初心者向けの将棋の本について本気出して考えてみた

(20.10.12 読むに耐えなかったので記事の前半部を大幅に改稿しました)
先日、約半年ぶりにバレーボールの観戦仲間と顔を合わせた。
その友人と顔を合わせたのは、今年の2月に行われた大会の試合会場以来だった。
次に会うのは天皇杯か黒鷲旗かねぇ、なんて言って別れたのが遠い昔のことのようだ。
以前も書いたが、私の観戦仲間はバレー以外にも趣味を持っていて、SNS上では色んな情報が飛び交っている。
友人たちのおかげで私はジャニーズJr.の子とQuiz Knockのメンバーを覚えた。
そして友人たちは私が呟いているのを見て棋士の名前を少し覚えてくれた。

少し話が逸れるが、私は以前、バレーボールを全く知らなかった友人をバレー観戦にハマらせたことがある。
少し興味があると言ってくれた友人に遠征先のお土産と一緒にパンフレットや選手名鑑を送りつけ、テレビ放映がある試合の日時を教えて見てもらった。
その結果、友人は見事バレーに興味を持ってくれ、数ヶ月後には一人で試合会場の地を踏んでいた。
ただ一つ、私が推しているチーム以外のチームにハマったのは誤算だった。
実は私自身、友人による試合会場への拉致という熱心なプレゼンテーションがあってVリーグ観戦にハマったくちである。
右も左もわからぬうちは、友人の助言が非常にありがたかったのを覚えている。

話を戻そう。
先日友人に会った時、次の予定まで少々時間があったので書店に立ち寄り、棋書に目を通していた。
その際、いわゆる大人向けとされている入門書を適当に1冊手にとり友人に見せてみた。
「これ、かわいいけどイラストだけ変えて中身は子供向けの本って感じがするね」
友人が目を通したのはその1冊だけで、他の入門書と比較したわけではない。
ただ、友人はパッと見た印象をそのように述べた。
もちろん友人は将棋の駒の種類もルールも全く知らない、いわゆる初学者だ。
(友人曰く、ちょっと子供っぽいけど種類がこれだけあると選択肢があっていいねとのこと。確かにそうだ)

何故このようなことをしたかといえば、別の初学者の友人に入門書を送ろうと思ったからだった。
先ほども述べたが、私は友人が自分の趣味に興味を持ってくれたら入門書にあたる本を送りつけている。
友人は先程の友人同様将棋のしょの字も知らない初学者である。
なので入門書などあったら便利だろうなと思ったのだが、問題が一つあった。
私は歴戦の観る将、指す将の方々に比べればにわかもにわかである。
このような記事を偉そうに書くのもおこがましいレベルだ。
将棋にハマってそう経っていないのだから自分が入門書を初めて手にしたときのことを思い出せばいいのだが、私自身ある程度の駒の動きについて知識があり、ルールもネットで見てなんとなく覚えてしまったのであまり熱心に読んではいないのだ。
また、今の私はぴよ将棋のかわいいひよこたちに槍で突かれ、ふんどしをぬがされ、巣穴を丸焼きにされたりもするがなんとか将棋っぽいことはできるようになった。
多少といえど私には知識があるので、たいていの入門書の言っていることはなんとなく理解できる。
しかし、本当に初学者の人はこれをみて「わかる!」となるのだろうかとなんとなく思ったのだ。
そのほかにも色々気になったことがあり、それで友人の感想を聞いてみたいと思ったのだ。
もちろん、人それぞれ好みがある以上、この本を買っておけば正解というものは存在しない。
先程の感想も、その友人がその一冊をパラッと見てみた感想でしかない。
それならば本を送りたい相手を書店に連れて行ってその場で買い与えたり、ギフトカードの一つでも贈ればいいのかもしれない。
それでもこのように色々考えるのは、相手が「時間に制限のある社会人」だからだ。
私は今、比較的時間に余裕があるので、図書館で本を片っ端から借りて試し読みをしてみるなんてことができる。
だが、一般的な勤め人の場合、趣味に割ける時間というのは限られていて、その限られた時間の中で調べ物をして注文して読んで試してなどということをするのは、どんなに興味があることでもしんどかったりする。
書けば書くほど何を偉そうにという感じになってきてしまったのだが、ちょっとでも手助けができればと思ったのだ。

因みに、このあと豊島先生の「名人への軌跡」を友人に見せたところ「エッセイ本じゃないの?!」とびっくりしていた。
そうだよね、エッセイとか自伝っぽいよね。
ある意味エッセイだけどよくあるエッセイ本?!じゃないってなるよね。わかるよ。

さて、考えれば考えるほどわからなくなってきた……というわけで、とあるバンドが幸せについて本気出して考えてみたように、私も将棋を学ぶにあたり、そして初学者の友人に送りつけ……おすすめを聞かれた場合に備えて改めて初心者におすすめな本について真剣に考えてみた。


初心者が初段になるための将棋学習法
佐藤友康  著


まず、今回紹介する本は、タイトルの通り将棋の学習法を学ぶ本だ。
一番最初にこの本を紹介するが、もし読む人が「なんとなくルールを学べてちょっと指せればいい」ということであればこの本の紹介部分は飛ばしてくれて構わない。
基本的には学習方法の紹介の本なのでこれ1冊で全て学ぶことができるわけではない。
むしろ最低限駒の動かし方や禁じ手くらいは覚えてから読んだ方がいい。
何故そのような本をこのタイミングで紹介するかといえば、『最初は興味がなかったものの後から初段を目指したい!』と思った時にこの本の存在を知っていたら便利なのではないかと思ったからだ。
この本に紹介されている方法が全てということではないが、一つの指標にはできるだろう。
個人的にこの本を気に入っている理由は、レベルの定義がきちんと書かれているところだ。
棋書の商品ページを見ると初級者、中級者、上級者、段位者などレベル分けがされていることがあるが、意外とレベルの定義が書かれていないことがある。
この本は、初級は10〜7級、中級は6〜4級、上級は3〜1級と目安を提示しており、その上で、レベルの定義、課題、学習内容が示されている。
しかもレベルの定義では「ひとつ前のレベルではこんなことができたけど、今度のレベルではこんなことができるようになろう」と違いを書いてくれているのでわかりやすい。
そして、勉強するにあたって必要となる入門書をはじめとした詰将棋や寄せ、手筋、戦術などと言った各専門書籍の選び方のコツも紹介されている。
ただし、他にも入門書を読むことを前提とした本なので、おすすめの戦法が2つしか載っていない。
私はこの本を本当に最近読んだのだが、もっと早くに出会っていれば……と思った。
私の場合、とりあえずルールがわかればいいやと初心者向けのウェブサイトで色々覚え、ぴよ将棋の8枚落ち講座などを読んで、手合落の数を少しずつ減らしていき、なんとなく平手で指せるようになった。
囲いなども覚えたが、しばらくするとそれでは満足できない、というか本当にこれで指し方はあってるんだろうかと疑問にぶつかった。
そこでようやく入門書をいくつか読んでみた。
あと入門としてどうぶつしょうぎもやっていた。
今にして思えば非常に要領が悪かった(これは今もだが)。
この本に出会っていたらもう少しやるべきことのイメージが湧きやすかっただろうなと思った。
ちなみにこちらの本は地元の図書館で借りたのだが、人気があるのか予約待ちをしてようやく借りることができ、私が借りた後にも予約が入っていた。

少し手順が前後してしまうが、基本的な知識を覚えたあとで目標ができたらぜひ読んでみてほしい一冊だ。

さて、今回は1冊だけ紹介したが、実はあと5冊程紹介したい本がある。
なので連載?になってしまうのだがしばしお付き合いいただきたい。

他にも書きたい記事がいくつかあるのだが、果たして年を越すまでに書き切れるだろうか。
乞うご期待である。

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