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どうしてもあなたに会いたくて…「帰ってきた橋本治展」神奈川県立近代文学館に行ってきた。その②

 https://note.com/rieonoyma6468/n/naec7ff2c9c5e

 こないだ横浜に行ってきたんだ。
その日、朝6時から仕事で。特注のお弁当が入っちゃって。山菜の季節だから蕨の叩きとか蕗の煮物だとか。買ってきたのでないよ。採ってきたのよ。昼まで働いて。札幌から横浜へ。水曜が午前で終わり、木曜は休み、金曜は午後からシフトの合間をぬっての、お一人様弾丸ツアー。

あたしにとっては、特別のことじゃないんだけど。
ふつー主婦は、そういうことしないらしくて。
「すごい!」
「よくやるよね。」
「お父さんのご飯はどうするの?」

なんでこんなこと聞くんだろう。
大人なんですから、誰もいなけりゃ自分でするのが当たり前じゃん。
一人でどっかに行ったりするのを夫に申告したり許可をもらったりもしない。大人ですから。
「行ってくるからよろしく」って言うだけだよ。

そういうわけで、新千歳から羽田空港について、横浜はミナトミライ桜木町。迷わずに行けた😀 京急で乗り換え1回だから迷いようがないけど。でもやっぱスマホやパスモがなかった頃とは、スイスイ度が全然違う。
もう少し若い頃は、新宿駅で荷物を入れたコインロッカーが見つからなくて迷いに迷って1時間以上彷徨い、見つけた時には、ホッとして泣いたりしてたんだから…。

街の灯りがとても綺麗よ 横浜〜♪

 いや〜それにしても、一人でこんなおしゃれ感な街のホテルに泊まるなんて最高〜〜💕 窓のない部屋でがっかりしたけど、それでもめっちゃ解放感。誰もいない。仕事もない。何もしないでも何をしてもいい。自由〜〜〜

雑誌とかで見るようなおしゃれ感。札幌にもありそうでないんだわ。やっぱし。

 朝食はホテルのカフェで。他国のお客さんが多い。お天気が良くて気持ちがいい〜。ローストしたトマトのスープ、酵母で焼いたっぽいパン、エスプレッソマシンで入れたらしきコーヒーも美味しかった。今の時代は、細かいセンスの良さが求められるんでしょうねえ。

神奈川歴史博物館 重厚で大きな建物は旧銀行

 桜木町から横浜スタジアムのある関内、さらに元町駅、さらに港の見える丘公園までは、歩こうと思えば歩ける距離。3年前のあたしならば、歩いてみようとしたでしょう。しかし、今は腰痛と股関節痛で、少し歩くと痛みで辛くなる😢

 朝の9時にホテルをチェックアウトして、すぐ近くの神奈川歴史博物館に行ってみたら、まだ開館してなかった。スマホを見たら9時と思ってたのが9時半オープンだった。修学旅行生らしき中学生も閉じた扉の前で時間を潰している。
 快晴の下、朝の馬車道は、キラキラしている。今はどこに行っても無味乾燥な同じような街並みばかりでつまんないけど、さすがに古い街なだけにおしゃれ一辺倒でもなく色々混ざり合った雑踏感が良い感じ。
歴史博物館は、見る物が多くて、意外と時間がかかった。横浜は、日本と西洋と東アジアを繋いだ港だった。

赤い靴と女の子のプリントされたお土産があった。
♪赤い靴〜履いてた〜女の子〜〜〜いーじんさんに連れられていっちゃった〜「いーじんさん」(異人さん)は、「いいじいさん」だとずっと思っていた。(ちびまる子もそう思ってたっけか?)


バラのアーチを抜けて目指す場所へ
小さな森の中に、それはあった

『帰ってきた橋本治展』 具体的には何も調べてない。とにかく行けば良いの気持ちだし、とにかくこのところ忙しくて時間がなくてさー、誰にも聞かれてもいないのに言い訳してみるけど。文学館のことも何も知りません。
だから、あたしは、本当に、本当に驚いたの。

橋本治の回顧展が開かれる文学館が、こんな緑の中の、こんなに素敵な場所にあるなんて…。まるで大きな木に守られているみたいに。だんだんと近づいてくる『帰ってきた橋本治展』…胸がジーンとして、涙が出そうになった。優しい橋本さんがいるところ、あまりにぴったりだったから。

若いあまりにも若い治ちゃん💗

会場には、たくさんの人がいた。やっぱり高齢の人が多い中、若い人もたくさん来ている。平日なのに、さすが人口の多い首都圏は違うよね。札幌で、もし同じ企画ができたとしても、こうはいかないよね…。

企画者、コーディネイターの熱意が伝わる展示だった。
橋本治には、熱狂的ファン、筋金入りに理屈っぽいファン、玄人、とんちきな人、業界の人、一筋縄ではいかない読者がついている。
誰もがとは言わないけど6割くらいの人が「いざ勝負勝負」とイキって見に来ているはずだ(多分違う)

つーか、あまりに愛情を持っているものだから、
「治ちゃんの作家人生に変なことしたら許さねーぞ」
的な変な義侠心があるんだよね。橋本ファンには。

って、誰ともそういう話をしたことはありませんけども。でも絶対に、あたしだけの思い込みではないよ。ね?

変なことは何もなかった。知らないこともほとんどなかったけど。知りたかったこと、思わぬこと、かゆいところに手が届く、繊細な組み立て、作家の尊厳を守り、作品が立ち上がる。

 そして『桃尻娘』のコーナーから、一緒に歩き出す、17歳のあたし、
『シンデレラ・ボーイ シンデレラ・ガール』を抱きしめた20歳のあたし、
『恋愛論』を読んだ24歳のあたし、
『二十世紀』を読んだ39歳のあたし、
『蝶のゆくえ』を読んだ43歳のあたし…
『草薙の剣』と『九十八歳になった私』を読む56歳のあたし…

そしてもう、橋本治のいない世界を5年も生きてきた61歳のあたし。
ずいぶん遠くに来てしまったけど。そうでもないのかもしれないし、
そうなのかもしんない。

作家は生きる。
17歳でも31歳でも60歳でも70歳でも…どこにでも自由に飛んで。
今生きている、何処かの誰かの手の中へ

どうぞ、より多くの方達が、橋本さんの本、作品を読んでくださいますように。星に願いをかけたくなる。そんな展覧会でした。


港の見える丘公園から見える港と空


港の見える丘から また未來が、言葉が、紡ぎ出されると信じてみたい。
また明日から「生きてみよう」と思える
素晴らしい一日。
あなたに会えて、本当によかった。













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