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流通事業とコロナウィルスの収束


 コロナウィルスの収束はワクチンの開発だけでなく、速やか且つ適切にワクチンを流通することが重要になる。コロナウィルスのパンデミックが起こっているために、ワクチンの分配は世界中に行う必要がある。しかし同じくパンデミックが理由で飛行機の便数が大幅に減らされており、ワクチンの輸送能力が不足するかもしれない、というジレンマが発生している(1)。さらにワクチンは低温で流通させなければいけないことも大きな問題の一つである。特にワクチンの組成にRNAを含む場合(mRNAワクチンやRNAウィルスを用いたウィルスベクターワクチン等)、長期保存する場合は-80℃で保存する必要がある(2)。このような流通の問題に対してアメリカの物流企業がアプローチをかけている。例えば、アメリカの物流大手、「FedEx」は輸送する荷物の追跡サービスに使用しているセンサーで温度の測定もできるように改良を進めていたり、アメリカの物流大手、「UPS」はケンタッキー州に一台あたり4万8000回分のワクチンを-80℃で保管できる冷凍庫を70台ほど設置している。日本の厚労省では、この問題について「ワクチンを必要とされる低温で保管できる設備が、現時点で日本国内に大量にあるとは考えにくい」という見解を出している(3)。このことを踏まえるとインフルエンザワクチンのように広くどの医療機関でもコロナウィルスのワクチンを接種できるとは考えづらい。これはインフルエンザワクチンであるインフルエンザHAワクチンは10℃以下の保存(4)というのに比べRNAを含むワクチンの保存条件が厳しいためである。そのため場合によっては、コロナウィルスのワクチン接種を受けるために、遠方の冷凍設備が整った医療機関へ赴かなければいけなくなるかもしれない。

参考
1. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200912/k10012614501000.html
2. https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/rna-purification2/#:~:text=%E7%B2%BE%E8%A3%BDRNA%E3%81%AE%E4%BF%9D%E5%AD%98%E3%81%AF,%E2%84%83%E3%81%A7%E4%BF%9D%E5%AD%98%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
3. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201025/k10012680611000.html
4. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000013nne-att/2r98520000013nz4.pdf


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