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ダブル引越し中~逃避したり戻ったりしながら~

先月卒業した次女が戻ってくることになったので、休みのたびに車で少しずつ荷物を運び出している。同時に、昨秋一度戻ってきていた長女が家を出るための引越し準備をすすめている。

この春は、ダブル引越しで気忙しい。数少ない休日のほとんどを、荷物を運んだり詰めたりほどいたりしている。桜を見逃すのではと思うほど。

今年は桜前線も、同じようにとんでもない気忙しさで北海道までやってきた。5月でいいのに、と思う。今は祝日も休みがないので、GWに咲いても見に行く時間はないかもしれないけれど。でも、せめて引越しが終わるまで待っていて、と個人的理由で空へお願いしていた。

トップ画像は、ちょうど一週間前に、娘から送られてきていた写真。

やっぱり咲いているんだな、と小さなスマホ画面の写真をしばし眺める。
拡大したり、また戻したりして。

私の通勤経路の桜はまだみたい。
そう想いつつ、仕事もにわかに忙しいので1週間ほど車通勤していると、目立ってきてしまった。道路脇にちらほらとピンク色が。
車だと写真が撮れない。
運転席から、流れる景色を視界に焼き付けながらハンドルを握る。
今年は立ち止まって桜を愛でる機会はとれそうになく、これで終わりかな、と思いながら。

🌸

今、我が家には長女が運びだすものと、次女宅から持ち込まれた荷物が混在している。段ボールやら紙袋やら衣装ケースやら。次女のものは次女宅から中身ばかり運んでいて、大物の本棚などや収納家具がまだないので行き場がない。
長女は運び出すものを詰めては段ボールを増やしている。どんどんと床を占領していく荷物に言葉をなくし心をなくしつつある。今、我が家は人がくつろいで住める状態ではなくなっている。

行き場のないそれら。床に並べられ積み上げられた荷物を見て、ぷつりと頑張る糸がきれて寝転がる。
いい年になって、いまだに親の私が動く必要はない。放っておけば、きっとそれなりに終わるのだろう。気になってアレコレ動いてしまう自分の性分に嫌気がさす。

先月、何度か次女宅まで車を走らせていると、新年度だからか引越し作業中のトラックが何度か目に付いた。あいにくの雨模様。引越し当日が雨だと大変だなと横目に通り過ぎる。しとしとと静かな雨。それなのにフロントガラスのワイパーが必死に働いているのを見て、一瞬自分かと思い、一段ワイパーの動きを緩めたことを思い出す。

次女は家電以外の大きな荷物がないので、私の車を使って少しずつ運びだす作戦なのだけれど、車内にはまだ次女宅から運びだした本やCDや画材や洋服などの荷物が積まれたまま。手伝っておいて、力尽きている。

しかも、ある程度モノが溢れると、片付けようとする思考が失われるらしい。日暮れ時、片付け魔の私が、半分ほど車から荷下ろししたものを放置したまま、瀕死の状態でソファーに横になり読書の世界へ逃避していた。

長女が、そんな私の横をそ知らぬ顔で通りすぎ、お腹が空いたのか冷蔵庫を覗きこむ。ご飯作ってくれるの?と声をかけるが、聞こえなかったふりをして頂きもののチーズタルトと桃の天然水を持って部屋に戻っていく。
彼女は散らかっているのが苦にならない人間なので、床にモノがあっても快適に暮らしている。今、娘が無性に羨ましい。

考えても仕方がない。また車から荷物を少しずつ運び出そう。とりあえず次女の部屋の床に積んでおく。ダブル引越しを終えるのは、もう少し先。気の早い今年の桜は散る頃かもしれない。




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