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静かに感動していること

6月半ばくらいから、ずーっと続いているBTSフェス。日本4枚目のアルバムも発売になり、地上波のテレビでも彼らの姿を見られる機会が増えた。日本語の新曲がいろんな国でチャート1位になり、BTSとのコラボ商品、そのプロモーション活動もたくさん。

そんな中、静かに感動していることがある。

私がBTSを知ったのは、去年の夏を過ぎたあたり。正確に言えば、その前から周りにファンの人がいて、名前は知っていたけれど、そして曲も聴いたことがあるけれど、あまり関心がなかったので、ほぼ「知らない人たち」だった。

去年の夏といえば、日本では雑誌、ワイドショーなどで嫌韓報道がすごく多かった時期。嫌韓を煽れば雑誌が売れる、視聴率が取れるとばかりに、韓国のことばかりやっていた。そして、それが本当に嫌だった。そこで得意げに話している人たちが嫌いになったし、毒づきたくもなった。そして、怖くなった。うちは夫が韓国人で、子どもたちはみな韓国と日本のハーフだ。このまま嫌韓ムードが続いたら、私たちにも嫌なことが起こるかもしれない。実際今までもちょこちょこ嫌な気持ちにさせられることはあった。そんな記憶がよみがえった。

https://wezz-y.com/archives/71697

でも、どうすればいいのかわからない。

そんな時に思いついたのがKPOPで教える韓国語講座だった。ヘイトな人たちの相手をすることじゃなくて、韓国のいろいろなものを好きな人たち、好きな音楽、言葉、気持ちで世界とつながれる人たちを増やしていくことにした。

それが1年前。そして、その結果どうなったかというと…。

私がBTSにはまりました(笑)

とても好きなアーティストになり、日本でのアルバムが発売された今も、とても楽しく追っかけ活動をしています。もしコロナがなかったら、日本でたくさんコンサートがあったので、そのどれかひとつくらいには行けて、さらに楽しかっただろうと思うと悲しい気持ちになるけれど、それでもリアルタイムで新しい歌やパフォーマンスに出会えるのがうれしい。

でもやっぱり、BTSの日本プロモーション中、「日本に来るな」というヘイトコメントはあって。そして逆に「日本語の歌は歌わないでほしい」と韓国のファンが言っているという記事も目にしてしまい…。

世界的アーティストとして認識されるようになってきたBTS。今までのKPOPアイドルのような日本語でのプロモーションはもうやらないかもしれないな。彼らも来るなと言われながら、わざわざ日本に来たくないだろうな…と思って、少し悲しい気持ちになっていたのだけれど、いろいろな番組に出ている彼らを見ていて気持ちが変わってきた。

彼らは「日本」を見ていない。彼らのファン「ARMY」を見ている。日本に住んでいる彼らのファンに向けて、自分たちの音楽を好きになってくれるこれからのファンに向けて、歌っている。彼らのファンを大切に思う気持ちは国を超えている。だから世界中にARMYがいるのだと。

それはわたしもそうだった。私は「韓国」と結婚したわけではない。韓国に生まれ育った人を好きになって結婚したのだ。だから、もちろんその背景にある韓国について、他の国より詳しくなったし、好きなところもたくさん見つかった。けれど、それは後からついてきたもの。最初は「人」で最後までそれはずっと変わらない。同じことだ。そう思えたら、それをまっすぐに伝えてくる彼らをさらに好きになり、自分の今までの道のりも大切に思えるようになった。

結婚して20年。まだヨン様ブームも来ていない頃に付き合って結婚したので、当時の韓国のイメージはIMFやデパート崩壊、橋が落ちる、スリ集団がいるなど、あまり良くないものばかり。結婚も反対されたし、日本で住むところを探すのも大変だった。その時と比べたら、今は本当に韓国の文化が愛されているなと感じる。ヨン様、東方神起、たくさんの韓流ドラマ、韓国映画、それを観て心を動かされた人たちが変えていったのだ。そして今のBTSがある。

そして、いろいろな過程でBTSを知り、好きになり、そこから韓国について調べたり、韓国語を学んだりしているたくさんの若いARMYたちのことも、好きになったし、応援したくなった。BTSが出る番組のアカウントに人を傷つけるような言葉を見つけると通報し、BTSを呼んでくれてありがとうと返信するARMYたち。かわいい彼女たちが、未来を変えていく。

以前読んだ本「保健室のアンウニョン先生」の中にあった「後から来る者たちはいつだって、ずっと賢いんだ。この子たちなら僕らよりはるかにうまくやれる。」この言葉を彼女たちに贈りたいと思った。そして、私もまた、未来を変えていきたいと思った。


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