見出し画像

人が集まると手抜きが始まる仕組みとは


部活動に期待する効果として、グループワークから学ぶ集団活動型の思考トレーニングがあります。

グループ内の課題を解決するまての過程を部員同士て学び合う活動は、多くの学校の部活動において日常的に見られます。

今回のコラムでは、指導者として、知っておきたい集団心理に関するお話を紹介します。まず、心理学者リンゲルマンが提唱したリンゲルマン効果を取り上げてみたいと思います。

リンゲルマン効果とは、集団心理現象のひとつで、人間は集団で作業した場合、単独で作業するよりも生産性が低下するという現象です。 社会的手抜き、フリーライダー(ただ乗り)ともいわれています。

例えば、綱引きの力を測定し、1人で100キロの力で引けたとします。ということは、同じ100キロで引ける人が3人が一緒に引いたらどうなるでしょう。単純に考えれば、300キロです。

ところが、255キロにしかならないという実験結果があります。その実験の平均の割合では、次の様になります。

1人を100%として、参加人数と力を発揮する割合です。
2人→93%、3人→85%、8人→48%

人は集団になると一人一人が無意識に出す力に制限を加えてしまう、無意識に責任の分散が行われるということになるとのこと。

つまり、依存度が上がってしまうわけです。特に日本人は依存心が強い傾向があるようです。

将来、大きく成長する生徒ほど、1人でやってる時の動作が、例え5人になったとしても、周りに関係なく同じように力量を発揮出来るメンタルを持っています。

しかし、一般的にはそんなことが出来る子ばかりではありません。部内のチームワークの構築は、部活動指導者にとって大きな課題と言えるでしょう。では、どうすれば100%、あるいは、それ以上を個々が発揮する集団になるのでしょうか。

まず、ポイントになるのは、人間は集団になると無意識に手を抜いてしまう行動傾向があるという点を、生徒も指導者も共通認識として自覚することです。

そのうえで、指導者として、考えるべきこととしては、それぞれの責任範囲を明確にすることだそうです。しかし、その責任範囲は上からの押し付けではなく、互いの話し合いのうえ納得したうえで責任範囲を明確にするということです。

其々がやるべきことがわかっている状態に出来るだけ近づけること、そして、それによって指示待ちではなく自ら行動する仕組みを作るということが重要になります。

それぞれの役割を明確にし、それぞれのゴールを示すこと、つまり、先述の綱引きの実験で言えば、それぞれが力の測定メーターと目標を確認しながら、一緒に行動すれば、ある種わかりやすいモチベーションになるということです。

しかし、個々がやるべきことをやろうとしても、集団心理が、陥りがちなもう1つの別のケースの問題があります。

その話はいつか、またお伝えしたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?