今日のアウトプット(240829)

おはこんばんちは.
今日は,私が今やっている研究に関する論文です.

タイトル:A REVIEW OF TEST EQUATING METHODS WITH A SPECIAL FOCUS ON IRT-BASED APPROACHES
著者名:Sansivieri, V., Wiberg, M., & Matteucci, M.
ジャーナル:Statistica, 77(4), 329-352.
出版年:2017

https://www.diva-portal.org/smash/get/diva2:1201784/FULLTEXT01.pdf

私は今,卒業研究として「テストの等化」というものに取り組んでいます.ここでいうテストとは,学力試験に限らず心理検査とかも含んだものです.等化とは,異なるテストの尺度,テスト得点を相互に比較可能にする手続きのことを言います.例えば,TOEICやTOEFLは一年で複数回受験できますが,どの回を受けても,何度も受けてもスコアの尺度が揃っているため私たちはスコアの変化を捉えることができます.いつ受けても同じものさしの上でスコアが表されている感じです.

今回の論文は,そんな等化に関するレビュー論文のようなものです.等化には古典的テスト理論の枠組みで行う方法,IRTをベースにした方法など様々なものがあります.この論文はけっこう網羅性が高いので,個人的に気になったとこだけ記録しておきます.

3.5. Recent developments in IRT equating

・等化の標準誤差の計算

・多次元IRTモデルでの等化
なんか最終的には等パーセンタイル法が使えるっぽい.

・ the complex linkage plans(複雑な連鎖的等化計画?)におけるIRT等化法の開発
連鎖的等化は以前,ある川端先生の論文(川端, 2021)を読んだときに出てきたな,A,B,Cの順番で行われるテストについて,BをAに等化,Cを等化後のBに等化して最終的には全部Aへの等化になっているってやつ.多分それ関連な気がする.この部分全然わからなかった..でも最後の方に,Haebara法とSL法の拡張みたいな式があった.

・NEATデザインにおけるIRT等化の係留テストの質
アンカーテストに外れ値があったら等化スコアに負の影響を与え,等化誤差を増大させる.でも単に外れ値を取り除くとその外れ値の情報が損なわれるので,取り除かない方法(robust scale transformation)を考える.等化前後の正答確率の差の二乗(二乗損失)のを重みつきで最小化する.
*NEATデザイン(Non-Equivalent group with Anchor Test design)
日本語だと非等価(等化じゃない)2群集団係留テスト計画.2つの受験者集団が共通項目を含む異なるテストを受験する.

おまけ
*NECデザイン(non-equivalent group with covariates design) 
日本語だと,共変量非等価集団??共通項目得点や性別,科目の自己効力感得点(科目に対する自信みたいなことかな)などを共変数(共変量)として使うことによって異なるテストから等化スコアを得るデザイン.

・テストレット(大問形式のテストのように文脈依存関係にある項目群)により構成されたテストの等化について
個人的には今後取り組んでみたい混合形式テストの等化に使えそうなのでちゃんと分かるようになりたい.

・異なる枠組みでのIRT観察得点等化の開発


はい,後半息切れして力尽きました.等化ってほんとにいろんな方法があるんです.ここ半年以上等化について考えていますが分かるようでわからない.無事に論文を書き上げられるのか,いつも不安です.(まずは,院試だけど)引き続き頑張ります.

引用,参照
・Sansivieri, V., Wiberg, M., & Matteucci, M. (2017). A review of test equating methods with a special focus on IRT-based approaches. Statistica, 77(4), 329-352.
・川端一光. (2021). 連鎖的等化の誤差とテスト結果の実用性. 教育心理学研究, 69(4), 353-365.
・Özsoy, Ş. N., & Kilmen, S. (2023). Comparison of Kernel equating methods under NEAT and NEC designs. International Journal of Assessment Tools in Education, 10(1), 56-75.

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