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鶴岡慎也現役引退。みんな大好き鶴ちゃんーその闘志の炎は、これからもきっと灯され続けるー感謝を込めて


多くのファイターズファンから「鶴ちゃん」の愛称で親しまれた、鶴岡慎也捕手が、引退を表明した。19年目の終わりだった。

わたしが、勝手につけていた鶴ちゃんのキャッチフレーズは、「ダルの愛妻」でもなく「ハーデル」(ヒルマン元監督がつけたあだ名)でもなく「ガチャピン」でもなく、「豪打鶴岡」である。

2006年の日本シリーズで、初めて鶴岡選手を見た。彼はチャンスで、勝負の大事なところで、ヒットを打っていた。打撃の良い選手というイメージが、頭に染み付いた。実際は、さほどでもないのだが、ここぞという時の勝負強さは際立っているし、上記にリンクした生涯成績を見てもらえば、ホークスからFA出戻りでファイターズに復帰してからこっち、打席は少なくとも打率は高い。さらに若い捕手陣の打率の低さを見れば、頭抜けているとすら言える…。

わたしの鶴岡慎也へのイメージは、最初から最後まで変わらなかった。チャンスに強く、そして、同時にピンチに強い。攻守の要。

ダルビッシュを操ることのできる唯一の捕手として、球界で有名になった鶴岡だったが、とにかく我慢強い。グイグイひっぱるというより投手に寄り添うタイプ。そういう捕手の方が、メンタルは強いと思える。

抑えれば投手の手柄、打たれたら捕手の責任、そう受け止める覚悟と度量、懐の深さは、一番だった。

捕手の仕事は、労苦多く、報いの少ないポジションだ。ダルの年棒は、ファイターズの最終年8億だったと藤井元社長が著書で暴露していたが、お鶴の年棒は、5000万あったどうかだったと思うし、シーズン1億超えたことがあったのかわからない…。

バッテリーの仕事は、両者でしか成り立たないのに、あくまでも主役は投手である。捕手は、脇役ですらない、裏方に近い扱いだ。なんだか理不尽だなあ、割に合わないなあと、ただのファンは、いつも歯痒く見ているけど。ご当人たちは、どう捉えているんだろうか…。

それはともかく鶴岡慎也は、そのような状況、捕手の仕事を愚痴ることもなく、打たれて失敗しても抑えて成功しても、本人いわく「死ぬと思った」自打球での顔面骨折の大怪我も克服し、19年間、弛むことなくグラウンドに立ち続けた。

多くのファンに愛された鶴ちゃんの美点は、いくつもあるが、わたしが、プロ野球選手鶴岡慎也に関して、初めて見た2006年から2021年最後の試合まで胸打たれ続けてきたのは、試合に向かい相手に向かう、そのあくなき闘志である。

2年続けて入団テストを受け、2002年ファイターズにドラフト8位指名。すぐに首になると覚悟していたと語っていた。体も小さく、地味で目立たぬ無名の選手が、初めから残酷なプロ野球の世界で生き残るのは、並大抵のことではない。

19年目のオフに、兼任コーチからコーチ専任になってくれと打診されながら「火が消えていない」と退団の道を選んだ鶴ちゃん。

その炎こそ。わたしたちが、ずっと見続けてきた、愛し続けてきた。たった一人の捕手、鶴岡慎也の、野球を照らすー闘志だったのだと。今更に手のひらに握りしめるように感じる。


ありがとう鶴ちゃん。長い間、素晴らしい野球を見せてくれて。ありがとう。これからもずっと元気でいてくださいね。ブラボー鶴岡慎也💓

(文中敬称略)




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