[小説]殺しとこ

「ねぇ、心ってどこにあると思う?」

心?えっ?
うーん、心臓かな?

「わたしはね、
心はみっつあると思っているの」

みっつ?

「ひとつは、そう、心臓。
感情は、心臓に支配されてるの。
だから緊張すればドキドキしたり
苦しくなるの」

そうだねー。幸せな時は
胸のあたりがほわほわ~って
するもんね。

「ひとつは脳。
思考はここ。表面心理はここ。
わたしの心を、言葉に変換して
外の世界へ送り出すところ」

脳は考えるところって分かっていたけど
心だとは思ってなかったかも。
いいねぇ、その考え方。

「最後は子宮よ。
深層心理は、ここにあるの。
自分でも意識出来ない
本当のわたしは
ここにいるの。
だから、お腹を冷やすと、
心も冷えちゃうの」

なるほどね、生理前に
感情の起伏が激しくなったり
するものねぇ。
子宮自体が、心そのものなのかもね。

「でも、本当の心は
数では数えられないんだよ。
心臓から血液に乗って
心は体全体に流れている。
そして、心は臓器に宿る。
心は身体の中に納まりながら
無限に広がっている」


へー…。
あたし、
そんなこと
考えたことなかったよ。
言われてみれば
そうかもね。
面白いねぇ。

「フフ」

エへへ。


『俺は男だから
つまり
深層心理はちんこにあるのか!
ははっ、まあ、体は正直だからな!』

「え!?」
え!?

『わたし、病気で…
子宮をとりました。
わたしには心がないとでも
いうんですか…』

「誰ですか!?」
えっえっ!?

『心っていうのは
脳それぞれの機能性や
伝達物質とは関わっていて
とても複雑なんだ!
謎だらけで今この瞬間も
研究が進められている!
一般素人がそんな軽々と
クチにしていいことじゃない!
責任とれないだろ!?』

「え、いや、あの」
うう…ううう。

ドンっドンっドン!!

銃声音とともに少女たちに話しかけてきた人たちは血を流して倒れた。


わー!ユミちゃん!!
なんで撃ったの!?

「えっ?だって
わたし、この人たちのことなんて
一切、知らないわ。
わたし、この人たちに向けて
話をしていないもの。
それなのに、わたしが責められたら、
わたしが可哀想でしょ?」

うん、じゃあ仕方ないね。


『あぁ、痛い!痛いよぉ!』


「あ、まだ生きてる」

殺しとこ殺しとこ。

ドンっドンっ

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