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『私的気まま帖』essay note

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「非凡でなくてもいい、きみとなら何かが話せそうさ」がモットー 気ままに思いつくまま
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2020年5月の記事一覧

おもえばそれは夢だった

私の書いてきた歴史のなかで、大きなウエイトを占めているのは『詩』だ。 文章をみてもらっていたのも、主にポエム。そしてリリックスだった。 中学生からずっと詩を書いていたから、編集の方に声をかけられたときも、エッセイには全然興味がなくて。詩集なら出したいけれど、エッセイとは何ぞや、と思っていた。 今こんなに書いていることに自分でも驚くけれど。 縁あってその出版社が発行する紙媒体での本に、2度ほど作品が掲載されたことがあるのだが、皮肉にも最初に掲載されることになったのは、当時言

何もしないという親不孝感を

母の日がくる。 女性で子育て中の世代は、母であり、子であり。 もらうこともあり、渡すこともあり。 そんな人もいるだろう。 スーパーの入り口に、花束のコーナーが作られていて、若い夫婦が花を選んでいるのを、横目で通りすぎた。 私は何もしないから。 🥀 何年か前に読んだ新聞記事によると、 母の日にプレゼントしてもらいたいことの1位から4位までは「モノ」ではなかった。 一緒に外食が1位、その後、手紙や感謝の言葉、一緒に旅行などと続き 5位にようやくカーネーション以外の花、

作品が育っていく愉しみをしみじみと

昨年の夏に投稿した詩があります。 タイトルは『薫風』 少女時代のひとコマを切り取ったもので、お気に入りの わが子的な作品。 私がnoteを書き始めた初期のころからのお付き合いでもあるkonekoさんは、個性溢れるnoteを作られています。 そのkonekoさんが最近作られたマガジンが「konekoのおもちゃ箱」 フリー素材を集めて青空文庫をつくろうというもの。 そこに寄贈した『薫風』が、大きく育っています。 👒まずひとつめ。 英訳され、グローバルになりました。 日本

日曜日、朝ごはんにたどりつく前に

無意識に手の力が抜けたのか。 私の手の中にいた卵がひとつ、するりと床に落ちていった。 ぐしゃり、と割れてキッチンマットへと染み込んでいく。 すぐに動けず、あーあ、と間抜けな声を出し見つめる。 ティッシュを手にとり、つかみあげようとするけれど、ドロリとした白身と崩れてしまった黄身。半液体ともいえる物体ををつかまえることは至難の技で、だからといって布巾を押し付けて染み込むようなものでもなく。 キッチンペーパーで掬い上げるように拭き取り、その後洗剤を付けて拭いていく。 けっこう