初心者向けの将棋の本について本気出して考えてみた(その2の①)

前回の記事では紹介したい本が5冊程あると言ったのだが、嘘をついた。
数えなおしてみたら今回の記事で紹介したい本が8冊あった。
8冊って……。

そして今回は本自体の紹介というよりは、こういう視点で探してみるのもいいのでは?という提案に近い内容になっている。
早速前提から逸れてしまっているが大目に見ていただきたい。
あと、今回はとりあげる本の冊数が多く、タイトルも長いため途中から番号表記になっているのでご了承いただきたい。

さて、長ったらしい前書きは端折って、早速本題に入ろう。



この連載(と言っていいのか?)を書くきっかけとなった入門書について触れていく。


まず、入門書には大きく分けて二つある。
一つは子供向けの入門書
こちらはイラストや図が多く、読みやすい文体でふりがなも振られている。
中には漫画形式で学べるものもあり、文章を読むのは苦手…という人でもとっつきやすくなっている。
また、本によっては本将棋以外にも挟み将棋や将棋崩しなどといった将棋を使ったゲームも紹介されていたりする。

もう一つは大人向けの入門書
基本的にとりあげられている内容は子供向けと同じではあるが、こちらは「どうしてそうなるのか」といった理由をより詳しく掘り下げて解説している。

比較として2種類の本をご紹介しようと思う。

①羽生善治のやさしいこども将棋入門ー勝つコツがわかる5つのテクニックー
②羽生善治のみるみる強くなる将棋入門ー5カ条で勝ち方がわかるー

タイトルを見て「あれ?」っと思ったかもしれない。
実はこの2冊、どちらも羽生先生が監修しており、同じ出版社から出版されている。
②の大人向けの方が2009年に、①の子供向けが2012年に出版されている。
言い回しや解説の深さが違うだけで触れられている項目はほぼ一緒。
ページのレイアウトやイラストもほぼ一緒。
違いといえば子供向けは『将棋に親しむための導入部があること』、『文章量が少なく要点がまとめられていること』、『文字が大きいこと』くらいだろうか。
別に大人だから大人向けの本を読まなくてはいけないという決まりはない。
入門書くらい楽勝でしょうと思われるかもしれないが、理解に必要な知識の下地ができていないまっさらな状態では、その界隈では当たり前のように使われている簡単な単語一つに簡単につまづく可能性がある。
もし大人向けの入門書を試し読みしてみて、ちょっと難しそうだと思ったら子供向けの本も手にとってみるのもいいのかもしれない。
これはあくまでも私の予想でしかないのだが、①はおそらく小学校中学年から高学年くらいの子供を対象に書かれている。
なので児童書特有のテンションについていけない……ということはなかった。
逆に理論的に考えるのが好きな人や、基礎知識をある程度知っている人、読書に抵抗感がない人は大人向けの本から入った方が内容を理解しやすいかもしれない。

今度は大人向け、子供向けとは別の視点で書かれた入門書をご紹介する。

③女性のための将棋の教科書


こちらは女流棋士の上田初美先生が監修されている本だ。
女性のための……とタイトルにある通り、イラストや配色を含め所謂女性的なレイアウトが採用されている。
将棋関連の本というと、お世辞にもデザイン性が高いとは言えないものが多い。
内容が大事なのはもちろんのことだが、繰り返し読むことを前提とした本においてはデザイン性というのも大事なポイントのひとつである。
どんなに内容が良かったとしても、読みにくい本を何度も読もうという気にはなれないだろう。
この本も前述の2冊と取り上げられている内容にそう大差はない。
しかしながら、文章は要点が絞られていて分かりやすく、ページを開いた時に入ってくる情報量が程よくなるように誌面が構成されている。
他にも将棋会館の間取りや、ハンデの付け方の説明も載っていたり、読み物としても楽しめる内容になっている。
淡い色調の表紙に男性読者は怯んでしまうかもしれないが、私個人としては初めの一歩として性別関係なくおすすめしたい本である。


今回紹介した以外にも入門書はたくさんある。
かわいいキャラクターものとか、親子で一緒に学ぶタイプのものや、学習漫画形式のものとか、本当に様々な本が出版されている。
ちょっと身もふたもない言い方になってしまうのだが、入門書でとり上げる内容自体に大きな差はないと思う。
ただし、誌面構成や文章表現には大きな違いがあるので、その辺を個人の好みに合わせて選んでもらえればと思う。
(となるとやはり友人を書店に連れて行くしか……となるわけで。ううむ、難しい)

これは私個人の考えだが、この3冊に限って言えば『今後もガッツリ趣味としてやっていく!』と初っ端から気合に満ち溢れているのであれば① ②を、『ハマるかどうかはわからないけれど、とりあえず気にはなっているし基礎知識は知りたい』ということであれば③をおすすめするかもしれない。

さてここまでで3冊紹介したわけだが、やはり長すぎるので一旦ここで分割する。
残りの5冊は次の記事で紹介する。

初心者向けの将棋の本について本気出して考えてみた(その2の②)へ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?