バートランド・ラッセル 「私がキリスト教徒でない理由」(1927) 3/15 【神の存在】

原文はこちらから閲覧可能です。

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神の存在


さて神の存在というのは、大きく難しい問題である。十分に扱おうとすると世界の終末まで待たねばいけないであろうから、ざっくりと扱うことをお許し願いたい。

ご存知の通り、カトリック教会は神の存在は純粋なる理由によって証明されるとの教義を説いてきた。

やや興味深い教義ではあるが、これはカトリック教会の教義の一つである。

無神論者たちが神が存在しない理由をいろいろと議論するようになったため、カトリック教会側ではそうした教義を導入せざるを得なかった。

ただ勿論、教会側は信仰の問題として神が実在することを知っていた。(神が実在しないという)弁論や証拠が大いに展開されたため、カトリック教会はこれを抑止せねばならないと考えたのである。


したがって教会は、神の存在は純粋な理由によって証明されているものと定め、それを証明するための議論を構築する必要があった。

その議論というのは数多くあるが、そのうちのいくつかについて話そう。

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