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会社から徒歩圏内に住んで分かったこと

私は「徒歩通勤」のベテランだ。
これまで4社経験しているが、現職も含めてそのうち3社で徒歩圏内に住んでいた。
しかも三重県(徒歩15分)、大阪(徒歩1分)、東京(徒歩15分)と様々なスタイルの徒歩通勤を経験している。
しかも電車通勤、車通勤、自転車通勤の経験もしっかりあるので相対比較もできる。
これをプロフェッショナルと呼ばずに何と呼ぼうか。
というわけで、そんな「徒歩通勤プロ」の私があらためてそのメリットや問題点について体験を踏まえて解説しよう。

徒歩通勤のメリットとは

こんなこと言うまでもないが、徒歩通勤のメリットを改めて整理しよう。
正直、予想外のものはそんなにないと思う。

①電車ストレスからの解放

都会の前提ではあるが、徒歩通勤最大にして最強のメリットはこれだ。
朝から大勢のおっさんと密閉空間で過ごさなくてよいこと。
仕事が終わった後に大勢のおっさんと密閉空間で過ごさなくてよいこと。
これだけで徒歩通勤の完全勝利だろう。
上記の苦行に対して、会社から手当が出ているだろうか?
なぜボランティアでこんな苦行に耐える必要があるのか、意味が分からない。

②時間が節約できる

会社からの距離にもよるが、当然徒歩通勤であれば電車通勤と比べて電車に乗っている分の時間が浮く。
遅く家を出られる(あるいは寄り道できる)し、
早く家に帰れる(あるいは寄り道できる)

もちろん浮いた時間の使い道は自由だ。

「電車内でも読書したり勉強できる」
などといった戯言をたまに見かけるが、満員電車で読書するより家やカフェで読書したほうがいいに決まっている。なんの反論にもならない。

③憂鬱レベルが格段に低い

これは①とも関係することではあるが、徒歩通勤している場合は「会社に行く」ということへの憂鬱さが無意識レベルで格段に低い。

多くの人は金曜日の夜と土曜日の夜以外は「明日仕事だりぃ」という気持ちを少なからず抱えながら生きているわけだが、この「明日仕事だりぃ」のなかには実は「仕事自体のだるさ」のほかに、
・朝起きることのだるさ
・会社に行くことのだるさ
・会社から帰ることのだるさ

のような「仕事に付随して発生するタスク」へのだるさを内包している。

しかし徒歩通勤勢においてはこのうち「会社に行くことのだるさ」と「会社から帰ることのだるさ」が存在しない。
※厳密には徒歩でも会社への行き来はあるが、上記は「歩くこと」ではなく「電車に乗って移動していること」へのだるさである。これは私がその経験を持って証明している。

例えていうなら、電車通勤の人が週に5日10kgの重りを抱えているとしたら、徒歩通勤はその重りが5kgくらいである。
毎日体が軽い。

④会社の飲み会の帰りも早い

一般的には会社の飲み会は会社の近くで開催されることが多いだろう。
となると、飲み会終わりからも当然速攻で家につくことが出来る。
これは結構大きい。

30を超えると飲み会の影響が次の日に出ないことのほうが珍しい。
そうなると、飲み会後いかに速やかに帰って寝るかというスピードは次の日のパフォーマンスに直結する。
みんなが帰りの電車で必死に寝過ごさないように頑張っている間に、私はもうシャワーを済ませてハーゲンダッツを食べている。

徒歩通勤にデメリットはあるか

さて、次に徒歩通勤のデメリットだ。これもないわけではない。
私が感じた弱点を整理していこう。

①家賃が高い

徒歩圏内に住んだほうがいいと分かりながら、出来ない理由もこれだろう。
基本的に会社があるような都市部のなかでも中心地のエリアは周囲の家賃も高い。
東京でいうと渋谷、六本木、新宿、丸の内など「本社」の多い駅では一人暮らし用の6畳ワンルームでも10万円以上の家賃は普通だろう。
逆に言うと、会社から徒歩圏内に住むという投資をすることで毎月数万円は他のことに使えたお金を溶かしているということでもある。
つまるところ徒歩通勤とは、毎月数万円のサブスクである。

②住環境としては良くない場合がある

会社の近くに住むということは、それなりに人通りが多い中心地に住むということだ。
場所や人によってはこの「騒がしい場所に住むことが苦」という人も多いだろう。
これは度合いによるのでそれが相当ストレス(満員電車で通勤するほうがマシ)なレベルであれば、その会社の近くに住むのは向いていないかもしれない。
その場合は逆に家の近くの会社に転職しよう。

ただひとつ落ち着いて考えてほしいのが、騒がしい場所に住んでも家の中が騒がしくなるわけではないし、騒がしい場所というのは交通も生活も総じて便利である。
それを鑑みても自分が周囲の平穏を求めているのかは再考の余地がある。

③電車耐性が下がる

徒歩通勤は、逆に言うと満員電車に乗る機会を逃していることになるので、人一倍電車に乗ることが億劫になる。
これは都会においては致命的だ。

休みの日に電車で出かける際に、やたら電車に乗るのが面倒に感じてしまう。
やはり、現代社会において時々満員電車に乗って慣れておくというのは必要なのかもしれない。

テレワークと徒歩通勤の相性

こんなことを思う人がいるだろう。
「テレワーク中心だから会社の近くに住むメリットないよね」と。

愚問である。
テレワークだろうと何だろうと会社には徒歩で行けたほうが良い。
当たり前だ。
むしろテレワークこそ、徒歩通勤とのシナジー効果が高い。

例えば下記ようなケースで会社に緊急出動できる。
・「やばい、次の会議対面だった!」
・「なんかPCの調子が悪いな、会社に持っていこう」
・「何か今日、家だと調子が出ない。場所を変えよう」

あとはジムや病院が家の近く、兼会社の近くになるのでどちらからでもアクセスが可能だ。
在宅の日も出社の日もジムに通えるというのは大きい。

100%在宅の仕事以外は、上記の理由で徒歩通勤エリアに住むに越したことはない。

子供がいないなら徒歩通勤一択

ここまで会社の近くに住んで徒歩通勤をゴリ押ししてきたが、例外としては子育てにふさわしいかという点で向かない可能性があるということだ。
自分の子供のためなら多くの親は満員電車など喜んで乗るだろう。

・行かせたい学校がある
・放課後や土日に広い場所で遊ばせたい
・子供部屋など、広い部屋が必要である

など子育てを第一に考えると会社の近くというのは必ずしも最適な場所にはならないことが多い。
子育てを中心に生活設計を考えるのであれば、会社を固定して「近くに住む」のではなく「より多くの時間を在宅で出来る」など子育てに適したシステムを導入している会社に変えたほうが良い。

また、
「会社などどうでもよい、毎日バンドの練習でスタジオの近くに住みたい」
などの全力の趣味による制約がある場合はそちらを優先すべきだ。

逆に言うとこのような趣味も子供もいない場合は、徒歩通勤一択だ。
会社の近くに住むことは時間と体への投資だ。
多少家賃がかさむとしても、お金の使い方として「時間」と「体」は最優先してお金を使うべき場所である。
その程度の家賃の誤差は空いた体と時間でいくらでも回収できるだろう。

夫婦の場合は「どちらの会社に近いほうに住むか」が問題となるが、
・出社の多いほうに寄せる
・中間地点で妥協する
・どちらかが転職する
このあたりが着地点となるだろう。

いずれにせよ、家賃以外の理由で会社の近くに住まない理由がない人は、今すぐSUUMOを見よう。

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