や黄色のマイクロ化しとプラスチックは、すぐに発見できますがそのひと粒ひと粒を指で摘んでゆくと永遠の時間が必要に違いありません。それより大きめのミネラルウォーターのキャップやお菓子やビニール袋の破片なども砂つぶに紛れ込んでいて、よく観察しないと見落としてしまいそうです。
 ところが、不思議なもので、ゴミ拾いイベントに何度か参加しているうちに、砂浜をぼんやり観察するだけで、パッとそうしたプラスチックゴミが見つけることができるようになりました。その感覚は何と言えば良いのか…。おそらくですが、そうしたゴミは不自然な造形なのだと思います。自然界には存在しない造形とでも言えば良いのかもしれません。もしくは、人間の感覚として、インバランスな造形なのかもしれません。
 砂浜に打ち上げられた自然による木や草や石や貝殻は一つ一つは異なる造形ですが、人間としての感覚では受け入れられる造形です。一方で、プラスチックゴミはどこか不自然な造形だと一目で判断つくのですが、その一線はどこにあるのだろうと考える私です。
 最後に、どれだけお金をかけても、人間として受け入れられない造形物があることを、プロたちは知るべきだけれど…目の前のお金稼ぎだろうなぁ。中嶋雷太

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