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配慮桃太郎
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
昔々、あるところに家事を分担して暮らしているおじいさんとおばあさんがいました。
ある日、おじいさんは所有者の許可をもらって山へ芝刈りに。
おばあさんは自然由来の成分を用いて作られた洗剤を使って洗濯を済ませた後、川へ散歩に行きました。
おばあさんが川沿いを散歩していると、どんぶらこ、どんぶらこ、川上から大きな桃が流れてきました。
おばあさんは大変驚き、その桃を拾い上げようとしました。
しかしおばあさん一人で桃を川から引き上げるのは大変危険なので、近くにいた成人男性数人の助けを借り、危険のないよう川岸まで運び上げました。
桃をそのまま持ち帰れば、占有離脱物横領罪に抵触する可能性があるため、ひとまず桃を速やかに交番に届けました。
おばあさんは手伝ってくれた人達にお礼を言い、桃の拾得者はおばあさんということで合意を得ました。
その後、3か月の保管期間内に所有者が現れなかったため、おばあさんは桃の所有権を取得しました。
「これは良いおみやげになるわ。」
大きな桃を抱えて歩くのは大変危険なので、おばあさんは知人に頼み、桃をハイエースの荷台に乗せて家まで持ち帰りました。
家事をしていたおじいさんは、おばあさんが持ち帰った桃の大きさを見て大変驚きました。
そして、おばあさんとおじいさんが桃を食べようと切ってみると、なんと中から元気の良い(生物学上の)男の子が飛び出してきました。
子どもがいなかったおばあさんとおじいさんは大喜びし、桃から生まれたその男の子を「桃治(とうじ)」と名付け大変可愛がりました。
※おじいさんとおばあさんは、赤ちゃんのへその緒が桃とつながっていたため、他人の子どもではないと判断し、自宅出産という体で戸籍取得の申請をしました。
すくすくと育った桃治は、やがて立派な青年になりました。
そしてある日、桃治が言いました。「鬼ヶ島へ行って、悪い鬼から村のみんなの財産を取り返してきます。」
おばあさんはこう答えました。「それは危ないから、とりあえず20歳になるまで待ちなさい。」
20歳になり親の監督責任がなくなると、桃治は鬼ヶ島へ向かいました。
おばあさんはとても心配でしたが、子どもの意思を尊重し、きびだんご、旅費、食料を持たせて送り出しました。
旅の途中で、犬に出会いました。
「桃治さん、どこへ行くのですか?」
「これから鬼ヶ島へ行くんだ。」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ。」
「動物を許可なく連れ回すのはいけない、気持ちだけ受け取っておくよ」
犬の申し出を泣く泣く断り、桃太郎はまた歩き出しました。
そして、こんどはサルに出会いました。
「桃治さん、どこへ行くのですか?」
「これから鬼ヶ島へ行くんだ。」
「それでは、お腰に付けたきび団子を1つ下さいな。おともしますよ」
「動物を許可なく連れ回すのはいけない、気持ちだけ受け取っておくよ」
そしてこんどは、キジに出会いました。
「桃治さん、どこへ行くのですか?」
「鬼ヶ島だけど、動物を許可なく連れ回すのはいけないんだ」
こうして、イヌ、サル、キジの申し出を断った桃太郎は、単身で鬼ヶ島へやってきました。
鬼ヶ島では、鬼たちが近くの村からぬすんだ宝物やごちそうをならべて、酒盛りの真っ最中です。
「村から来た桃治といいます。村のみんなの財産を取り返しにやって参りました。話し合いによる解決を望みますが、まとまらない場合は民事訴訟を起こす用意があります。」
桃治は鬼たちの前に立ちそう言い放ちました。
とうとう鬼の親分は「まいったぁ、まいったぁ。こうさんだ、助けてくれぇ」と、手をついて謝りました。
桃治は、鬼から取り返した宝物をくるまにつんで、元気よく家に帰りました。
おじいさんとおばあさんは、桃治の無事な姿を見て大喜びです。
取り返した宝物は村民の合意を得て、病院や学校など公共施設の運営費として充てられましたとさ。
めでたしめでたし。(※個人の感想です。)
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