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レンタル彼女体験(後編) 「彼女=恋人」ではなく「彼女=特定の女性」と理解する


「彼女」に会ってきた

 大阪市内の某百貨店前。今や様々な国の人たちが入り乱れるのが日常となったこの街で、私は一人の若い女性と合流しました。この日が初対面の「彼女」すみれさん(仮名)です。

 この時点で私は「レンタル彼女」なるサービスをどう理解するか悩んでいました。「彼女」をこの日限りの「恋人」と定義し、よく知っている親しい人という感じで接するべきなのか。とりあえずそう思っていたので、はじめましての挨拶は省略して、

「おまたせ。ごめん、待ち合わせ場所、人多くてちょっと見つけにくかったよね。」

 という感じで歩きはじめました。

 すみれさんは小柄でショートカット、人懐こい雰囲気でよく笑う素敵な女性です。今回利用した事業者でもトップクラスの人気なのがよくわかりますし、疑似恋愛を楽しむなら最適のお相手です。

 それでも疑似恋愛のスイッチを入れなかったのは、今の私は既に満ち足りているからなのか、既に枯れているからなのか。

「彼女」の解釈は幅広く

 お店に入った後ですみれさんに聞いたのですが、「彼女=恋人」というよりも、ある一人の女性を指す「彼女」として広く捉える方が合っていました。

 「恋人」として疑似恋愛を楽しむのももちろん良いし、友達や話し相手としてでも良い、一人では行きにくい場所での付き添いでも良いし、旅行で来た人の案内役でも良い。お客の性別も男性に限らず女性でも良いとのことでした。

 私は何が目的か。特に定まっておらず単に好奇心だったので、とりあえず美味しいもの食べてお話しましょうと、予約しておいた和食のお店で過ごしました。プライバシーの問題もあるので会話の具体的な内容には触れませんが、相手はさすがこの道のプロ、とても面白い会話ができ、色々と参考になりました。

 これもまた、正しい使い方なのだろうと理解しました。

世代を超えた交流には価値がある

 「レンタルおじさん」というサービスも存在するようです。その名前からして、疑似恋愛とかではなく単に話を聞いて欲しいとか、幅広い用途で使われるものだと想像できます。これが「レンタル彼女」で若い女性となると急に、性的なものとして偏った見方をされている気がします。(無理もない気はしますが)

 繰り返しになりますが、「レンタル彼女」を「彼女=恋人」として解釈するのではなく「彼女=特定の女性」と捉えるのが良いと思います。疑似恋愛的なものを一切求めないのであれば、自分に特定のパートナーがいたとしても、このサービスを利用することが罪にはならないでしょう。

 上下関係もセクハラ扱いされる恐れもなく、若い世代の異性と交流できるというのは貴重です。職場の若い世代が理解できないと悩む人も、こういったサービスで交流できる人の話を聞いて参考にできるのではないでしょうか。

 「○○世代」と年代を区切って、この世代はこうだよね、世代が違うから理解できないのも仕方ないよね、と言ってしまう風潮は良くありません。互いを理解しようとする努力を怠ると争いが起こります。

 よって、中高年は「レンタル彼女」、若年は「レンタルおじさん」をもっと広く活用し、自分とは異なる世代への理解を深めていくことで、世の中はより良い方向へ進むのではないでしょうか。

 「オタク」が「推し活」、「出会い系」が「マッチングアプリ」と名を変えて市民権を得たように、「レンタル○○」もいずれ一般化する日が来ることを祈ります。