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原作を知らない若者と一緒に観た実写版「シティハンター」


実写化できる時がついに来た

 Netflixで公開された実写映画「シティハンター」。役者として主人公・冴羽リョウを演じるのが長年の夢だったという鈴木亮平の並々ならぬ熱意が作品を通じて伝わり、彼と同じく原作マンガやアニメで作品に親しんできた視聴者と感動を共有できる幸せな作品に仕上がっています。

 この作品、日本国内のみならず世界各国で高評価を得ているというのもまたファンとしてうれしいことです。

 私も配信初日にこの作品を視聴し、とても気に入ったので何らか感想を書きたかったのですが、人気作品の映像化の常で、ファンは原作の知識と思い入れを含めて映画を観ているので、ありのままで映画そのものを観て批評するのは困難です。

原作を知らない若者と一緒に観る

 先日、仕事のつながりで交流している20代の若者が、「シティハンター」という映画の話題を聞いて観てみたいと思っているが自分はNetflixに加入していない、と言っていたのを聞いて、ちょうど良いからと私は自分のパソコンを持ってその人と合流し、一緒に視聴することにしました。

 「シティハンター」の予備知識が何も無い20代の友人が観た感想。それは、「テンポが良くアクションも派手で楽しめたけど、話の流れはところどころ、なぜそうなったのかよくわからなかった」とのことでした。

 確かになぁ…。原作を知っている視聴者は原作の知識で自動的に補完して観ることができるけど、予備知識が無いとよくわからない部分がある。これも人気作の映像化作品には実によくあることです。

全体的に唐突

 友人曰く、まず「シティハンター」というのが何をする人たちなのか、世間にどう認知されているのかがわからないとのこと。……うん。確かに、原作を知らなければリョウの化け物みたいな強さを含めて唐突すぎるかも知れません。

 そして冒頭でいきなり暴漢に殺される槇村。これは原作に親しんできた私ですら唐突に思えたので、友人は何が起こったのか飲みこめなかったようです。

悪党がすぐ死ぬ

 笑えたのが、敵の組織であるユニオン・テオーペが、利用してきた者たちが用済みになるとあまりにも容赦なく始末してしまうので、友人は

「あれ、犯人死んだから解決しちゃった…?」

 と何度も思ったそうです。(仲間だったはずの者に殺されたとすぐには理解できていない)

 悪党の組織があまりに残忍で短絡的なのは、物語が今よりもずっと単純だった1980年代の味わいを残している気がします。

 なお、最後の戦いで飛び去っていったヘリコプターも、原作を知らなければユニオン・テオーペがどのくらい巨大な組織なのかピンとこなくて、友人は警察のヘリかと思ったそうです。確かにな…。

今また世代を超えて楽しみたい作品

 とはいえ、冒頭の追いかけっこや、特殊部隊を二人だけで倒してしまう戦闘シーンを楽しんだり、香の亡き兄に対する想いには涙ぐんだりと、映画そのものには見どころがあり楽しめたと友人は言っておりました。

 エロ野郎が日本国内で銃をぶっ放す。現代の基準であれば例えマンガでも完全にコンプライアンス違反だと言われそうですが、これぞマンガが今よりよほど単純でムチャクチャだった80年代の空気です。20代の若者にはかえって新鮮だったことでしょう。

 これをきっかけに、平成生まれの新しい世代がシティハンターを再発見し、私たち昭和生まれと世代を超えて語り合いながら、実写版「シティハンター」の続編を心待ちにしたいものです。

あのイントロが流れる

 20代の友人はエンディングテーマの「Get Wild」を知らなかったそうです。シティハンターは知らなくてもGet Wildは聴いたことがあるんじゃないかと思ってたけど、そうでもなかったようです。

 もっと驚いたのが、「小室哲哉がかつて所属していたグループ」と説明しても、小室哲哉その人にピンときていないようでした。今の20代にとってはすっかり過去の人なのか…。