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公平と中庸 【重職心得箇条 6条】

重職心得箇条 6条、公平と中庸についてまとめてみました。

公平を失ふては、善き事も行はれず。凡そ物事の内に入ては、大体の中すみ見へず。姑(しばら)く引き除(の)きて、活眼にて惣体の体面を視て中を取るべし。(重職心得箇条 第六条)
(訳文)
偏った考えで公平な見方ができなかったり、私心をはさんでしまうと、良い判断はできない。
何か問題が発生した時、その渦中にどっぷりはまってしまうと、物事の全体が見えなくなってしまい、また中心から隅々まで目を届かせることはできない。
少しの間、渦中から一歩離れて、善悪・物の道理を見抜く眼力をもって、全体を洞察し、関係者の面目を損なわせないことを考え、中庸を取るのがいい。


「重職心得箇条」を企業にスライドさせると、重職とは「管理職」になりますが、家族という小さな組織にスライドさせると重職とは「母」と読めるのではないかと思っています。

地震・雷・火事・親父。

現代では父親=大黒柱という概念は薄れつつあるかもしれませんが、やはり父親は一家の長としてドンと構えていて欲しいですし、子育ての上でも理想と感じています。
普段は我が道を進み、時には子供と一緒にヤンチャして、でもしめるところはしっかりしめる...みたいな。

名称未設定のアートワーク 2

今回は、重職=母として読み進め、母の役割を改めて考えてみたいと思います。

■ 母にとっての「公平・中庸」とは・・・?

お兄ちゃんは不機嫌になるとすぐにいじけるから...
娘はまだ幼いしかわいいから...

ついついその場を丸くおさめたくなりがちですが、えこひいきをしたり私心をはさんでしまうのは、子供のためにも良くありません。

母親がどちらかに肩入れして本質を見失ってしまうと、いろいろな可能性や選択肢に目を向けることができなくなってしまいます。

入りこみすぎてしまう時は・・・
▷物の道理や本質を見抜く眼力をもって全体を見渡す
▷中庸を心がける
ことが大切になってきます。

この時のポイントは2つ。

POINT1:○内容にフォーカス ×人にフォーカス
誰が言おうが、良いことは良い・ダメなことはダメ。これだけは母親として絶対にブレてはいけないことかと思います。

妹「お兄ちゃんばっかり...」
兄「いつも怒られるのはオレばかり...」

こういう感情が積み重なることは避けたいですよね。
指摘を受けた方も「私が嫌ではなく、私がやった○○は確かに良くなかった。」と感じられるような伝え方を心がけたいです。

POINT2:○互いの良い要素を抜いて練り直す ×妥協した折衷案
お兄ちゃん案のこの部分と、娘案のこれを取り入れて...みたいな考えは、どちらつかずになってしまう可能性があります。
妥協した折衷案は厳禁です。

■ 「引除て活眼にて惣体の体面を視る」とは・・・?

今回の6条で一番の鍵となるのは「引除て活眼にて惣体の体面を視る」であると思います。図解してみました。

名称未設定のアートワーク 2

木を見て森を見ず。
よってみたり、ひいてみたり。

いろいろな例えがありますが、距離や角度を変えたりするだけでは△で、これだけでは立体的な見方とはいえません。

立体的な見方には・・・
▷視座・大局(たて軸)
▷歴史・時間の軸(横軸)
本質・道理(奥行きの軸)
これらが必要になってくるかと思います。

俯瞰的にものを見ようとするとどうしても視座を高くすることばかりに気を取られがちですが、歴史を学び、本質・道理を常に探ることは不可欠な要素となります。

■ 言志録にあてはめてみると・・・

1. 公平であること
45条 寵愛過ぐる者 183条 私心を挟むな
子供は敏感。
指摘する時は人ではなく、事にフォーカスした説明をする
例)
A(兄)だからOKで、B(妹)だからNGという訳ではない。
「Bのことがイヤダから言ってるのではなく、○○はよくないと思うよ」

気があう・感性が似てるなどはあって当たり前なので、それぞれの長所に眼を向ける。

2. 全体像を立体的に見ること ←中庸を取るために不可欠

▷本質
94条 地動三則 / 180条 全体と永遠を想え
ものの道理、あるべき姿をイメージする
そして子供にも伝える(タイミング、フェイズ、機は伺いながら)

▷歴史
90条 過去は将来の教訓 /140条 活きた学問
歴史に学ぶ。過去の事象を現代にスライドさせ活用する。
子供ともシェアできれば◎

▷大局
31条 実事と閑事 /88. 眼を高くつけよ/1条 其の数皆な前に定れり
眼をつぶれるところはつぶる
頭に言いたいことが沸いてきても取捨選択する
行き詰まったら目線をあげる。
自然界をみて循環している。自分は自然と流れているか?

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