初心者向けの将棋の本について本気出して考えてみた(その2の②)

まさか分割することになるとは思ってもみなかったが次の本をご紹介しよう。
こちらは先ほどまでの3冊から発展的内容になっている。

④羽生善治のこども将棋 序盤の指し方入門
⑤羽生善治のこども将棋 中盤の戦い方入門
⑥羽生善治のこども将棋 終盤の勝ち方入門
⑦羽生善治のみるみる強くなる将棋 序盤の指し方入門
⑧羽生善治のみるみる強くなる将棋 終盤の勝ち方入門

先程紹介した①②の続きにあたる本で、こちらも羽生先生が監修している。

タイトルに入門と書いてあるので入門書ということになるのだろうが、先程の3冊とは少し趣がことなる。
先程の3冊は将棋の基礎知識を紹介する内容だったが、こちらは基礎知識を習得した上で読む本だ。
④と⑦の最初の方でも基礎知識にも触れているが、駒の動かし方がー、ルールがーといったような初歩的な内容ではないので初学者がこの本から手を出すのは厳しいので注意が必要だ。

現在、竜王戦七番勝負が行われているわけだが、豊島竜王と聞くと「序盤中盤終盤隙がない」の例のフレーズを思い出す方も多いのではないだろうか。
非常に有名なフレーズではあるのだが、じゃあ序盤中盤終盤ってどのあたりのことを指していて、どんなことをやっているの?と聞かれて説明するのは初心者だと難しいだろう。
この5冊は、序盤、中盤、終盤、それぞれでどんなことが行われていて、どんなことを覚えなくてはいけないかということを紹介している。
ざっくりと紹介すると、
④は戦法や囲いの種類と進め方
⑤は形勢判断の仕方や各戦法の仕掛け方と手筋
⑥は寄せの手筋や詰めろ、必至のかけ方、囲いの崩し方や受け方
⑦は初手をどう指すべきか、囲いや戦法についての説明
⑧は詰み、寄せ、詰めろ、必至、受けについて

といった内容が書かれている。

先程、入門書なんて大体同じと身もふたもないことを言ったが、今回は大人向けと子供向けで少々内容が違うので、少しだけ内容にも触れたいと思う。

まず序盤について解説している④と⑦の違いだが、④の方は初手の説明があっさりしているものの、戦術や囲いの紹介が少し多く、説明もわかりやすい。
戦術の特性がそれぞれパラメータ表示されているのでどんな戦法か感覚的に捉えやすく、戦術ごとに進行を紹介している。
戦術を知りたいという場合はこちらの方が読みやすい。
ぱっと見そんなに戦術が載っていないようにも見えるが、発展的内容として角換わりや横歩取り、ゴキ中やひねり飛車も紹介されているので安心して欲しい。
⑦は紹介されている戦術数が少ないものの、その分初手のパターン30通りがどう良くてどう悪いのかが細かに解説されている。
ある程度ルールを覚え、それっぽく指せるようになってきたら「初手は何がいいのだろうか」と疑問に思うこともあるだろう。そんな時に読むのをおすすめしたい。
ただし、戦術紹介は④ほどしっかりと項目として独立しておらず、話の流れで出てくるような形式なので、戦術を知ることを目的にしていると少々読みにくいかもしれない。

つぎに終盤について取り上げている⑥と⑧だが、こちらはとりあげられている内容に大きな差はない。
ただし、⑧の方が解説がより細かで、最後に総合練習問題がついている。
総合練習問題はこの本で学んだ内容で、どのテクニックをどう使うのかを考える実践問題だ。
片面に問題が2題、裏面にその答えと解説が掲載されている詰将棋の本によくある形式だ。
一方の⑥は、総合練習問題にあたるページがない。
それぞれのテクニックの説明と、問題局面が提示され同じページ内に好手悪手の例が掲載されている形式だ。
というわけで⑧の方がより実践的だといえよう。
(先程の入門書と同じで、⑧を読んでみて難しいようであれば⑥から取り掛かるのもアリだと思う)

中盤について解説している⑤については大人向けの方でこれに該当する本が見つからなかったので比較はできない。
ただ、取り扱っている内容は、④で紹介した戦術のより詳しい攻撃の仕掛け方や、垂れ歩や継ぎ歩などといったよく出てくる手筋についても説明が載っているので是非とも読んでおきたいところではある。

今回紹介した本の中で④〜⑥は図書館で借りた後に実際購入に至った。
私が入門書を手にとったきっかけだが、前回のきじでも触れているのでざっくり要約すると、独学ではにっちもさっちもいかなくなったからである。
例えば囲いの選び方だったり戦術の選び方だったりがわからない。
っていうかどんな種類があるの?
手筋というものを覚えないといけないらしいが手筋ってなんだ?
中盤ってどこのことよ?
ぴよ将棋の解析を見る限り、恐らく終盤と呼ばれるようなところで一気に形成を悪くすることが多いのでどうすればいいのか。

この辺りのことを勉強したいと思い入門書を手にとったわけだが、入門書に書いてある内容もあれば、書いていない内容もある。
そして疑問点の大部分がが入門書には書いていない内容だった。
というわけで入門書に書いてある内容じゃ物足りない、だが専門書を読んで理解する自信はない。
何かいい本はないだろうか……ということで図書館で片っ端からいろんな本に目を通してようやく見つけることができた。
今回紹介したのは、もし入門書の内容では解決できないような疑問にぶつかった場合、こうした本もあるよということを覚えておいていただければと思ったからだ。

今までに紹介した本をタイトルで検索したところ、試し読みのページが公開されているものもあった。
内容を確認してから購入したいけれど、近場に書店がなかったり、仕事などの関係で図書館を利用するのが難しいなんていうこともあるだろう。
そんな場合には試し読みページも参考になるのではないだろうか。

今回はここまで。
こんな長ったらしい話にお付き合いいただき誠にありがとうございます。
(前回の記事にコメントありがとうございました)
とりあえず将棋初心者向けの入門書的な本の紹介はこれで終わりです。
ですがあと1回続きます。
次回は初心者向けじゃないかもしれないけれどこんな本はどうでしょうといった内容です。

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