とても辛いことがありました。ファイターズ が巨人に負けたことではありません。人生、野球よりも大事なことはある。それは、命です。

66試合目 2019 6/16 F×G  3対7 札幌ドーム

朝、仕事にでかけ、昼過ぎに家に戻った。夫が部屋の掃除をしていて、昼ごはん食べたのかなあ?と思いながらリュックを置こうとしたら。

「〇〇ちゃんが、亡くなったんだって」

もう10年は付き合いのある、娘のお友達が、死んでしまったという。予兆がなかったわけではなく、ありえるかもしれない、できれば来ないまま過ぎて欲しいと願うしかなかった状況だったけれども。現実になってしまったのか…。

何もできなかった…という後悔と、もう彼女は頑張らなくてもいいんだという勝手な安堵のようなものが、去来する。

家に帰ったら、いろいろやろうと考えていたこと、ファイターズ と巨人とのゲーム。全部が二重窓の向こう側にあるような感じがする。

それでも納棺式まで時間があったので、テレビで試合は見ていた。せっかく菅野さんから3点も取ったのに。いや取ってしまったからかもしれない。守りたいという気持ちになっちゃったのかもしれない。杉浦くんはあっという間に5失点。

そこからマウンドのエース菅野は、不敵な表情に生まれ変わる。ああ、こりゃあかん、多分無理だわ。このまま負ける。今日だけは絶対に負けたくない。負けないとどんなに思い込もうとしても。直感は逆の方にしかアンテナを立てなかった。

時間がきて、車で葬儀場まで送ってもらい、お顔を見せてもらう。穏やかな、安らかな綺麗な顔をしている。若いから、余計に美しいまま。苦しみから解放されて、楽になったんだろうか。魂は自由に空を飛んでいるのだろうか。

何もわからないけれど。

手のひらを握りしめる。

人間の寿命は、人それぞれなのかもしれない。長いとか短いとか関係ないのかもしれない。一杯一杯に生き切って、力が尽きてしまうこともあるだろう。

でもさ。やっぱりさ。死なないで欲しいんだって・・。生きてくこと自体がキツイ、辛いことってきっとすごくあるんだと思うけれど。

ー生きなきゃとー

誰の声だっけ? キリアンかな・・いやマチアスだ。こんなときに、声はどこからか降ってくる、

ーこの光あふれる 小さなあずまやは ぼくにとってなんだったのだろう

彼は ぼくに何も言わなかった ただ

花に水をやってくれない? と

キリー、花に水をやってくれない? と

"生きなきゃ" とー

『ポーの一族』萩尾望都作 第3巻「小鳥の巣」より

こどものわたしを、この世界に繋ぎ止めた。愛する物語。記憶は消えない。いつでも助けてくれる。こうやって頭の上から、降ってきてくれる。

そういう何かが、どこかで苦しむ誰かの胸に、あればいいのに。

ずっとそう願います。



ファイターズ  34勝28敗4分 





 








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