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どんな方法でもいい

ロシアの作家カテリーナ・コジェヴィナが書いた自分宛てのオープンレター。重い気分が晴れない日々、安全な場所にいながら嘆く自分を恥じずに、力を抜いて、そして最後まで現実を見つめ続けるための優しく厳しい手紙。

☆自分へのオープンレター

1. あなたはひとりじゃない。

2. ことばを出してみるといい。うちにこもったことばたちが化膿しはじめないように。書く、喋る、吠える、枕に向かって吐きだす――どんな方法でもいい。

3. いま起きていることをすべて覚えておくこと。あなたの中で起きていること、周りで起きていること。最後の小さなことまで、痛みを越えて。眼をそらさない。あなたも歴史の一部。そういうことになってしまった。

4. 私たちのあいだには亀裂が入ってしまった。ひとつやふたつじゃない。それもだいじょうぶ。みんな気が立っている。正しく嘆き悲しむにはどうすればいいの、自分の立場はどうやってちゃんと表現すればいいの、身内とどうやって話せばいいの、仕事はどうしたらいいの、くそぅ、そもそも何をしたらいいの。でも、亀裂を抱えたままだって生きていける! せっかちに亀裂をグランドキャニオンにしたりしない。

5.  間違えること、自己矛盾することを怖れないで。いま私たちは皆、統一国家試験中なわけじゃなく、とてつもない遠心分離機の中にいるのだから。

6. 自分の好きな感情に権利を与えること。それがもし「すごく幸せ」だと感じないとしても。嘆き悲しんだっていい。激怒したっていい。でも、苦労して稼いだお金がなくなっていくことにがっかりすることもできる。

7. 愛情には力を出し惜しみしないこと。


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