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増え続けるオンラインレッスンサービス 「飽和状態」を乗り越えるためのサバイバル術1 準備は最小限に

現在、オンラインレッスンの単価は、全体的に下がり続けているように思います。私がオンラインレッスンを始めた頃は1000円を割り込むことはほとんどありませんでしたが、現在800円とか、場合によってはそれよりも安い単価設定のところもあります。

新規参入のオンラインのプラットフォームや先生たちが、まずは生徒を獲得したいという思いで、かなり安い時間単価に設定する場合もあります。さらに、今回のコロ助騒動も相まって、「単価が安くてもひとまず仕事があれば」という先生たちが多くなっていることもあるのも、レッスン単価の低下にますます拍車がかかっている印象です。

こうした単価設定の是非についてはこの記事では考えませんが、教師として、この状況にどう立ち向かうかというのは考えておく必要があると思います。

そんな状況に対し、私が考えた対抗策の一つ目は「教案の準備を最小限に抑える」というものです。まずは、どのような経緯でそう考えるに至ったのかをお伝えしていきます。

授業の準備の程度と、生徒の満足度は必ずしも比例しない

ある1対1の授業を始めたところ以下のようにと突然無茶振りをされたのです。

先生、今日はその範囲じゃなくて、こっちをやってもらっていいですか?

内心「はーーー!?こっちはしっかり準備をして臨んでいるのに!」と思いましたが、ひとまずポーカーフェイスでなんとか適当に乗り切りました。冷や汗をかきつつも終わった後、生徒からのフィードバックが届きました。

「今までにないくらい楽しい授業で、大満足だった」・・・。

え〜!?全然準備をしてなかったのに・・・。今までの準備はなんだったの・・・。

ただ、その経験で感じたのは、「授業の準備の程度と、生徒の満足度は必ずしも比例しない」ということでした。もちろん、学校によっては教案の作成が必ず必要なところや、複雑な内容のためある程度事前に考えておきたいものはあるとは思います。

ただ、授業の準備もコストのうちという考え方はかなり大切だと痛感しました。何しろ、その授業については準備ゼロでのぞんだわけですから・・・。

その後は、どれくらい授業準備に時間を使っているかもしっかり確認し、時間をかけすぎないようにし、準備時間も含めてレッスン単価と考えるようにしてみました。準備時間に対してシビアになった分、ダラダラと授業の準備に時間を使わずに済んだだけでなく、なぜか授業の質や生徒の満足度も良くなっていきました。

では、具体的にどうすれば授業準備の時間を減らせるのでしょうか。私は、以下のような工夫で準備の時間を最小限に抑えることができました。

教案作成(授業準備)の時間削減の具体策

1、 使いまわせるように資料を準備する
例えば、教材をパワーポイントなどで作って、ZOOMで画面共有してしまえば、それが教案そのものになります。しかも、一度作ってしまえばその後何度も使えます。また、授業の前にその生徒用にカスタマイズすれば、一から作る手間も省けます。授業の資料を作るときは、すぐに使う予定がなくても必ず次に使えるスタイルで準備する、がオンライン教師の基本だと思います。

2、 説明口調から質問口調に変え「聞くこと」を大切にする
教案をしっかり作ると「せっかく準備したんだから」と、ついつい説明が長くなります。ただ、生徒にとってその説明を聞く必要があるのか、と考えずに教案を作ってしまうことも多々あります。もちろん、文法項目の理解も大切ですが、まずは生徒の側のアウトプットを増やすことが授業の目的です。それに、日本人講師に期待されているのは、文法の説明ではなく生徒とのやりとりだと思います。

振り返ると教案を準備せず、ぶっつけで授業に臨んだ時ほど、普段よりも生徒の発話を引き出し、質問し、そしてよく聞くようにしていました。それで、自然と生徒の発話も増えていました。結局それが直接生徒の満足につながったんだなあと思います。

3、 教材はイラスト・写真中心に
生徒の発話を引き出すために、イラスト教材を作っておくのがおすすめです。イラストや写真をネットで探し、パワーポイントに貼り付けていくだけです。細かい説明が必要な場合は、その場で直接教材にテキストを打ち込んだり、書き込めばいいだけです。

ちなみに、私は、パソコンとiPadを両方接続して、パソコンで顔を表示しつつ、iPadでApple Pencilで画面にコメントなどを書き込むようにしています。この方法だと、先生の顔は表示されたままテキストにどんどんコメントが書き込まれていきますから、生徒とのアイコンタクトは保ったままになります。そして、授業準備も、導入する文型や語彙に応じた写真・イラスト探しだけ、ということになります。

授業を「教える」スタイルから「引き出す」スタイルに変えれば、イラスト一枚でもかなり会話がはずみます。それに、マンガやアニメ、YouTubeに慣れている学生たちにとっ「文字ばっかりの資料」や、「ただホワイトボードに文字を書いているだけ」では、つまらなく感じてしまっても無理はないですよね。

まとめ

いかがでしょうか。決して授業準備に手を抜け、と言っているわけではありませんが、無駄な時間をかけすぎるのもどうかと思います。授業準備の時間もコストと考えていくことが、「稼げるオンライン教師への第一歩」だと思います。

こうして準備時間を極限までなくしていく工夫をすることで、日本語教師としての競争力は上がっていくと思います。

単純に単価の変動に影響されず楽なりますし、空いた時間は、本を読んだり、外国語を勉強したりと、自分の勉強に回すことができます。そうすれば、ただただ、その場その場の授業を「こなす」のではなく、経験をしっかり積んでいる感覚が出てきて、仕事の充実感も増しました。

授業準備の時間を減らして、その時間を自分の成長に時間が使い、長く仕事を続けられる日本語教師になりたいですね。

ちなみに、こちらの本は「引きだす」スタイルの授業のヒントになります。


#日本語教育 #オンライン教育

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