新庄剛志新監督決定！ 何もわからんけど。誰もきっと書かない稲葉篤紀監督回避、GM就任理由とは！？（ただの想像です）
わたしが北海道日本ハムファイターズのファンになったとき、新庄剛志は、もうチームには、いなかった。
2007年、パ・リーグ連覇の時から、ほぼほぼ全試合ファイターズとともに過ごしてきたが、新庄剛志とは、１日も過ごしていない。
「これからは、パ・リーグです！」
2003年、アメリカから帰ってきた新庄剛志は、そう語り、一番初めに声をかけたというファイターズに電撃入団した。そこからわたしは、1試合も観ていない。さすがに2006年、日本シリーズになって初めてテレビを見た。新庄剛志は、最後のボールを掴み、センターとレフトの間、フェンスの前で、森本稀哲と抱き合って泣いていた。
わたしが体験した「北海道日本ハムファイターズの新庄剛志」は、たったそれだけの人である。
が、だからと言って、彼のことを何にも知らないわけでもない。わたしが知っている新庄剛志は、むしろ「阪神タイガースの新庄剛志」であり、「芸能界に入りたいから野球を辞めたい」（本当の理由は違ったらしい）と記者会見までした相当トッポい兄ちゃんであり、「絶対に成功するわけがない」と今で言うところの誹謗中傷に全野球界、メディア、ファンから晒されながらメジャーリーグに渡り、あれよあれよとする間に所属チームで４番も打ち、ついにワールドシリーズにまでも出てしまった新庄剛志である。
新庄剛志の野球人生は、一言で言って波乱万丈というしかないが、そうさせているものが一体何なのかは、わたしには、わからない。運動能力の高さと視野の広さ、感受性といった感覚的な能力が、破天荒なまでに発達していたことくらいしか。
わたしが、判断できないもう一人の「わからない野球選手」は、イチローである。突出した技術と記録、凄い選手、素晴らしい野球選手、なのはわかるけど。どうしてなのかはわからない。ただどちらかというと内へ内へ向いていく鈴木一朗と、わけのわからないレベルで外へ外へと向いていくように見える新庄剛志に、共通項はあるかもしれないな、とは思う。
その「内側」は、両者とも結局、誰にも見えない。つまりは彼らは、いったいどんな人間なのかは「わからない」のだ。
「わからない」からこそ、神話は生まれる。
神話とは余白の物語である。読み取るものが、自ら勝手に読み込める、想像の翼を羽ばたかせる余白があればあるほど、物語は大きく、広がっていく。
「イチロー神話」と「新庄神話」は、言うたら質が違い、もしかしたら「階級」も違うのかもしれないが。こちらから見れば大した違いもない。だってどっちも知らない人だし？
規定路線だったはずの稲葉篤紀が、ファイターズの次期監督から外れた。ズバリ言って、「パワハラ」とされている彼と配偶者による文春砲スキャンダルの影響だ（としか思えない）。
野球に興味ない全国の皆さんはもちろん、多くの北海道以外のプロ野球ファンも多分知らないでしょうけど。北海道のファイターズファンの５０％以上は女性である。そして北海道のスターたる稲葉篤紀を支えてきたのは、2003年以降ずーーっとずーっと彼を愛し続けてきたのは、中高年の女性ファンである。当初は40、50代だった人ももう60、70代になる。80代の人だっていっぱーいいる。あーた、許されるとおもいはります？ あたしは、ダメだと思うよ。チケット100枚買ってた人だったら余計ダメだと思うよ…。
「稲葉さん」は「さわやか」で売っていたのである。めっちゃ「良い人」で売っていたのである。本人自ら「おばさんは裏切らない」がゆえにこちらから絶対に裏切ってはいけないと語ってきたのが稲葉さんなのである。しかし本スキャンダルは、大枚はたいてきた側からすれば、明らかに裏切りであるのだから…。
ファイターズ球団は、中高年の女性ファンから見放されたら、その瞬間で試合終了だって判断したんだと勝手に想像する次第です。
そして、だからこそ、稲葉さんの汚名返上、名誉挽回をさせられるであろう唯一の人物を選択した。
新庄剛志。彼こそが、パ・リーグ不毛の地、北海道、札幌ドームに多くの客を呼び込んだ男。新規のファンの開拓者。80年を過ぎる日本プロ野球史上もっぱら顧客層では全くなかった、中高年の既婚女性を取り込み、さらにはさまざまな仕事を持つ個別の女性たちが、4万人のスタジアム半分を埋め尽くすまで。
原点に戻れ。
ファイターズ球団が、そう考えたかどうかは知らんけど。おばちゃんたちの縦横斜め無尽のつながりは、会社の都合か単独でしか動けないおっちゃんファンとは比べるまでもない強大な力を持つ。
そしてさらに、過去を知らない新規の若い顧客を呼び込むために。よくわからないけどすげー人らしい。テレビで見たことある有名人だ！的な効果は、どれほどあるのか。起死回生の急旋回は、ありえるのか？
北海道日本ハムファイターズ、新庄剛志新監督のお手並み拝見させていただく、一人のおばちゃんファン、なのである。
（文中敬称略）
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