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JR函館本線貨物専用化と青春18きっぷの今後について語る

今年も夏の青春18きっぷが利用開始となりましたが、18きっぷ愛好家にとっては非常に気になる動きの続報が入って来ました。

既報の通りJR函館本線の函館〜長万部〜小樽間は2030年度に開業予定の北海道新幹線札幌延伸によってJR北海道から経営分離されます。
このうち長万部〜小樽間は完全に鉄路を廃止してバス転換される事が既に決定していますが、残る函館〜長万部間については北海道新幹線と接続する新函館北斗以北の旅客輸送はバス転換する方針となったものの、この区間は本州から北海道へ至る貨物輸送の大動脈でもあるので、北海道新幹線が札幌まで延伸された後も貨物専用線として鉄路を残すのかどうか議論が続いていました。
その結果今回、函館本線(函館〜長万部間)について国土交通省と北海道、JR2社(北海道と貨物)の4者間で協議がまとまって合意し、同区間は北海道新幹線の札幌延伸に合わせて貨物専用線化される事になりました。

今後は運行形態や費用負担などについての協議へ移ると思われますが、おそらく函館本線函館〜長万部を管理する新たな会社が設立され、JR貨物が第2種鉄道事業者として貨物輸送を続ける形になるのではないかと予想します。
ただし函館〜新函館北斗間はJR江差線の一部区間(五稜郭〜木古内間)の運行を引き継いだ道南いさりび鉄道が同区間の旅客運送も引き継ぐ可能性が高く、残りの区間も臨時列車が乗り入れる可能性は残るかもしれませんが、どちらにせよ函館〜長万部〜札幌間を在来線だけで乗り通すのは事実上困難となるでしょう。

それに伴って今後気がかりになって来るのは、今年も夏の利用期間が始まった青春18きっぷの行方です。
国鉄時代に青春18きっぷの前身である青春18のびのびきっぷが発売されていた当初は青函連絡船、国鉄の分割民営化(1987年)に伴ってJR北海道へ移管された翌年(1988年)に青函トンネル(JR津軽海峡線)が開業した後は当時運行されていた快速海峡号を利用する事によって青森〜函館間をローコストで行き来する事ができ、またその先も夜行運転の快速ミッドナイト号を利用すれば列車の中で一夜を過ごしながら札幌へ向かう事もできました。

しかし2002年に東北新幹線が八戸まで延伸された後は東北本線の一部経営分離や快速海峡号の特急格上げ&津軽海峡線(蟹田〜木古内間)の特例新設によって青森〜函館間での乗り換えが発生してしまいました。
さらに北海道新幹線が新函館北斗まで開業した現在、青函トンネルを青春18きっぷで通過するには北海道新幹線の一部区間(奥津軽いまべつ〜木古内間)と道南いさりび鉄道線(木古内〜五稜郭間)が片道利用できるオプション券が必要となり、加えてその先札幌方面へ向かう函館本線の列車本数も激減してしまったので(もちろん今は快速ミッドナイト号みたいな夜行列車も運転されていません)、青春18きっぷだけで函館や札幌へ向かったり道内を廻るのは道内在住では無い限り非常に難しくなってしまいました。
そして2030年度に新幹線が札幌まで延伸されると
函館本線の函館〜長万部間は旅客運送が完全に廃止されるので、在来線が100km以上に渡って分断される事になります。

青春18きっぷについては毎年廃止や縮小の噂が絶えないですが、おそらく北海道新幹線が札幌まで延伸される2030年度が存廃に向けての1つの目安になるのでは無いでしょうか?
その後は北海道新幹線の往復割引&道内区間限定のフリーきっぷ(もちろん特急列車も利用可能)という組み合わせが北海道での鉄道旅行では主流になって行くのではないかと予想します。

もちろんそれ以外の区間でも近年は廃線や経営分離が相次いだ事によって利用可能な区間がかなり縮小し、JRの全路線で利用できるフリーきっぷも最近はJR各社が販売する地域・区間限定のフリーきっぷに取って代わられつつあるので、青春18きっぷも2030年まで販売されるのかどうかは分かりません。
それでも青春18きっぷの利用者が多い限りはJR全線で利用できる最後のフリーきっぷとして生き延びるかもしれませんが、集中から分散が叫ばれるこれからの時代はさらに旅行やフリーきっぷの多様化が進んで行くでしょう。
加えて物価の上昇や鉄道運賃の値上げも進んでいるので、これからはもっと色々なフリーきっぷを駆使しながら鉄道旅行を楽しんで行きたいですね😇。

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