ねこと飼い主の記録 23.03.21

17日朝にねこちゃん旅立って、19日に火葬して、今は大好きだったねここたつの上でお骨になって鎮座しています。

10日に熱出して休んだ時は、まさかこんな事になるとは思ってもみなかったです。でも、きっと、こうなるために嫌なことも辛いことも起こっていたんだろうと思います。
ねこちゃんにとっても、私たちにとっても、きっとこれが最善で、「時にかなって美し」かったのだろうなと、今になってみると思うのです。

わたしはねこちゃんの死に目に立ち会えませんでしたが、でもたぶん、ねこちゃんは16日の朝の時点で死んでいたのかもしれないと思います。
というのも、15日深夜から早朝にかけてにねこちゃんは便失禁してしまいました。私のベッドで一緒に寝ていたのですぐに気づけたんですが、明るくなってから改めてみると体もけっこう汚れていたので体を拭いたのです。
その時、左を上にすると苦しそうにするので避けていたのを、汚れを拭くのにやむなくその体勢にしたら下顎呼吸がはじまってしまい、やばい死ぬ!と慌てて元の体勢に戻しました。
下顎呼吸とは下あごだけがカクカク動いた感じで呼吸をする事で、生き物が下顎呼吸をはじめたら、それはもう間もなく死ぬということなのです。
間もなくとは30分から1時間ほど。
正直その時点で覚悟をしたんですが、その時は鼻呼吸に戻ってよかった生き返った…と心底ほっとしたし、何なら死の淵から蘇ったねこちゃんはもっと生きるんじゃねくらいに思ってました。
能天気すぎて自分を殴りたい。

ねこちゃんはその時点で実は死んでいて、のこり半日ほどは私たちにお別れの時間を与えてくれていたと思うのです。
その時点というか、もう便失禁した時に。
というのも、便失禁した朝に不思議なことがあったのです。

うちはねずみが侵入しやすく、数日前からあちこちで気配を感じていやだなあと思っていました。
うちのねこちゃんは小動物を見ると目の色変えて狩るねこだったのですが、ここ数年は追いかける元気もなく、ねずみたちもやりたい放題。
やむなく毒餌を使って駆除していました。
で、ねこちゃんの便失禁を始末した後もう一寝入りしてたら、二階の床下、一階から見たら天井裏から階段の踊り場にかけて「ダダダダダ」というものすごい音がしたのです。
ねずみ!?と思ったんですが、ねずみにしたら重量感があって、もしねずみならドブネズミクラス、下手したらイタチかハクビシンかという音で、私は半分寝ながら駆除業者呼ばなきゃ…と絶望していました。
しかしそのあと「ニャー、ニャー」というねこの声が二回。
ねこ!?と思いつつ、最近近所に出没する三毛ちゃんだろうと思っていました。
でも、考えてみたらおかしなことがいくつかありました。
天井裏に動物が侵入するのは我が家ではけっこう不可能で、入っても多分出てこれません。
あとドドドと走り抜けた音は天井裏から階段の踊り場の方に続いたのですが、天井裏は階段の踊り場には繋がっていないのです。
なので、何が侵入しようが、そういう風に走り抜ける事は不可能なのです。

そして、そのドドドという音になんか聞き覚えがあって、なんだったかなと考えたら、ねこちゃんが元気だったころ、侵入してきたイタチを追いかけまわしていた時の音に他ならなかったのです。

そして、その後はねずみの気配も消えたのです。

だから、私は、あの時すでにねこちゃんの魂は不自由な体を抜けていて、追いかけたくて仕方なかったねずみを追いかけていたのだと思っています。

16日は、ねこちゃんは今までにないくらいよく鳴いて、私に何かを訴えかけていました。
私はそのたびに排泄を確認したりご飯をあげようとしたりしたんですが鳴きやまず、膝の上に乗せて抱っこするのが一番落ち着いたのです。
なので、その日はできるだけねこちゃんを抱っこしていました。
ちょうどTVでWBCのスペイン戦を放映していて、母が見ていたそれを私もねこちゃんを抱っこして一緒に見ていました。
抱っこ大嫌いなねこちゃんもこの日はおとなしく膝に乗っててくれて、考えてみれば、ねこちゃんと母と水入らずで何時間も一緒にいることなどここ数年なかった事でした。

試合が終わったあと、ねこをベッドに戻すと再び何かを訴えるように鳴き始めました。ごはんかなと思いつつちょっと待ってねと言ってトイレに行くと、母の声とねこの声が聞こえ、母が話しかけるとひときわ高く「ニャー、ニャー」と二回鳴く猫ちゃんの声がトイレの中まで聞こえてきました。
そんな大きな声で鳴くのを聞いたのは久しぶりでした。
トイレから出て給餌するといつもより多めに食べて、そして鳴きやんで眠りました。母とおなかがすいてたんだね、元気になってよかったねと言い合い、あまりによく眠っておりベッドを移動するのも苦しそうだったので、その日はストーブ前のベッドで寝かせることにしました。
それが私が見た生きているねこちゃんの最後の姿だったのです。

最初は死に目に会えなかった事がショックでしたが、私たちの記憶に残る自分の最後の姿が安らかなものであるように配慮してくれたのだと思います。
本当によくできたねこでした。
自分よりも私たちを気遣っていたねこでした。
誇張でなく我が家の大黒柱で、この20年近く我が家を支えてくれた存在だったのです。

ねこちゃんは17日の早朝に息絶えたと思われましたが、私はそのころ、ねこちゃんの夢を見ていました。
私は普段夢をあまり見ません。
夢の中のねこちゃんは、私のベッドの横のねここたつで寝ていて、おもむろに起き上がって歩いてトイレに向かいました。
夢の中で私は「ねこちゃん元気になったんだ」と思って、トイレを確認すると便は出ておらず、おしっこが出たんだねと思いました。
そのあと、ねこちゃんは気が付いたらガレージのテラス(実際はテラスはない)にいて、背中を向けて外を見ていました。なぜ外にいるのだろうと考えながら、家族とねこちゃん元気になったねという話をしているところで、「ねこちゃん息してない」という声で目が覚めたのです。
寝る前に確認したトイレシートはきれいでしたが、亡くなった後のシートには排尿がありました。

3月に入ってから、仕事も辛く嫌なことばかり続き、ねこちゃんも目に見えて悪くなっていましたが、今になってみると、追い詰められた私が休まざるを得ないようになっていたのだと思います。
ねこちゃんとの最後の一週間を、悔いのないように過ごしなさいと。
ねこちゃんが癒されますようにという祈りは聞かれませんでしたが、神様は私にもねこにも一番良い事を良い時に行ってくれたのだと思っています。

こんな感じの10日間でした。
長々書いてしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。

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