YOASOBIの解像度 ─『葬送のフリーレン』シーズン2が始まって思うこと。
今クールのアニメは『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』『ダンジョン飯』で決まりですかね。
前の2つは前クールから継続だがぶっちぎりで面白い。
そしてふと思うのは、最近のアニメのオープニング/エンディングってほぼ同じアーティストで回ってるよなぁということ。
YOASOBI、Aimer、緑黄色社会、milet、アイナ・ジ・エンド…。
仕方がないと言えば仕方がないけど、毎度既視感(既聴感?)を覚えてしまう。
そんな中、やはりYOASOBIは別格だなと思う。
『葬送のフリーレン』シーズン2のオープニングはヨルシカの”晴る”
(話が少し逸れるが、昔は<YOASOBI>と<ヨルシカ>と<ずっと真夜中のいいのに>の3組で混乱していたし区別がつかなかった。夜繋がり3組。)
こちらも全然いい曲なんだけど、シーズン1の時の高揚感が、あまり感じられなかったのは事実。これは『水星の魔女』の時にも感じたことだった。
『水星の魔女』もシーズン1がYOASOBIで、シーズン2はyama。
『水星の魔女』の”祝福”も、『葬送のフリーレン』の”勇者”も、もっと言うと『推しの子』の”アイドル”も、とてつもないパワーを持った曲だと思う。
(また話が逸れるけど、紅白の”アイドル”演出はあまり好きではなかった。YOASOBI単独のパフォーマンスを楽しみにしていたのに。。ただし橋本環奈×あのちゃんの「天使と悪魔最終決戦」は最高だったのでそれを除く。)
…話を戻すと、YOASOBIの曲だと、流してしまいがちなオープニングで目が離せなくなる。今聴いても、脳裏にオープニングのアニメーションが流れる。それくらいどの曲もアニメ作品と一緒に心に刻まれている。
なぜなのか。
自分は専門家でも何でもないのでここから薄っぺらいことを書くが、とにかくYOASOBIの曲は、作品に対する解像度が高い。
そりゃあタイアップで作ってるんだから解像度高くて当たり前だろって思うかもしれないが、なんというか、そのバランスとか言葉のセレクトが凄まじい。
もちろんトラックも素晴らしい(その作品のスピード感とかをしっかりと表現している)けど、やっぱりなんと言っても歌詞の選び方なんだろうと思う。
劇中のセリフをそのまま使っていたり、ベースにしていたりするのだが、落とし込み方が素晴らしいなと。ただコピペしているのとはわけが違う。しっかりと1曲の中に物語を作ってくれている。
そして思う。
YOASOBIは圧倒的に2番がいい。なぜなら物語の核心に触れる部分だから。
結局『水星の魔女』における”祝福”は、シーズン1のオープニングテーマにして、物語の核心をついている。その時はよくわからなくても、シーズン2の佳境に差し掛かった時に、改めて聴くとハッとするのだ。そうか、そういうことか。そうだよな、って。エグい。
最後は、最終回のタイトルをしっかりと回収してFin。
美しすぎる。
対して”アイドル”や”勇者”はアニメの第1話の終わりへとリンクする。これもこれでエグい。鳥肌立っちゃう。
ちなみに個人的に一番好きなのはここ。
なんだか聴いていていつも泣きそうになってしまう。
こういう落とし込み方、Ayaseさん天才なのでは。このクオリティでコンスタントに作品を出しているの、末恐ろしいんですが。
YOASOBIついでに書かせてもらうと、『はじめての』という小説がある。
島本理生、辻村深月、宮部みゆき、森絵都。錚々たるメンツによる書下ろし短編集。その全ての物語に対して、YOASOBIが楽曲を作っている。まさにYOASOBIの面目躍如、専売特許。
小説を読み、音楽を聴くことで完成する新しいエンタメ。
個人的には宮部みゆきの『色違いのトランプ』に合わせて作った”セブンティーン”が好きだ。
この台詞は小説の中には無い。でも、確かに主人公はそう言っている。そう思える。
聴いていてただただ、凄い、そう思った。
大学生のころまではカッコつけてHIPHOPとかJAZZを聴いて、J-POPなんてダサいなんて言って避けていた自分が、2023年もっとも聴いた曲は”アイドル”(ちなみに2位はずとまよの”花一匁”)
随分遠くまで来たな、と思うけど、いいものはいいんだよね。
YOASOBIのビジネスモデルは、このクオリティである限り無敵だと思うし、しばらくは彼らの天下かなと思う。自分もしばらく聴き続けることになるでしょう。
とは言え最後に、エンタメ界よ、Ayaseさんに働かせすぎです。
Ayaseさん、お体大切に、もっともっと曲を聴かせてください。(矛盾)