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大海原へ漕ぎ出すー道産子ドラ1伊藤大海は。ファイターズの航路を導く、その考える力で。

2021 3/31 札幌ドーム F×L 1対1 

全然関係ない話ですが、父の仕事の関係で鹿部町に住んでいたことがある。といっても、わたしはその前に転勤した稚内で高校3生だったので、そのまま寮生活になり、鹿部町には、夏休みや冬休みにしかいなかったんですが。それでもなんとなく、親しみがあるよね。鹿部町出身、伊藤大海投手。

リンクした記事にある「自分の課題を見つけてそこを解決して、次のステップに向かうサイクルができている」大渕スカウトの言葉や、ドラフト後に色々なインタビューに答える様子から、今年のドラ1くんは、一味違うようだと期待していた。

去年、いや一昨年から、ずっとずっと何回も何回も繰り返しているけれど。ファイターズに必要なのは「自分で考える力」と、それに伴って「大人になること」なんだって(もう十分大人な年齢にはなっちゃったけどね。みんな)

相手のあるゲームである野球は、従って頭を使うゲームだ。身体能力だけでどうにかなるようなスポーツじゃない。大谷翔平は一人でやってたじゃないかって? 大谷さんだって相手に向かって投げてるし、相手から投げられたボールを打っている。そして誰よりも考え考え考えながら、野球をやっているでしょう。

プロ初登板、デビュー戦のマウンドで。伊藤大海は、まさしくも大人だった。浮足だったところもなく、かといって高揚感はしっかりと胸にありながら、しかし冷静に、第一球から意味のあるボールを投げていた。

むやみに力まかせでもなく、コースを選んで、緩急もあり、変化球の切れも抜群。組み立ては、バッターによって変わっていたし、決めるところで決める。だらだら間を開けることもない。

極め付きは5回表、ライオンズの8番バッター、呉 念庭に浴びたホームランの後の投球だ。ファイターズは、初回からランナーを出し続けながら、いつものように満塁のチャンスをピンチに変えて、全く得点できない。ライオンズも同じくだったが、試合の流れを相手に渡していなかったのは、間違いなく伊藤大海のふんばりだった。

なのに、とうとう1点先行されてしまった。こういう展開では、大抵の場合投手はがっかりしてしまい、流れが一気に相手に行ってしまう。ことさら近年のファイターズには、それを堰き止める力は、ない…。

しかし、今夜の伊藤大海は、違った。失点した後が大事だと言い聞かせるように、マウンドですーっと息を継ぎ、テンポを緩慢にすることもなく、後続を抑え切った。

失点の後の投球が大事ーなんてことは、プロ野球選手なら誰だってわかっているんだと思う。でもわかっていても、なかなか出来ないのもプロ野球。なにしろ相手がいることだから。かさにかかってくる相手に、大きく変わろうとする流れの波に飲み込まれないためには、どうすればいいのか。

きっと伊藤大海は、考えてきたんだろう。ずっと前から。本人に聞いたわけもないけど、わたしには、そう見えた。マウンドに立つ、彼の姿に、本当に感心してしまった。いったい今までどれだけ野球について考え、結果を実現するために努力してきたんだろうかって。

伊藤大海の投球に引っ張られ、緊張のゲームは続き、ファイターズは、なんとか同点に追いつきながら、如何ともしがたく力不足の打線は、最後の最後まで満塁のチャンス逃して、試合終了になってしまったけれど。

今日のところは、このかけがえのない道産子投手が、ファイターズの一員になってくれた。広い海原へ漕ぎ出してくれたことに、感謝したい。

次は必ず、プロ初勝利をプレゼントする。わたしたちのファイターズが。

そうだよね!? お兄ちゃんたちよ。










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