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複数種乳酸菌の共培養時の挙動と安定性について

 乳酸菌をはじめとする食品の発酵に利用される菌の中には、共培養によって単体の培養時と比べ、大きく挙動が変わるものがある。例えば、ヨーグルトのスターターとして使われるStreptcoccus thermophilusとLactobacillus delbrveckii subsp. bulgaricusの組み合わせがある。これらの菌種を共培養するとそれぞれの菌種を単培養するときと比べて生育速度が大幅に向上することが知られている(1)。また、Lactococcus lactisと一緒に培養することでBifidobacterium属の菌株の低温保存時のヨーグルトにおける生残性が向上したという報告もある(2)。さらに、酵母との共培養により、乳酸菌の増殖の促進あるいは抑制されること、その共培養法で通常の希釈平板法では分離できない乳酸菌種を得られることが報告されている(3)。これらのことから、共培養は発酵食品に関わる菌の挙動を変化させ、製品の品質に影響することが言える。

1. 乳酸菌とビフィズス菌のサイエンス p.372
2. 清水ら 2013年 . Lactococcus lactis菌株との共培養による高生残性ビフィズス菌入りヨーグルト製造技術の開発
3. 乙黒ら 2017年 . 酵母共培養法を用いた乳酸菌の新規分離法の開発とミャンマー産発酵食品からの分離

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