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図書館の風景

最近、家から5キロ離れた図書館がお気に入りだ。
話題の素敵図書館も良いけれど、通常は住居の管轄区域に行くのが私のスタンダードだ。

今回は2階の文庫コーナーにあるお目当ての本を読みに来た。
早速本を見つけて一列に並んだ閲覧席の方へ移動する。空き席を探しながら周りを見渡すと、ほとんどがシニアの男性だ。平日昼間の図書館などどこもこんなものだ。

歯抜けのように席が埋まっている中で、隣人と程よく離れた席を見つけた。あそこにしよう。
図書館はいつ来てもとても静かで居心地が良い。集中して本を読める。

荷物を降ろして席につこうとすると、隣り(席は離れているが)のシニア男性が私を見た。それまで流れていた静寂な空気を少し乱すような気がしたのか。そういうのわかるけど仕方がない。

私は上着を脱いで(隣りの男性はもう私を見ることはなかった)、お目当ての本を読み始める。
この図書館は蓋付きの飲み物が持ち込みできるので、喉の渇きを潤しながら読書できるのもお気に入りだ。

程なくして、隣りの男性が立ち上がり、私の後ろの書架に移動した。すると、小袋に入ったお菓子を開けるような音がしたかと思うと、あられか何かを食べ始めた。袋に指先を入れながらあられっぽいものを頬張り咀嚼する音がしばらく続く。

なぜ、書架の前で食べるのか?自分の席でよかろうに。そもそも軽食可能なの?
などと思いながらも、私は後ろを振り向き確認するのもなんだかなと思っていた。
それまで流れていた静寂な空気は確実に乱れていた。

食べ終わったのだろうか、袋を丸めるような音をたてながら男性は席に戻った。そして、読みかけの本を開く。

図書館特有の静寂が戻った。私も気を取り直して続きを読み始める。

お目当ての本は私の期待通りだったので、借りて帰るかAmazonで買うか考えていたらなんだか小袋に入ったあられが食べたくなってきた。
帰りにスーパーに寄ってあられを買おうと思った。本はひとまず借りることにして席を立った。

いただいたサポートは旅やアート鑑賞の活動費に使わせていただき、記事でお礼したいと思います。