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バンドマンが ステージの上で40歳を迎えた話 (前編)


先日ですが、自身のバンドRIDDLEは新宿ACB HALLでワンマンライブを行いました。

そのタイトルは

RIDDLE 20th Anniv.
崇尋&俊輔 40th Anniv.ONE MAN
「I'm just a kid〜ザクッ!ギタリストだらけの大お誕生会〜」





おお。なっげえ。



まずタイトルが長いのにも理由がありまして、その辺りからつらつらとドキュメント的にこの日への自分なりのドラマを綴っていけたらと思います。

かなり長文ですので、お暇な時に読んでいただけたら幸いです。



まず前提なんですが、僕のバンドRIDDLEは今年で結成20週年を迎えます。


20周年を迎えるにあたり色々計画を立てて胸を膨らませていたのですが、昨年の年末。長年苦楽を共にしたリードギタリストHiROが、「指が思うように動かなくなる」悪魔の病気でバンドを離れる事になりました。


photo by さとみん 20221217 さいたま新都心ヘブンズロック HiRO最後の舞台


HiROのプレイスキルは僕らを大きく羽ばたかせてくれる羽根でした。
彼無しではもうRIDDLEというバンドはあり得ないと思えるくらいの存在でした。


計画していた事を全て白紙にして、RIDDLEというバンドが今後どうしていこうかって話になりました。


RIDDLEはステージでは四人ですがドラムはサポートメンバー。ですから2人になってしまった訳なんです。

ちなみにその2人はオリジナルメンバーであり、双子の兄弟です。
以下ベーシストで双子の彼を俊輔と書きますね。

38年前の筆者と俊輔



39歳にしてデュオ形態となったロックバンド。

終わってますね。字面としては。




「先の事はわからないし決められない。でもここで止めたら絶対に後悔する」って想いは2人の共通意識でした。

すぐに数人の友人やギタリストに連絡を入れました。

「こんな状況になってしまった。力を貸してくれないか」

1人は6年前にRIDDLEを脱退した元メンバー関村。


左の人。右は筆者



バンドから離れて久しい彼は、自信はありませんがと不安そうでしたが、先輩風を轟轟吹かせた結果首を縦に振ってくれました。

もう1人は、Azamiというバンドで活躍する後輩、ふえん。


奥のキャップがフエンです。


彼のステージオーラの格好良さに惹かれていた僕らは忙しい彼への説得も先輩風で押し切りました。

その他にも何人かお願いしたのですが、色んな理由で実現には至りませんでした。

とりあえずこの2人と、そしてサポートドラムをしてくれているアキラの力を借りて、本数は少ないながらもライブ活動を止めずに続けていく事が出来ました。本当に感謝しています。


ある初夏の日のライブの帰り アキラ(泥酔)が車内で珍しく強い口調で語り出しました。 


アキラ。酔うと目が座ります。



「20周年ですよ。何かやらないんですか?企画でも、レコーディングでもやるべきです」




僕らは「現実現在メンバーが2人で…そんなエネルギーが無い。サポートメンバーと練習して、ライブをしていくだけで精一杯だ」と正直に気持ちを吐露しました。


アキラ(後輩)は珍しくそこで折れずに続けました。

「崇尋さん俊輔さん。この世界に20年続けられるバンドがどれだけ居ると思うんですか?

20年続けたRIDDLEは凄いんです。俺はそれを知ってます。だから絶対にできます」


僕達はちょっとビックリしました。

「ワンマン やりましょう。俺が全曲叩きます。新曲も作りましょう。RIDDLEの20周年がこのまま過ぎていくのは俺が許せません」


目が覚めたような気分でした。

ああ、こんなに近くにこんなに愛を持ってくれてる人が居たのに、俺達は何を弱気になっていたんだ。
考えたら結成から今まで、条件が揃っていた事なんて何も無かったじゃないか。

お客さんもバンド友達も居なかった時から始まって、ライブのその日に大震災が起きたり、ツアーと同時にコロナが上陸したり、いっつも逆風だったじゃないかって。


「解った どうするかは後で考えるとして20周年ワンマンやろう。 どこでやろうか?」

「俺達が出逢った場所 新宿ACBしかないでしょう」




結成からお世話になっている歌舞伎町地下三階。メロディックハードコアの聖地。俺達を育ててくれた場所。
アキラともそこで18年くらい前に出会ったんです。


「じゃあ、年内目標でACBでやるか!」とすぐにACBに連絡をしたら、なんと9/29が空いてました。僕と俊輔(ベース)の40歳の誕生日。

平日だし、想定より遥かに早いタイミングだけど誕生日が空いてるのか…

もう やるしかねえなコレは



RIDDLEは腹を括った。



で、現実問題どうやってやるか、この時点でのアキラのレパートリーは20曲弱。
ワンマンってなったら25曲は演奏したい。

問題はギターで、サポートメンバーの2人に12〜3曲ずつ頼むか?て話にもなったけど、関村はワンマンが決まったそのタイミングで身体を壊してまるまる一ヶ月くらい入院していた。


ふえんはというと、自身のバンドAzamiのツアーがスタートして充実した忙しい日々を過ごしていた。

あ、いきなり詰んだんじゃねコレ?


ワンマンどころか今決まってるライブもおぼつかない状況にいきなりなっていた。

大急ぎで色んなギタリストに連絡を取るも、やはり皆「いや、RIDDLEは難しくて弾けないよ…」と渋い返事が返ってきた。


20年間変に細かい凝ったアレンジを施してきた奴をぶん殴ろうと思った。他でもない俊輔と僕なんだけど。

やりたいって言ってくれた人がゼロだったわけじゃない。でも、練習してる動画を送ってもらって今すぐステージってのは現実的じゃないと思った人はこちらから断らせてもらった。


こっちから「やってみない?」って言ったくせにだ。

こんなピンチに何選り好みしてんだよ!って思うかもだけど、そこを妥協してしまったら全てがダメになってしまう気がした。


そんな中、ある後輩の送ってきた動画を観て度肝を抜かれた。荒さはあるけど、ほぼ完璧にRIDDLEのクソ速いギターをのりこなしていた。

HiROも「この子いいですね」と太鼓判を押してくれた。

彼の名はミヤ。

かなり昔から足繁くRIDDLEのライブに来てくれていた子で、今は静岡県三島でバンド活動をしていた。

photo by クマキノリコ ONAFES2023



彼はプレイもさることながら、曲をコピーするのがとても早かった。
なんでそんな早いの??と彼に聞いたところ。

「10代から何百回も聴いてきた曲ですからね」

と言った。

ワンマン、いけるぞ。


光明が刺した。

ただ、スケジュールを考えると、1人6〜7曲が限界だと思った。

3人には30分尺のライブをサポートしてもらうこともある関係上「全員が弾ける曲」ってのが何曲かある。
かと言って同じ曲を何回もやる訳にはいかないし、そうなると…あと1人は必要だと思った。


俊輔から提案があった

「バギオはどうか」と。


上がバギ。下は筆者。




バギオ。either.nenneと言うバンドをやっている後輩で10年くらい前の大学時代にRIDDLEのローディーとして全国を一緒に回った男だ。

彼のギタープレイは大好きだ。
でもRIDDLEが弾けるかってなると疑問だった。

でも、スタッフだったバギオと一緒にステージに立つってのは想像するとめちゃくちゃワクワクした。

不安ではあるけどお願いしたら快諾してくれた。



これで役者は揃った。


RIDDLEの20周年
俺たち兄弟の40周年

ギタリストだらけの大お誕生会ワンマンライブが、動き出した。



ただ、いざセットリストを決めだすとまた頭を抱える事になった。

交代で4人のギタリストが順番に弾く構成になると、何度考えても良い流れが作れなかった。


当たり前だ。普通ワンマンライブってずっと同じメンバーがやるものだからね!



少し話しが逸れるが、僕達は2021年に「ドラマーだらけの忘年会ワンマン」ってのをやっている。


当時メインのサポートドラマーだったexTRIBAL CHAIRヤスが交通事故に遭った事をキッカケに、4人の仲間達が手を貸してくれてなんとかライブスケジュールに穴を空けずに乗り切る事が出来たので、この状況を逆手に取って面白い事しよう!と計画した。

こうやって考えるといっつもなんか災難に見舞われてるな。


ヤス含めた5人のドラマーがそれぞれ20〜25分セットを叩く、言わばワンマンなのに5バンドの対バンイベント的な構成になった。

アレはアレで楽しかったけど、とにかくバンドもお客さんも終わった後の疲労感が凄まじかった。
クライマックス5回来るからね。

photo by さいちょー 20211217 新宿ACB


アレを今度はギタリストでやる事になるとはな…


と思いながらセトリを考えては悩みを繰り返してたら、ふとある事を思いついてしまった。


ギタリストの順番でセトリを決めるんじゃなく、

先にセトリを決めてそこから「この曲にはコイツが映えそうだな〜」ってギタリストを当てはめればいいんじゃね??


それで一曲一曲で矢継ぎ早に転換無しでギタリストが変わっていったらセトリももっと自由に組めるんじゃね??


直ぐに、お世話になっているイシバシ楽器の倉持さんに連絡した。

「今からメチャクチャなこと言います」と先置きして、電話をした。


倉持さんもかなり驚いていた。
「テクニカル的に揃えなきゃ行けない物が沢山あるけど、不可能ではない。そして面白い」と言ってくれた。

キャビとヘッドをそれぞれ3〜4台。
そしてワイヤレスを4台…

電話しながら書いたメモ書き




何故か僕達は新たな地獄の門を自分から開いてしまった…



長くなったので後半に続きます。


次回

「ギタリストまだ増やしたい」
「レコーディング地獄」
「アキラ 一緒に行こう」

の3本です

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