ラッキー家族、爆速で家を買う~アンチ戸建が決めたワケ~/その5
テレビで観たマツコ・デラックスさんのとある発言から、老後に一抹の不安を覚えたものの、具体的な行動に繋がったかと言えば、全くのNOでした。
夏休みの宿題も、貯金も、ダイエットも、早く、そして一生懸命取り組んでおけば、後々楽なんだろうなとわかっていても、気乗りしません。
「やったほうがいいんだろうな」は、「やりたい」とは別のレーンの話だと思います。
「やったほうがいいんだろうな」の延長線上に、「やりたい」はいません、どこまで進んでも。
今は、今のアパートでの暮らしに、満足しています。
たまに上の階の洗濯物が落ちてきたり、押し入れの中の湿気が凄かったり、100点ではないけれど、家賃相応以上に暮らしやすいと思っています。
マツコ・デラックスさんの言葉から、定年後への不安を感じたことは、保留案件になった後、さらに日常のあれこれに上書きされ、脳内キャビネットの奥深くへ、どんどん押し込められていきました。
ぐりおが生後3ヶ月を少し過ぎた1月12日の朝。
寝不足でぼんやりしている私に、夫がスマホを見せながら言いました。
「この間取り、良くない?」
思えば、結婚するという話になったときも、こんな感じでした。
夫は、付き合い出して一週間経つかどうかで、「先のことはまだわからないけれど、ずっと一緒にいたいな」と、それっぽいような、ぽくないようなことを言いました。
何と答えればいいのか、「ずっと」というのはどのくらいの期間で、「一緒に」というのはどのくらいの距離感なのか、よくわからなくて保留案件にし、時が経つにつれて脳内キャビネ…(以下同文)
それから半年以上経ったある日、「こういうのどう?」と、こちらに向けてきたパソコンのモニターには、「俄」(にわか)という結婚指輪のブランドのページが表示されていました。
なんだかこのときの流れに似ていて、バシッと、これぞ、この言葉こそプロポーズである!というキメキメ感のないまま、「昼飯うどんとかどう?」くらいのテンションで、あくまで日常会話のラリーの中で、何でも一緒に決めていこうというスタンス、なのだなと、今回改めて理解しました、夫のことを。
さて、またしても蛇足してしまったので、本筋に戻ります。
夫が見せてくれたのは、中古住宅の間取りでした。
中古住宅!
その手があったか!
ゼロから、土地を買ったり業者を選んだり、間取りやら壁の柄やら屋根の色やら色々なことを考えなくても、
もう、そこにある家!
そして新築より安い!
これまで賃貸アパートに住んできたから、今更多少の古めかしさや使用感への抵抗はそんなにありません、よほどでなければ。
居づらくなったら引っ越す、ということが、出来にくくなるのが最大のネックではありますが。
「自分でも、なんでかわからないけれど、なんとなく調べ始めたら、面白くてさ、中古住宅」と、夫。
サイトでは、価格、築年数、所在地、様々な条件で検索や並べ替えができました。
とは言え、どのくらいの築年数だと、どのくらいの古めかしさになるものか、画像や間取り図などからわかることにも限界があります。
その朝夫が見せてくれた物件情報は、確かに興味をそそられるものでした。
元々車椅子を使う方が生活していた家で、バリアフリーの作りになっていました。
収納がとにかく豊富。
リビングに、小上がりのような形で畳のスペースが付いており、その床の下も収納になっていました。
今住んでいる場所から車で15分ほどの場所にあり、夫の職場は少し遠くなるけれど、バスの本数は今より多い通りになります。
どんぐりの保育園も変わらなくてOKです。
「まず、何はともあれ、見に行ってみないと始まらないんじゃない?」
私の言葉に驚いたのは夫でした。
「お?戸建反対派のりえちんが、前向きになっている!」
定年後住居問題、「やったほうがいいんだろうな」レーンから、「やりたい」レーンに乗り換えです。
気持ちとしては、この日すぐに不動産屋さんに電話をし、内見のアポを取りたいくらいでしたが、この前日から私、良性発作性頭位めまい症を発症していました。
夫も、未知のことへの不安を埋めるためか、住宅取得する場合の手続きの流れや、必要な初期費用などについて調べていました。
少々二の足を踏み、実際に内見に訪れたのは、翌週17日のことでした。
収納たっぷり、魅力!
畳の小上がり、魅力!
バリアフリー、魅力!
子育てしやすく老後も暮らしやすい、きっとそんな家に違いない。
アンチ戸建派の看板を唐突に放り投げ、めまい症、早くおさまれと念じながら、中古住宅の間取り図や写真を眺めてニヤニヤ。
実際に見に行って、まさかあんなことになろうとは。
次回に続きます。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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