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山とカメラ

二年くらい前から、カメラは富士フイルムのX100Fというデジタルカメラを使用している。防水防塵でもないのに野外活動の多い私にはあまり向かないと思うんだけど、外観がクラシックで気に入ったのだ。ダイヤルが多いので、ゴワゴワする手袋をしたまま操作できるのもよい。

山を何となく歩いて何となく撮ったりするだけならスマホのカメラでもいいのだが、カメラっぽいカメラを首から下げて山に行きたかったのである。

山登り自体、もう7年くらい続いているので見飽きた風景も多いわけだけど、同じような写真を同じように撮っている。

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これは夜明け前の西の空で、ぼんやり光っているのは月だ。まだ新しいカメラの操作に不慣れで、手袋を外すと凍えるような気温だった。ダイヤルで露出や絞りを変更できるありがたみよ、とか考えていた気がする。ボタン操作だと、冬用手袋では難しいから。

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最も好きなのは、登りながら夜が明けていく時間。できればその時間には空が見えるくらいの稜線に出ていて、夜に朝が混じっていく様を歩きながら眺めたい。

早めに山頂について、空の色が移り変わる時間を眺めるのもいいのだけれど、上の写真のような空から日の出までは一時間ほどかかり、風もあれば寒いだけなので、歩く途中で眺められるのが私には合っている。

山でテントなりハンモックなりで眠る日は、夜の長さに退屈してしまう。野営地から数時間で登頂できる山頂で朝陽を浴びることにすれば、星空を見ながらのナイトハイクもできて都合がいいのだ。

映画『スモーク』でハーヴェイ・カイテルが街角の定点撮影をしていたように山の景色の定点撮影をしても、登場人物は毎回同じで退屈だ。山と空と太陽と月。そこに季節と天候のスパイスが乗るだけ。

それでも、飽きながらもつい撮ってしまう。舌打ちの音のようなX100Fのシャッターを切るのがただ楽しいのかもしれない。チッ

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