「韓国に行くな!」と大合唱されたら、行きたくなるじゃんよお…で行ってきました。初めての海外旅行ーソウル3泊4日の旅ーその7ーソウルの古本総合施設ソウルチェクポゴで、考えた。


観光2日目ももう後半。

ユッケピピンパを食べた後、わたしたちが向かった場所は。

これもガイドブックに載っていた。昨年設立されたソウル市公設の古本屋兼図書館ーソウルチェクポゴ。東大門からソウル市ソンパ(松坡)区 新川洞へタクシーで向かう。漢江の開発地区、ハイウエイを抜けていく。晴れ渡る青空に、そびえ立つ高層マンションの群れ天を突くロッテタワーが見える。

銀色のフラットな建物の前にタクシーがつけてくれる。思ったより大勢の人たちが訪れている。

本棚の奥には、座れるようにクッションも置かれて、寝転んでいる人までいた。自由でいいなあ。例によってカフェも併設されていて、テイクアウトのコーヒーカップを持って歩いている女の子も。

「コーヒー飲みたいねえ」

「ですよねえ」

とカウンターへ行ってみる。星野源に似た若い男の子が立っている。

カフェラテを指差して。うなづかれるも。

「HOT  or ICE?」

「ほっと」

「HOT or ICE?」

「ほっと」

「HOT?」

(星野源がいらついている〜〜〜〜)

HOTー「ハット」の発音である。

大きな声で「ハット」と言ったら、にっこりと笑顔になった星野源。

ほっとした。

彼は、単なる接客担当ではなかった。くるりと踵を返し、エスプレッソマシンに向かう。丁寧なお仕事で、出してくれたカフェラテは…美味しかった〜〜。お友達もいたく感心している。ありがとう星野源、に似たお兄さん!

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一息つきながら周りを眺めると、パソコンで作業をする人(もちろん電源もFreewi-fiも使える)勉強に来ているらしき女子高生、子どもをつれた若いお母さん、デートカップルと思い思いに過ごしている風景が、なんだかとってもとっても羨ましかったよおおっ。

図書館でもあるけど古本屋でもあり、すべての本に値段は付いている。いわゆる古書もあって高額なものはガラスケースの中に入れられていた。

韓国の図書館事情、本屋さんの事情はわかりませんが、ネット媒体に押されて日本と同じように苦戦しているだろうことは想像できる。でも、それでも本や図書、社会的歴史的財産としての文字文化に対する意識は高いように感じられた。

日本では図書館司書の仕事がないがしろにされ、ほとんどが非正規の低収入の仕事にさせられてしまっている。この10年くらいで公立図書館、大学の図書館ですら、蔵書を処分して燃やしてしまったとか歴史史料と知らずに捨ててしまったとか、無残なニュースを何度も見てきた。

ソウルチェクポゴは、ソウル市が古本屋を統合して作った施設だそうだから、その背景にはいいことばかりは、ないのかもしれない。でも古本を残そう生かそうと公的機関が動いてくれることは、意義のあることだ。

わたしの住んでいる近くの琴似では、5、6軒はあった古本屋は、どんどん潰れて、ほぼなくなってしまった。老舗の本屋もなくなった。札幌での古本、ブックシェアは、今や全くの手弁当で小さい団体がやってくれている…。

ー言葉ーは、わたしたちにとって、その自らのアイデンティティーわたしがわたしであることーを確認し、決定づける、最も大事な事柄のはずだ。

その言葉のあり方自体が、今の日本では問われてもいる。政府の偉い人が、重要な案件について、国会や公的発言で嘘をついても、間違いがあっても、そのまま素通りし、犯罪的なことですら何の罪も問われず。逆に真実を伝えようとする人たちは殺されたり、自殺したり、なかったことにされる。

言葉には、何の意味も価値もない。

もしも日本の若い人たちが、そんな風に感じるのだとしたら。それは、リアルでないと、わたしには言えない。

言葉を、もう一度信頼に足るものにするために、わたしたち大人にできることは、あるだろうか。諦めては、そこでお終いだから…。

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施設から出てみると、駅に直結していた。高架になってるけど地下鉄につながっている2号線「チャムシル」駅。せっかくだから乗って帰ってみようかと改札口へ。路線を確かめようと発券機の前で考え込んでいると。

「may I help you?」 

若いお嬢さんに、声を掛けられる。

もちろんこちらに向かって「何かお助けしましょうか?」と聞いてくださったのだが、とんちきなわたしは、彼女が観光客で発券機の使い方を聞かれたと勘違いして

「I'm japanese!」と答えてしまう。

自分は日本人なんでわかりません! のつもり…。

しかし、彼女は、ああ日本人なんですね。と発券機を見つめ、行き先を確かめて、ハングル版で「ここです。これで買えますよ!」と掲示してくれた。

なんとこの駅から、ホテルの一番近い駅まで直行できるのだった…。

サンキューサンキュー、カムサハムニダ!

ありがとう、優しいお嬢さん。

ソウルの人たちは、こちらから尋ねる前に、困ってそうな人に話しかけてくれる。

日本人のわたしの体験では、困っている人から道を尋ねられたり、場所を聞かれて教えてあげたり案内することは、度々あるけど、自分から声をかけることは、それほどないなあと思い返した。

東京の電車などで、ベビーカーが乗ってきたら邪魔者扱いし、あろうことか蹴ったり、倒れている人がいても全員無視してて愕然としたとか、盲目の方がホームから転落したり…困っている人に冷たく振る舞う日本人のニュースもこれまた絶えない。親切なのが取り柄だったはずなのに。どうなっちゃったんだろうか…。(ていうか東京にこないだ行ったけど、人々は相当に疲弊している感じだったよな…)

隣の国に遊びに出かけて、自分の国のことばかり考えてしまう。

結構混んでいた夕方の電車は、明洞に戻っていった。


さあ、最後の晩餐。サムギョプサル編へ続く!




















       




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