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平家物語と近江路2

現在の国道8号線、旧中山道(東山道)沿いに通勤していると平家の史跡を目にすることが多いので、ぼちぼち書いてみているシリーズです。
しかし今回は大津方面の旧東海道、国道1号線沿いの主に木曽義仲に関する史跡を紹介したいと思います。
見出しの写真は粟津の浜、木曽義仲と今井兼平の最期の地です。
前回はこちら、旧東山道沿いの湖南から湖東の史跡を紹介しています。

国道1号線沿いと書きましたが、今回紹介するのは実は京阪電車沿線で巡れる場所ばかりでもあります。なので、京津線(京都大津間)乗り放題切符などを使って観光するのも可能です。
なので、今回巡れる平家物語ゆかりの場所は、京津線の最寄りの駅で書いてゆきたいと思います。

関蝉丸神社

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いきなり番外編から始まります。
京津線だと上栄町駅が最寄りですが、境内と鳥居の間に線路があるというユニークな神社です。
「これやこの ゆくもかえるも わかれては 知るも知らぬも 逢坂の関」
という百人一首の10首目、蝉丸法師が詠んだとされる歌にある、まさに逢坂という場所にこの神社はあります。
平家物語の第10巻6「海道下りの事」に蝉丸の名前が出てくるので紹介してみました。
音曲芸能にご利益ありとされる由緒ある神社ですが、現在本殿が崩壊の危機にあり、クラウドファンディングが実施されていますので紹介させていただきます。リターンには京阪電車の運転体験などもあります。

神社の由緒などもこちらが詳しいのでよろしければ。
いきなり番外ですみません。
次は京阪膳所駅が最寄になる、「義仲寺」です。

俳句の聖地でもある義仲寺

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これは2015年に撮ったものです。
義仲寺はこの角度からの写真が多いと思います。行けば分かりますが、この角度以外の写真を撮るのは不可能な立地です。
もともとこの地に義仲の墓所となる塚があったことから、近江源氏である佐々木六角氏によって建立されたようです。

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こちらが義仲の供養塔だそうです。
写真に撮ってないのか見当たりませんが、松尾芭蕉のお墓もこの隣にあるようです。
芭蕉は近江を愛し木曾義仲を愛し、この地に葬られ、現在でも俳句の聖地とも言われます。

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こちらは巴塚だそうです。
謡曲「巴」では、女ゆえに義仲と共に死ねなかった無念が語られていました。のちに登場しますが「兼平」で義仲との絆が描かれた今井兼平も、こっちで弔ってあげてほしいものです。

ちなみに「膳所本町」という駅の最寄には「兼平餅」という銘菓を扱った亀屋広房さんという和菓子屋さんがあります。

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現在は予約優先で営業されているようです。
兼平餅も美味しいし、個人的には「にほの菊」というお菓子が好きです。

そして「粟津」からしばらく歩くと、義仲最期の地とされる「粟津の浜」に出られます。

一度は消えた粟津の松原

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湖面にちょっとアオコが浮いていますが盛夏に撮ったものなのでご容赦ください。現在はきれいに整備されていますが、この松原は一度姿を消しました。
グーグルマップなど見ていただければ分かりますが、交通の要所でもあるこの地は工場なども立ち並び、開発によってかつての松原はすべて切られてしまったそうです。
現在の浜は再び松を植えていますが、湖岸なども、昔は浜だったものが堤防になったりもして、平安時代の面影はおろか、昭和中ごろからもずいぶん変わってしまったそうです。

地元民にも愛された今井兼平

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お墓は二枚目の画像になりますが、京阪およびJR石山駅から徒歩数分、住宅と工場が立ち並ぶ中、目が覚めるような緑の中にこの墓所はあります。
一枚目の画像の碑は明治44年に改修した時のもののようです。
先述の通り、このあたりは開発が激しく、この墓所があるあたりも当時は美しい浜が近く参拝客も多かったと思われますが、現在は逆にこの墓所によってのみ緑が残されている感じです。

これは個人的な憶測なんですが、京都との県境から堅田、対岸の守山にかけては「今井」という名字がとても多いです。
今井兼平のご子孫は長野にお住まいとのことですしこの地で子孫を残したのかも謎なんですが、今井兼平を慕って今井を名乗る人が多かったのかもしれないと思っています。
堅田と守山は港があり船の行き来があったので、伝わったのかもしれないと。
近江八幡には「一柳」という苗字もあるんですが、この「一柳」は八幡山城の城主であった豊臣秀次の家老の一人のもので、秀次に連座して処刑された人でした。秀次は八幡山城下では評判の良い城主であったと地元では伝わっており、一柳もそういう経緯で名乗る人がいたのかもしれないと思っています。

あと瀬田の唐橋まで紹介したかったんですが、どうしても写真が出てこないのでまた次回。




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