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研究者のキャリアとバイオベンチャーの資金調達について

 研究者のキャリアが多様化しており、その選択肢の一つにバイオベンチャーの起業がある。日本のバイオベンチャーには一般社団法人バイオインダストリー協会という組織が定めた定義がある。1.バイオテクノロジーを手段・対象として事業を営む会社、2.従業員数が300名以下である会社、3.設立から20年が経過していない会社、4.研究開発・(医薬品などの)製造・先端科学コンサルティング・受託研究などを事業とする会社、の4つである。これらの定義に合致しており、且つ有名なのは、日本で初めて大規模に個人向けの遺伝子検査・解析会社のGenequestだろう。創業者である高橋祥子博士はインタビューで、大学や大企業以外の選択肢を自分で作っていかなければならず、一方で、起業は明らかにしやすくなっていると述べている(1)。では起業するときの出口はどのようにするのが良いのだろうか。選択肢としてはM&AとIPOがある(2)。M&Aは合併買収のことであり、IPOは新規株式公開のことである。加えて、銀行からの融資、クラウドファンディング、補助金や助成金などを利用する例もある。これらを駆使して起業家は資金調達をしていくことになる。

 起業家が資金調達をする際に関連があるのが、ベンチャーキャピタルである。ベンチャーキャピタル(VC)は,主に高い成長性や将来性を有する未上場企業(ベンチャー)に対して投資を行う(3)。投資は融資とは異なり,投資を受けたベンチャーはVCに対し利息の支払いや返済義務は生じないが,VCからexit、つまりIPOもしくはM&Aの際に発生する売却益(キャピタルゲイン)を求められる。VCから資金提供を受けるためには知人の紹介、ベンチャー系のイベントに参加、直接コンタクトをとる、マッチングサービスの使用などがある(4)。ただし、インキュベーション型のVCから出資を受ける場合、投資担当者が社外取締役となって経営に参画するため、場合によっては主導権を握ることができないことがある(3)。

 また国の補助金や助成金を使う事も有効な手段の一つだ。メリットとして、基本的に返済の必要がないことが挙げられる。しかし、デメリットとしては、公的な支援金の申請手続きはとても手間がかかることが挙げられる。また、それほど金額でないことも多いので、補助的な手段と考えるのが良いかもしれない(4)。例として、令和2年度のメタン発酵消化液等の肥料利用の促進事業がある(5)。

参考
1. https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1902/27/news015_5.html
2. https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/bio_venture/pdf/002_06_00.pdf
3. https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9312/9312_tokushu_1.pdf
4. https://batonz-ventures.jp/articles/strategy/335/
5. https://www.maff.go.jp/j/g_biki/hojyo/02/04/200_0409.html

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