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ついに札幌ドームへ。スーパーアイドルの帰還。谷口雄也の明日はどっちだ。2018年に記す。


2018年9月29日、わたしたちの谷口雄也が、一軍のグラウンドに戻ってきた。

公式戦出場は、ほぼ二年ぶり。2017年の春に右膝靱帯手術の後、シーズンをリハビリで過ごし、今年の春は一軍キャンプに帯同していたが、本調子には遠く、開幕以来、鎌ヶ谷暮らしが続いていた。

逐一ファームの状況はチェックしていた。なかなか芳しい結果は出ない。足の状態も一進一退のようで、試合も続けては出られず、その上、脇腹の肉離れも発症し踏んだり蹴ったりの前半戦だった。

それでも野球をやれていることが、ファンにとっては嬉しかったけれど。膝を故障する以前から谷口雄也の悲しくも決定的な特徴は、チャンスに弱いことだった。ほぼ1年一軍にいた2016年も得点圏打率は低く(しかし得点率は割と高かったんですが)タイムリーを打てることは滅多になかった。

谷口くんが一軍に上がるには、そのチャンスに弱いところを払拭しない限り難しいだろう…。

ファイターズでは25歳過ぎたらもう中堅で、27歳になって一軍で出場機会が得られなければ、君はあちらのほうが試合に出られるからねと外に出されてしまう。

冷たい球団のようだけれど、その方式で移籍していった選手は、けっこう活躍している。最大の大物、糸井嘉男は別枠としても、今ホークスの川島慶三元ヤクルトの今浪くん、目立たないけどドラゴンズの工藤ちゃん、阪神の今成亮太、巨人の吉川くんは今年やっと力を発揮しはじめた。陽くんは…

おっとっと話がずれた。つまり今年26歳の谷口くんも、故障が癒えたとしても自分の壁を突き破らないと宙ぶらりんの中堅に位置付けられてしまい、シーズンオフには、厳しい現実が待っている。そんな風に見えていた。

が、8月以降谷口雄也は、その壁を破り始めた。タイムリーヒットを放ち、サヨナラヒットを放ち、勝ち越しホームランを放つ。

9月6日の北海道で起きた胆振地震のときには、遠く千葉で野球をすることに心苦しさを感じながら、今日はどうしても勝ちたかったとヒーローインタビューにも立ってくれた。

なにやら一皮剥けたんじゃないのか、きゅんちゃん? 鎌ヶ谷焼けで真っ黒になりながら、相変わらず可愛い過ぎる笑顔を見せながら。大人になっているんだ。その後もイースタンリーグで打ちまくり。連日猛打賞の結果を出す。その頃、一軍のファイターズは、負けてばかり。全く点が取れない。

なぜきゅんちゃんを上げないんだ!?栗山英樹!?

調子の波は二週間だよ!今上げないでいつ上げるんだよおおおお!!

と聞こえるはずもない、ツイッターで叫び続けること、数日。

ついに昇格の時がきた。

楽天生命パーク。対イーグルス24回戦。8回表、1対1、2アウト2塁1塁。その前の代打鶴岡のところで出して欲しかったのに。栗山監督には、わたしの電波は届かず、2アウトで出てきた。

打席の谷口くんは、ものすごく緊張していた。心臓の音が、テレビの中から飛び出して聞こえるんじゃないかというくらい。顔もこわばっている。鎌ヶ谷で自信を取り戻して打っていた顔とは違う。

ほぼ二年間、一軍の投手の球も見てないし、打ってないんだし、どういう心境だったのか・・わかるはずもないけれど。とにかく緊張のあまりバットは振れず。結果はセカンドゴロだった。

その前のイーグルスの攻撃で、中継ぎ登板に失敗し続けていたトンキンが、ついに123(ワンツースリー)で仕留めていた。流れはファイターズで、チャンスもやってきた。ここで打ったら勝ち越し打のヒーローだった。でも、打てなかった。ヒーローには、今日もなれなかった。

谷口雄也のプロ野球人生、羅針盤の針の向きは変わらないのだろうか。

ルーキーのときから、ひなにも稀な可愛い顔とそれに似合わぬ大きな体とスラッガーぶり、ギャップ萌えの極まるアイドルスターとして扱われ、営業もさせられてきた。

ファイターズは、稼げるもんは稼げるだけ稼げというスタンスのよくも悪くもがめつい球団だ。「谷口きゅん」は、自分に課せられた仕事を文句も言わずにこなしてきた。都合7年間も!(ツイッターのフォロワー数は30万越えしている。3万じゃないよ。30万ですよ。まじでそこらのアイドルより凄いから…)

しかし、もちろん彼は、プロ野球選手であり、グラウンドで活躍しなければなんの存在価値もないことも、知っている。

谷口くんの何を知っているわけでもないけれど。本物のアイドルスターは、ファンには見えないところで努力をし、強靭な精神と体力を維持し、世間を渡るしたたかな根性を持っているものだろう。

大きな怪我をして、厳しいリハビリに耐え、野球できない時間を耐え、少しづつ少しづつ一進一退を続ける。その孤独の時間を過ごしながら。自分の力で一軍に戻ってきた。そのこと自体が、もちろん凄いことだ。

根性あるだろ?

谷口きゅんには、一番似合いそうもない言葉でも。ここからが、本当のプロ野球選手としての力を試される時なんだ。

谷口雄也の羅針盤の針を大きく揺らせ。

そして、たくさんのファンが待ってる札幌ドームで。その舵を切ろう。

どっちへ行こうとも。

みんな一緒に、波を超える気満々なんだからね。























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