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「欠点で愛される」をAIマッチングに実装したい

人は欠点で愛される

 「人は欠点で愛される」は真理だと思います。

 完璧な人間なんてのはこの世に存在しませんが、隙の無い人というのはかえって可愛げがなく親しみが持ちにくいような気がします。

 欠点と一言に言っても難しいのですが、「愛される欠点」というのは、

  • 頭の回転は速いのだが人に説明するのが下手

  • 基本的にとても優しいが時々デリカシーに欠ける

  • やればできるのに緊張しやすく落ち着きに欠ける

  • しっかり者だが方向オンチ

 など、美点の裏返しだったり意外な一面だったりして、致命的なものではないものがそれに当たるでしょうか。自分がそれを補えるものであればなお良いと思います。相手の至らないところを受け入れ、補い合えるのは深いところでコミュニケーションが取れていると言えます。

一方で欠点の探り合いになっている

 一方で、恋活・婚活の出会いの場では、初めて会ったお相手と深いお付き合いができるかを見定めようとするとどうしても欠点が目に付き、違和感となって相手を落とす(選ばない)ようになります。

 自分がそうしているのだから当然、相手も同じように見ている。そう考えると、自分が気に入られたい相手の前では完璧にふるまおうと力んでしまいます。

 こうなった挙句、かえってお相手からは「何を考えているのかわからない」「可愛げが無い」と思われてしまいますし、自分は素を出せず緊張が続くので疲れてしまい、それなのに結果がうまくいかないので心を病んでしまいます。

「欠点マッチング」の要素も必要ではないだろうか?

 私はこのnoteで繰り返し書いていますが、もともとの好みのタイプとは違ったお相手とうまくいっているカップルというのは、お互いの美点も欠点も含めてうまくかみ合っているからうまくいっているのだと思います。

 「スペック」などという、家電製品を買う時の性能比較に使うような言葉をそのまま人に当てはめたような今のシステムは、このようなお相手を見つけるには全く不向きです。

 かと言って、ここまで規模が大きくなった恋活・婚活のシステムを回すには、今のマッチングアプリのようなシステムが最も適しているというのも理解しています。

 ではどうすれば良いのか。現在、良い方の条件しか考慮されていない条件マッチングを、悪い方の条件も含めてマッチングさせてはどうでしょうか。

 ただし、会員は「貴方の欠点をプロフィールに載せるので書いて下さい」と言われても絶対嫌でしょうし、お相手の欠点がプロフィールに堂々と載っているのを見ても引いてしまうでしょう。

 なので、「欠点」の項目は会員やお相手には見えず、カウンセラーやAIだけが参照できる隠しプロフィールとして入れておくのです。そしてその中身は、カウンセラーが会員と面談した時に感じたことや、お見合い相手・交際相手からのお断りの理由を参考にして、カウンセラーが記入します。

 その為、これはカウンセラーがいるサービスでのみ対応でき、カウンセラー不在のマッチングアプリでは対応できないことになりますが。

欠点も個性なのだから

 とても「ハイスペック」な相手とマッチングしたと思ったらひどいモラハラを受けた、などという話はわりとよく聞きます。「ハイスペック」ならば通常それだけでモテるでしょうし、結局は条件の良い部分だけを見て選ぶと、そのようなことになる危険性も高いと思います。

 一方で、極端な例として「完全に受け身」「デート代は常に割り勘(何なら女性に支払って欲しい)」「家事は一切しない」というような男性はあり得ないと一般的には思われていますが、「自分がリードしたい」「自分は高収入だし自分で払う」「専業主婦が絶対条件」という女性も中にはいるでしょうし、お互いの条件が合うならそれで良いと思います。

 なので例えば、欠点の欄に「だらしない面がある」「あわて者」と入っている人なら、「世話好き」「しっかり者」な人とマッチングしたらとても仲良くなれるかも知れません。

 ただし、ある人の欠点とそのお相手との長所を結び付けるのは、現在のAIマッチングで処理するにはまだ複雑すぎると思います。同じ人間であるカウンセラーの勘と経験が求められます。会員の過去の恋愛傾向などを分析して、精度の高い情報を出す必要があります。

 その人の「好きな欠点」をマッチングの条件にするのは危険な面もあります。「なぜかこういう人ばっかり好きになってしまう」と悩むダメ男好き、ダメ女好きの「こういう人」をマッチングの条件に含めてしまうことになり、プロが間に入ったサービスを利用しているにも関わらず、その人を不幸にする相手を再び選んでしまう可能性があります。

 「欠点」をマッチング条件に、というところから考えてみたこの記事ですが採用は難しいかも知れません。ですがAIマッチングをより使えるものにする為にも、こういった角度からの検討も必要かと思います。