推しの話をさせてくれ

いろんな方の記事を拝見させていただき、皆さん深夜にラブレターを書くテンションで推しについて語られていたので、私も深夜に書いた方がいいのかもしれない。
そう思ったものの、まぁ見事に爆睡して機を逃したので、至極冷静なこの時間に語ろうと思う。

私には推しがいる。
何かの演説のようだが、私には推しがいる。
しかも一人ではない、複数人いる。

おかげさまで私のグーグルカレンダーは観戦スケジュールが中々密なことになっている。
あとラベルの色が足りない。グーグルさん、もっと色を追加してください。

話が逸れた。
推しを語りたいがどう語ればいいのかわからないと嘆いていたのに、何故急に語ろうかと思ったのかといえば、推しが勝ったからだ。
それだけならば書くタイミングなぞいくらでもあったのだが、それが将棋に興味を持って一番心躍る勝利だったのだ。
ある一手が差された瞬間、一瞬何が起こったかわからなかった。
でもその指し手の意味が分かった瞬間、全身からどっと汗が出てきた。
テレビの音をかき消したくなくて冷房を切ってたからかもしれないが、全身がほわほわと熱くなった。
私は猫と一緒に生活をしたことがないのであくまで想像でしかないのだが、ちゅーる(でしたっけ?)の袋を見せられた猫の様に目を輝かせ、飛び跳ね、そして手をぶつけた。
痛かった。
でも楽しかった。

将棋に興味を持ち、本を読んだりひよこに遊んでもらったりはしているが、依然として初心者の域は抜けていない。
なので、長年将棋に慣れ親しんでる方からすれば「そんなにすごい手か?」とか「この局面なら当たり前だろ?」と言われそうだ。
でも、私が楽しいのでそれでいいのだ。

放送から数日経ち、棋譜を眺めているがやっぱり楽しい。

よく、美しい棋譜という表現を耳にするが、私は棋譜を見て美しさを感じ取れるほどの知識や経験がない。なので楽しいという非常に単純な感想しか思い浮かばない。
と、思ったのだが、大学卒業まで数学をかじっていたものの美しいとされる数式の美しさが理解できなかったし、素数の美しさもピンとこない。偶数はかわいいと思うが。
だから単純に私には美しさを感じ取る機能が備わってないだけなのかもしれない。

また、だいぶ話がそれてしまった。

実はこのnoteは約2週間ほど前に書いてあった。
でも比較的冷静な日中に書いたはずなのに、深夜とそう変わらないテンションの文章に公開をためらっていた。
あの棋士にはやべぇファンがついてるなんて思われたくないという思いもあったりする。
じゃあ黙ってろよという話なのだが、このnoteを公開しようと思うに至った大きな出来事が起きた。

推しが失冠したのだ。

どこかのご老公の旅のテーマのようだが、楽しいことがあれば辛いこともあるのが人生というものだろう。
楽しいというプラスの感情で心揺さぶられ、推しを自覚することがある一方で逆の経験もあるだろう。

少し話をさかのぼるが、AbemaTVトーナメント予選Aグループ第三試合、そしてプレーオフについて少々触れたいと思う。これも一つのきっかけだった。
予選突破が絶望的な展開ではあったが、可能性がないわけではなかった。
手に汗握る展開にまず胃が悲鳴を上げ、脈拍数は過去最高タイ記録をたたき出した。

そしてチーム豊島の敗退が決まった瞬間私は布団に倒れこんだ。

苦しみから解放され一瞬無の境地に達したものの、すぐに悲しみやまた違う苦しみやいろんな感情が現実へと引っ張り戻しにかかってきた。
ただ、それらの感情が表にでることはない。オフィーリアのごとくゆっくりと暗い感情へ引き込まれていった。

また話がそれてしまうが、私は自分の推しが負けたとしてもそこまで感情を揺さぶられたことはあまりない。
バレーボール観戦も趣味なのだが、推しているチームが決勝で敗退したとしても、その場はショックを受けるがそれを長時間引きずることはあまりなかった。
理由がない勝利というものがないように、理由がない負けというものも存在しない。
負けるからには理由がある。
理由さえわかれば少しは冷静になれる。
そして勝つのも負けるのも私ではなくて、あくまで推しである。
結果に自分の感情をシンクロさせる必要はないし、することはできないし、しないほうがいい。
極論を言ってしてしまえば、しょせん他人事でしかないし、終わったことなのだから。
だから負けても「あぁ、そうか、残念だったね」としか思わない。

ただ、ごく稀に救急車を呼んだ方がいいのではないか?というくらいの苦しみに襲われることがある。
その時、初めて「あ、私自分で考えていたよりもこの人を推していたんだな」と自覚することになるのだ。

AbemaTVトーナメントの時もそうだったが、今回の名人戦で私は自分が予想していた以上のダメージを追っていた。
私としては「渡辺先生うまく指してたもんなぁ」と納得していたつもりだったが、日課と化していた将棋関連のニュース検索がその日はできなかった。
言い過ぎた、一応ツイートの検索はした。
その中で豊島先生が着替えを済ませてから記者や関係者の控室へあいさつへ訪れた話を目にした。
その瞬間、鉛を飲み込んだように重かったからだがぐっと軽くなり、そしてまたぐっと重くなった。
ここまで感情を揺さぶられるのは、豊島先生のことを推しているからだろう。
そうか、私は豊島先生推しだったのか。

長くなったが話をまとめると、永瀬拓矢先生、佐々木勇気先生、藤井聡太先生、豊島将之先生、斎藤明日斗先生、本田奎先生、佐々木大地先生を推しています。

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