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【読書会感想】何度も読む本について

 毎月楽しみにしている読書会の今回のテーマが「後世に残したい本」だったので、私は同じボランティアをしている(年齢的)後輩におススメしたい本を紹介しました。
 毎回、テーマを自分なりに真剣に考えていて、「後世に残したい」が「後輩に勧めたい」になったのも、私なりに理由はある。とは言え、聞き手の興味関心を考えながらも、やっぱり結局自分のしたい話をしている気もします。その意味でも、この読書会での選書はプレゼント選びと似ている。

 この読書会では、「だいたいの年齢」「雇用されている人」「ボランティアで子どもの学習支援をしてる人」という点を表明して参加しています。この会から求められている訳ではなく、その方が私が話しやすいのが理由です。

渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ』

 渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ』には、筋ジスという難病を患い24時間の介護が必要なシカノさんと、介護を担うボランティアたちとの取っ組み合いを中心に、シカノさんとの著者との二年四カ月が記されている。
 出版後間もなく読んだのは、初めてボランティアをした大学生の頃だった気がする。社会人になって仕事もそれ以外もしんどかった頃、映画化されて話題になった頃、今のボランティアを始めた頃、何度も読み返しているが、その時その時に新鮮な驚きと発見がある。出版は2003年。私は福祉行政に明るくないのでわからないが、当時と現在、制度や障害を取り巻く状況はどう変わったのだろうか。

 正直、私はとても忘れやすいので、単に忘れている説もなくはないけれど、それでも確かに以前に読んだ時と違う受けとめをしていると感じる。今回は、特にシカノさんの苦悩が胸に痛くて、最期のふるまいに応えてしまった。シンプルにその年齢に自分が近づいたからだと思う。勿論、安易に人は推し量れない。共感ってのとも違うけれど、同じだけの長さを生きたことは、その人を理解しようと思うときの自分に影響する。私は自分が年齢に囚われがちな方だと感じる。

 似ている境遇に引っ張られることは、年齢を経て経験が増えることの面白さにも繋がるのだが、それで思い出すことがある。
 昔、職場で休憩時間に、仲の良い、しかし性別年齢家族構成等の属性が違う3人で話していた時のこと。有名人の格安ホテルでの不倫がふと話題に上り、3人の第一声がちょうど重なったのだが、それがものの見事にそれぞれ一番属性の近い登場人物への言及だった。
 そのことは、「みんなのために」何か選ぶときは、属性の違う人たちで話し合うのがいいんだろうと思わせた。自分の境遇から来る引力、第一声の初速は、無視できないものと思う。

 読書会ではこの本を知っている方も多く、また、ほかに参加されている方からも、人生で何度も読んでいる本が紹介された。紹介されたどの本も、読んだこと、聞いたことのある本で、幾つかは家にあるから、早速読み返している。
 参加されている方々は、それぞれの立場、背景があり、話を聞きながらいつもワクワクしている。一緒に話すということの速さと遅さが、その人の言葉を引き出していると思う。自分についてもそう感じる。毎回楽しい。