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日記 | 君は全方向美少女 24/1/30

今日は気持ちがとてもくさくさしていた。
憂鬱とか仕事のストレスとか、普段から抱えていたものが、とある原作者の事件によって希死念慮への着火剤へと変化。昨晩激しく燃え上がったのであった。彼女のあの作品はまだ数話ほどしか読んでいないが、本当に面白い作品で繊細な心情の描写が上手い、この内容に勇気づけられる人も多いだろうなと感じていた。完結したらまとめ買いをする予定だった。その未来が奪われてしまったことが信じられなくて塞ぎ込んでいた。
卒論の口頭試問がすぐ近くに迫っており、今日はその準備をしなければならなかったのだが、とてもそんな状態ではなかった。
でも時間は待ってくれない。
仕方なしにパソコンを立ち上げ、お粗末な卒論を紙に印刷する。
ついでに溜め込んだままの必要書類も印刷して記入欄を埋める。
自分の卒論を手に取り、ホチキスでまとめようとした。
紙の厚さに耐えきれず、針が折れた。
100均で買った安物のホチキスだからパワーが足りなかったのだ。
それに少し嬉しくなった。
いくら安物とはいえ、大方の論文はこれで事足りる。
今まで手にした論文で針が刺さらなかったものは相当の力作、数件ぐらいだ。
質は相当劣るが、それらの論文と同じ量を書いたのだということに「がんばったな」と執筆一ヶ月後の今日、ようやく自己肯定できた。
やはり物理的にモノが存在するというのはデータで見る何万文字と感覚が全く違う。手元に紙の束として存在するだけで、それを自分で作り上げたという実感が湧いてくるのは本当に不思議だ。
なんだかまだ感情がマシになってくる。
まだ生きれるぞ、今日は。
そう思い立ってやるべきことをやることにした。

返却期限のとっくに切れた本を図書館に返す。
クリーニング屋で取りに行きそびれてたコートを受け取る。
ゴミを出す。

一連のやることを終えて、ふと思い立ち、カフェに行くことにした。
家から少し歩いた先にある地元密着型のカフェである。
店内には本がいたるところにあり、好きに手に取って読むことができる場所だ。コーヒーも香り高く、自家製スイーツは気まぐれで変わる上に、どれも絶品のため、塞がりがちな卒論執筆中には足繁く通った。
お気に入りのマンデリンとキャロットケーキを頼んで早速本棚を物色する。
どれにしようかな、で選んだのは遠藤周作の「海と毒薬」。
新潮文庫のプレミアムカバーに数回選ばれている言わずもがなの名作である。いつか読まなければとは思っていたが食指が動かなかった作品。こういうのって外で読むとなぜかするする読めるよねっていうのでケーキ休憩を挟みながら30ページほど読んだ。遠藤周作といえばお堅いイメージ、重いテーマという偏見があり、長年敬遠していた。しかし読んでみると思っていたよりも読みやすく、表現も平易。これなら読み切れそうだと思ったので来月中の読書リストに入れておくことにする。

このまま家に帰るのもなんだか物足りないのでそのままお散歩することにした。今日のBGMは乃紫さんの「全方向美少女」。
先日instagramを漁っていたときに出会った、イラストレーターのたそやマロさんの作品に使われていた曲だ。

文字通り「いい女」揃いの映像にハマるこの歌詞がどうにも頭から離れずにアップルミュージックに放り込んで聞いていた。
(このアニメーションの女性が癖に刺さり過ぎて好きすぎる、そもそもからして私の理想の女、ファムファタールはいつもこんな感じの子だという話をしたいけど、今回は置いておこう。)

「運命なんて生まれた日より選んだ服で決まるもの
酸いも甘いもひっくるめ今をきっとちゃんと愛してる」
「幸福なんて一生かけて一粒一粒集めるもの」
こんなフレーズを口遊んで嬉しくなるくらいにはまだ少女、乙女の心が私にも残っているのかと思うとむず痒い。
いい曲だなあとひたすら歩いていたら、いつのまにか二駅も歩いていた。
そういえば、ヒートテック靴下が安いんだっけ。と目の前のユニクロを見て思い出し、390円の靴下を2足購入。タックパンツも欲しかったが、試着がだるいのでセール時に元気だったら見に行くことにする。
店舗を出るとあたりはすでに真っ暗。ここから電車に乗ってもいいが、今は人の多いところに行きたくない。ぎゅうぎゅう詰めの帰宅ラッシュ電車なんて真っ平ごめんなので歩いて帰る。

時刻は20時を回り始めた。夕飯どうしようか。飲食店のラストオーダーが過ぎ始める時間だ。いくら心の調子が良くなったとはいえ、人と交流のある飲食店に行く気分ではない。ちょっとお高いのも嫌だ。だからと言って仕事上がりのサラリーマンで混み合っているであろうチェーン店にも行きたくない。
……スパイス多めのエスニック料理が食べたい。
そこで戸を叩いたのがインドカレー店だった。
現住所に引っ越してから気になってはいたが、訪問の機会がなく、「行きたい店リスト」に書き留めたままだった。
ドアに見せかけた引き戸を開くとお客はおらず、インド人かネパール人かわからない店員がカウンターで小銭を数えながらダルそうに座っている。ああ、なんかこういう感じが憎めない。
店員の異国語での雑談は止まないし、接客も適当で、スマホで異国語の動画を流し始める。しかし、このドライさと耳から理解できる情報が入ってこないという状況がこの上なく心地いい。

日本の接客は素晴らしいと思う。居酒屋の文化も好きだ。でも、今みたいに放っておいてほしい的にはうざったくて仕方がない。
また、人の話が否応なしに耳に入ってきてしまうタチなので、他のお客の会話で頭の中が情報でぐちゃぐちゃになって疲弊することが多々ある。そのため、音はあるけど理解できないというこの状況はこの上なく楽なのである。
キーマカレーとクミン入りのライス。
美味しかったのでまた来よう。
「インドカレー屋が作る日本のカレー」も気になるところだ。

さて、今後について。
文字を書かなければ何も始まらないことはわかっている。ただ、書きたいことがない。さらにめんどくさいことに今の自分の最高点を叩き出せない文章は人に見せたくないとかいう謎のプライドが邪魔して公開せずに下書きが溜まりゆく始末である。なんなら、今載せている正月のやつなんて消したいぐらいには不出来で公開にしておくのが恥ずかしくて仕方ない。
ただしこの世界では継続的に物事を行わなければ伸びるものも伸びない。これは個人のスキルという問題のみならず、掲載媒体の表示アルゴリズムの性質でも連続投稿がなければ下位に追いやられるばかりである。
まあ、頑張ります
こんなクソ女の1日なんて、読書履歴なんて誰も興味ないし、なんの価値ももたらさないだろうなとは思うけど。
とりあえず、書き途中の下書きを世に出すことからやるしかないでしょうね。


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