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好きなボカロを広めたい!【LonePi/ハイドレンジア】

※この記事は曲考察ではありません。

こんにちは。Rickeyです。

先日の『「クリエイトがある」考察に挑んでみる(初投稿)』が初めてにしては(だからか?)思ったよりも反応を頂き、大変嬉しい限りです。

3rdアルバムが出たことにより、現在更なる記事を立案中です。


今回ご紹介するのはいよわさんの曲ではありませんが、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。


突然ですが、この曲をご存じですか?


曲について

経緯

サビのフレーズが3年前にTikTokで流行り(私はやってないのですが)、そこから波及して当時かなり伸びた楽曲です。
私もその曲調と歌詞にハマりましたね。

あれから3年ほど経ち、今ではYoutube1700万再生を突破しています。


今回はそんな「ハイドレンジア」を、時間がたった今だからこそもっと注目される一助となれば、というていで布教していきたいと思います。



なお、ここで話す特徴、「~でしょう」「~と思います」、その他主観的な表現は全て私の意見です。私は皆さんの考えを尊重します。

特徴

私が特に伝えたい、この曲の特徴を示します。
これらが好みの人にはぜひおすすめしたいです。

  • 言葉遊び(押韻)

  • 適度な闇(初見&初聴で分かる程度)

  • 転調

  • ユキボイス

この4点の特徴について詳しく話していきたいと思います。


歌詞

まずは歌詞全文を示したいと思います。この後も適宜参照してください。

気味が悪い程キミが悪い
意味など疾うに 収集車の淵(えん)
世(せい)の声 まだ生(せい)は乞え
五月蝿いと吠え 浮く彩度ゼロ視界

鳥肌が立つ 独善的な
優しさ、只の日和見主義
社会の云う「常識」象って
複写した キミのその物差しで


心を測られた。


あのね お話聞いて
アタシ、キミが嫌いなのさ だから
さぁ、顔は見ないで
ただ何も言わないで 終わらせて。そう

早々、正直に 嘘を吐いては
全て「はい」で答えて
気管を這う アスファルトの灰色は
recall 凍る ぺトリコール



ズレていく ただ軋んでくから
ミシンで縫う 絡み、死んでnull
海馬の奥で 蹲る
ただ渦組まず 漂う薄らな赤


閑静な 感性は 喚声以て 完成す
慣性は ない所為で 速乾性の傍ら
敗戦の「はい、せーの」 逆再生の愚才
達成感、慢性化 金輪際、事欠いた


あのね 返事を頂戴
アタシ、キミが嫌いなのさ、だから
さぁ、顔は見ないで
ずっと何も聴かないで 朽ち果てて。(ほっといて)

未だ 痛いの、本音は
傷口には藍い悪口を。
雨に濡れた 窓辺の紫色は
キミに良くお似合いのハイドレンジア!

LonePi/ハイドレンジア (piaproより原文ママ)

好きなワケ

特徴1.言葉遊び

いきなりですが、私が好きな最大の理由です。

まずAメロに着目してください。

気味が悪い程 キミが悪い
意味など疾うに 収集車の淵(えん)
世(せい) まだ生(せい)乞え
五月蝿いと吠え 浮く彩度ゼロ視界

LonePi/ハイドレンジア

押韻気持ち良すぎません?
太字が韻を踏んでいるところです。
末尾だけでなくほぼ全てで踏んでいます。すげえ…

サビ終わりの歌詞

recall 凍る ぺトリコール

LonePi/ハイドレンジア

も印象に残ります…

そして、その中でも特に好きなパートが二番の始まりです。

ズレていく ただ軋んでくから
ミシンで縫う 絡み、死んでnull

海馬の奥で 蹲る
ただ渦組まず らな赤

LonePi/ハイドレンジア

「から ミシンで縫う 絡み、死んでnull」が一番好きです。母音のみで踏むのではなく、全て同音で踏んでいるのが凄すぎます…
(子音踏みというらしいです)


子音踏みをしている所として、ブリッジも印象的です。

閑静な 感性は 喚声以て 完成
慣性所為で 速乾性の傍ら
敗戦の「はい、せーの」再生の
達成感、慢性化 輪際、欠いた

LonePi/ハイドレンジア

確かに、「かんせい」と打って変換すると
閑静,完成,管制,寛政,官製,乾性,寛正,環星,陥穽,陷阱…
と沢山の候補が出てきますが、これらをメッセージ性を持って違和感なく繋げられています。

特徴2.適度な闇

この話は歌詞考察に関係してくるので、考察記事をしっかり読みたい方は以下を参照しください。


歌詞から感受できるように、「ワタシ」は社会の風潮か圧力かで変わってしまった「キミ」に対して、辛さ、悲しさ、訴えを告白しています。
具体的にどう変わってしまったかや、それに対して主人公がどう行っているかは、先程の押韻の影響もあり多少抽象化されています。

詳しく話し出すと考察記事のようになってしまうので、ダイジェストだけお伝えします。

Aメロ:周りの常識的な考えに沿って生き続けている人々に「五月蝿い」と抗っている。その訳が「キミ」のせいだと言っている。

Bメロ:「キミ」が周囲の空気や考えに囚われてしまっていて、「ワタシ」に対してもそれを無意識的に押し付けてくる。やめてくれ。

サビ:「ワタシ」は変わってしまったそんな「キミ」が嫌いだ。聞き分けの良いふりをしていたり、いっそ何も言わずに終わらせてくれ。あの頃の思い出が蘇ってくるよ…変わってしまって悲しい。

Cメロ:「ワタシ」の頭の中で昔の「キミ」と今の「キミ」の差異を埋めることは難しい。(あるいは今の「ワタシ」と「キミ」の差異)どうせ死んだらどれだけ培ってきた両者間の感情も絆も無駄になってしまうのだから。

ブリッジ:「ワタシ」は「キミ」が周囲の影響を受けやすく、過ぎたことを過度に気にし、何かを達成した感情も薄れ、何事にも気持ちが湧かなくなってしまったことが悲しい。

サビ:「ワタシ」の感情を理解してほしい。「キミ」は死ぬまで何も知らずにいて欲しい。変化した今の「キミ」ではなく、昔の「キミ」に戻ってほしいと願っている。

ラスサビ:そんな「キミ」に対して、「ワタシ」はハイドレンジアという花を象徴させて悲しさ、切なさ、蔑みの感情を抱き続けている。


全体的に負の感情が漂っていますが、これはこれで雰囲気が好きだったりハマる要因になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。


特徴3.転調

実際に音取りをしてみると分かるのですが、この曲のキーは
最初 -> 2番サビ -> ラスサビ で

Gm(♭*2) -> G#m(#*5) -> Fm(♭*4)

と変遷します。キー変化で見ると

基準 0 -> +1 -> -3(基準-2)

です。動画のコメントでもありましたが、ラスサビで大きく下がります。ここが堪らんという方もいるでしょう。
また、Aメロ Bメロのコード進行が、王道なものをマイナーチェンジしていたりと音楽的にもハマる要素が多々あるようです。
この辺りは本人インタビュー記事を参考にしてください。

以前に私は、実際に耳コピ楽譜を楽譜シェアコミュニティーサイト「Flat」にてあげているので、調号の変化やコード、音の鳴り方を確認してみてください。楽譜に沿って演奏を聴くこともできます。

特徴4.ユキボイス

Vocalに使われているのは歌愛ユキです。このボーカロイドが大きく認知されるようになったのは、おそらく稲葉曇さんの「ロストアンブレラ」でしょう。

以降、歌愛ユキは多くのボカロPで使われるようになったと思います。

「ハイドレンジア」もその一つではないでしょうか。
ハスキーな声色と落ち着いた感じが、物憂げな曲調にぴったりです。
歌愛ユキは確か小4という設定で、MVの子の年齢とそれほど離れていないように見えるおかげで、その子が感情を吐露しているようにはっきり思えます。


おわりに

締めの文

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
『ハイドレンジア』の魅力について、少しでも共感していただけたら嬉しいです。
3年経つ今だからこそ、この曲の良さを再認知させていきたいと思っています。聴いた人が広めてくれることで、もっと多くの人にLonePiさんの音楽が届くはずです。


では。






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記事中でも一部紹介しましたが、楽譜作成・シェアコミュニティサイトFlatにて、ボカロを中心とした曲の譜面を公開しています。アカウント無しでも演奏を聴くことができるので、ぜひご覧ください。
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貴方の気持ちが1000年生きられます。