労務担当者は「視野広く、目線高く」
この記事は労務 Advent Calendar 2019の19日目の記事です。
自己紹介
みんなのマーケット株式会社でHRを担当しているMoritaです。
今の会社に来るまでは大手企業の証券事業でHR(労務・研修担当)をしていました。気づけば10年以上労務に携わっています。
今回、BECの高谷さんより労務アドベントカレンダーの寄稿依頼をいただき、自分の思いを初めてアウトプットすることにしました。人にわかりやすく言葉で伝えるというのは難しく、それっぽくイケてる感じに書くことも苦手ですが、今回は労務担当者としての想いを記したいと思います。
今年はGozal主催のイベントに登壇させていただきました。ありがとうございます。
最初にお伝えすると、事例シェアしあおうぜ!これがトレンドだぜ!みたいな、ITベンチャーの(一部)あるあるな感じが苦手です。
色々な会社が集まってイベントを開催しているのを見ると、知見を広げることは絶対に必要なことだけど、自社の問題を解決する本質的な答えはSNSにもよその会社にあるわけなく、(HRにおいては)解決に近づくヒントは目の前にあると思っているためです。目の前の社員となんでもない話をしたり、真剣に向き合ったりする機会を1つでも多くもった方がいいじゃん、みたいな。
正直、"労務"を盛り上げたいという感覚もそんなにないんですよ(イベントに出させていただいたのにごめんなさい)。
労務に終わりはないからこそ「道半ばなのになぜ人様に対しつらつら思いを書く必要があるのか?」という気持ちが整理されずものすごく悩んだのですが「そのまま書けばいいのでは?」という声をいただき、勝手ながら書くことにしました。
本題です
「労務」の定義は人それぞれ定義が違うと思っていて、極論、従業員名簿を使うものであれば全部労務みたいな考え方もできると思います。
振り返ると、私は「労務」という括りで「労務」の仕事を考えてこなかったのかもな、とも感じています。ご縁があり知り合わせていただいた労務知識モリモリの猛者たちを話をしていても、自分は生粋のいわゆる「労務」の人じゃないなぁと。
例えば、こうすれば所得税がおトクとか、実はこうすると提出書類が少なくて済むとか、知っていると従業員・会社が幸せ(楽)になることはたくさんありますが、そこを社労士さん並みに深掘りするのは私はそこまで興味がないです。ある程度知っていればいい。
私の仕事における基本的な考え方として、結論、会社が良くなればいいのです。会社が良くなる(いい会社)ということは「(社員が)働きたい会社だと思うこと」だと立場上考えています。そんな社員が一人でも多くいてくれたら嬉しい。
ハッピーな案件ばかりではないけど、HRとしてそれを実現するためにできる範囲であらゆることをするだけで、あくまで労務は1つの視点という感覚です。
・その案件のベストを導きだすために調べまくって、プロに聞いて、多方向から解釈を考える。
・絶対に落としちゃいけないポイントは押さえる。
・平仄が取れているか、筋が通っているか、影響範囲を確認する。
・抱き合わせで一緒にやれることを考える。
・無駄に時間をかけない。
これは、ある程度知識があれば質は担保できると思うのです。(経験で培ったスキルやセンスを十分に発揮することと、社労士含めた取引先とのリレーションシップが構築できていることが大前提)
目的は「いい会社」を作ること
巷では採用VS労務なんて言われていますが、弊社には皆無です。いい会社づくりは従業員と出会う「採用」からスタートしています。会社のことをより知ってほしい。だから弊社のリクルーターには労務の動き(応募者が内定してからの労務の仕事)を伝え、内定者に対して労務担当と同じ案内ができるようにしてもらっています。
特にスタートアップでの労務担当は、いい意味でいかに便利屋になれるか、都合の良い人になれるかが重要だと思っています。いい会社を作るために誰がやるとか、どこまでやるとか、HR内においては意味のないこと。
今はとても便利なプロダクトが多くあり、それにより近い将来HR部門の人間は組織づくりに重きを置けるようになるはず(理想)。会社においてはカテゴリに縛られず必要なことをやるスタンスであり続けたいです。
「いかに社員同士が対話をする機会を自然に作り上げられるか?」
今はずっとこれを考えています。一言で言うとバリューの体現なのかもしれない。どこまで仕組み化していいのか難しいところだと思っています。いい会社を作るためには対話をすることは避けられず、対話して相手がどんな人かを知る。違いを知る。心を知る。
色々な人が1つの会社に集まり、バリューやカルチャーに共感しながら同じゴールを目指すのは、すごく面白くて素敵なことであると同時に簡単なことではありません。
違いのある相手を認めるエネルギーが必要だし、反発もトラブルも起きるし、ネガティブな意見への同調もある。その度に対話する。対話したらチャレンジしてみる。これをひたすら繰り返す。(これがスタートアップ労務の醍醐味!)
とはいえ、従業員の個人情報を取り扱うのは労務だけ
なので、労務担当者というのは従業員を誰よりも知っていて、その社員の人生に最も寄り添える立場であるからこそ、オーナーシップを持って組織づくりにコミットできる役割だと思っています。
社員に寄り添い信頼関係を作ることで防げる労務問題はたくさんあります。対話する、視野を広げて目線高くチャレンジする、これが今現在の私の労務担当としての想いです。
いずれの写真も弊社で飼っている猫たちです。